(長文・ネタバレ注意)
●アバンタイトル
あゆ「祐一君、調子悪そうだね」
祐一「俺は何時も通り元気だ」
あゆ「全然そうは見えないけど」
朝。ダイニングに現れた祐一が元気無さそうなので心配するあゆ。
祐一は、何時も通り元気だと言うのだが…。
# 名雪ヴォイス目覚まし久しぶり。未だ使っていたのか…。
# あゆ、朝食作り手伝っているんだ…。その内、まともな朝食を作ってくれる日が来
# るのだろうか。
# 祐一のことを心配しているあゆ。秋子さんも気づいてはいるのだろうけど、何も言
# わず見守っているだけらしいのが何とも。
●こちらはわざとです
栞「おはようございます! すいません。祐一さんに会えたのが嬉しくて、体当たり
してしまいました」
祐一「ああ、おはよう!」
朝、登校して来た祐一を見つけた栞は、嬉しさの余り体当たり。
# 登校中の栞の目元が暗く、目が見えない描写。今回、このような目元の描き方の演
# 出が目立ちます。表情を見せないということなんでしょうか。
# こちらは「どいてどいて〜」では無くて、単なる体当たりなんですね。
●姉を気遣う栞
祐一「今日も弁当を作ってくれたのか」
栞「はい! 自信作です」
昇降口で、お昼の待ち合わせの約束をする祐一と栞。
栞は最初教室に行くと言いかけ、学食で待ち合わせと変更。
# 栞、香里に顔を合わせないようにしているんでしょうね。
●栞が来ていたことを知っていた香里
香里「こうしてると、時間が止まったように思えるのよね。本当に止まる訳、無いの
にね」
祐一「体調悪そうだな。ちゃんと寝てないんだろう」
香里「あの場所って、冬は寂れてるけど、雪が溶けて春になったら、もっとたくさん
の生徒で賑わうのよ」
祐一「栞が毎日あそこに来ていたことをやっぱり知ってたんだな」
屋上で香里のことを見つけた祐一。香里は体調が悪そうで寝ていない様子。
香里は、栞が毎日のように来ていた裏庭を見ていた。
祐一は、香里が栞が毎日来ていたことを知っていたのだと確認。
# 香里のいたのは美汐がいた屋上の屋根付き部分ですか。
# このシーンでも香里の目が描かれない作画です。
# 「時間が止まったように…」前作では、星空を見上げながら名雪に言った台詞でし
# たね。
# 「雪が溶けて春になったら、もっとたくさんの生徒で賑わうのよ」前作でも印象的
# だった台詞がここで。関係無いけど、前作ではあそこは中庭だったんですね。本作
# では裏庭となっているけれど。
●今日も弁当は豪華版
栞「誕生パーティー?」
祐一「ああ。もし、気が進まなかったら止めるけど」
栞「そんなことないです。嬉しいです。でも、他に出て下さる方って」
祐一「あゆとか、後知り合い2〜3人に声をかけようと思ってる。まぁ、ささやかな
もんだけどな」
学食で栞のお弁当を食べる祐一は、栞の誕生パーティーを提案し、栞も受ける。
# 今日の栞のお弁当はやはりお重2個分と豪華版。
# 前作では無かった誕生パーティーイベント。ゲームではどうだったのかな。
●実際、もうすぐ会えなくなりそうなのだが
祐一「栞、午後の授業サボらないか?」
栞「え?」
祐一「どこでも良い。お前の好きな所へ行こう。今の内に」
栞「どうしたんですか急に」
祐一「あ、いや」
栞「そんな言い方、まるでもうすぐ会えなくなるみたいじゃないですか」
祐一「……」
栞「下級生をを誘ってサボろうとするなんて、不良ですね、祐一さんは」
祐一「悪の道に引き込もうとしたんだが、失敗だったか」
弁当の食べ過ぎで、ホールの長いすに横になる祐一。
祐一は、栞に午後サボらないかと提案。
今の内に、好きな所に行こうと言う考えだが、栞にそんな言い方と言われてやんわ
り拒否されてしまう。
# 祐一、佐祐理さんのあの弁当を完食していたのだから、栞のあの弁当も余裕で完食
# 出来そうな気がするのですが。
# 祐一は残り時間が少ない栞のためにという想いがつい口に出てしまいましたが、こ
# れは失敗でしたね。栞にしてみれば、残り時間が少ないからこそ、普通の日常を送っ
# てみたかった訳でしょうから。
●ムードは大事です
栞「あ〜綺麗ですね」
祐一「夕焼けなんて、そんな珍しいものじゃないだろう」
栞「それでもムードってものがあるじゃないですか」
祐一「女の子の言う事は意味不明だな」
栞「まぶしいですね」
今日も一緒に下校する祐一と栞。
夕焼けを綺麗だという栞。
# 夕焼けを綺麗と言われての反応。本作の祐一らしい。
# ドラマだったらもうすぐ最終回ですという台詞、無くなっちゃいましたね。
●ご招待
名雪「その栞ちゃんってだあれ? うちの学校の生徒?」
栞「ああ。病気で休みがちなんで、友達も少ないんだ。だからせめて俺達でさ」
あゆ「僕は大丈夫だよ。名雪さんは?」
名雪「練習があるけど、ちょっとなら。もうすぐ大会だから、あんまりいられないけ
ど…」
夜。自室であゆと名雪に、栞の誕生パーティーの企画を持ちかける祐一。
栞を知るあゆはもちろん、栞のことを全然知らない名雪もOKしてくれるのだった。
# 前作との大きな違いとして、祐一、栞のことを名雪に全然話していません。お陰で、
# 名雪が香里の所を訪れて…という前作のイベントも無かったことに。
●香里を説得する祐一
祐一「ここにいたのか。栞が学校に来られるのも今日までだ。明日誕生日が来たら、
入院か、自宅療養か。もう外には出られないんだろ」
香里「聞きたくないわ」
祐一「誕生パーティーをしようと思うんだ。お前にも出て欲しい」
祐一「今日の放課後、場所は百花屋」
香里「私は出ないわよ」
祐一「香里。あいつは今を精一杯生きてるんだ。残された時間がどれだけか、そんな
ことは関係無い。最後まで、栞を妹とは認めてやらないのか」
祐一「栞がどうして、毎日ここに来てたか知ってるか。あいつはここで、お前は弁当
を喰いたかったんだ」
祐一「前に約束してたんだってな。入学したら、二人でここで弁当を食べるって。あ
いつはそれを楽しみにしてたんだ。お姉ちゃんと一緒に学校に行って、お姉ちゃ
んと一緒に弁当を食べて、お姉ちゃんと一緒に寄り道して帰る。そんな普通の
ことに憧れてたんだ」
翌日。校舎の外の裏庭に降りる階段の下にいた香里。
祐一は、香里を栞の誕生パーティーに誘うが、香里は行かないという。
祐一は、栞が毎日裏庭に来ていた理由、そして栞は入学したら、香里と一緒に裏庭
で弁当を食べると約束していたこと、姉との普通の学園生活を送ることに憧れていた
と説得する。
# 前から気になっていたのですが、この学校は外に出る時、上履きなのですか…。祐
# 一だけだと思っていたら、香里もそうだし。
# 祐一の説得。栞は姉とは会わないようにしているという言葉とは裏腹に、香里と弁
# 当を食べようと毎日学校に来ていたということか。何となくストーカーっぽい(違)。
# その事を告げられた時に香里が「あ…」となっていましたが、それは栞につきまと
# われていたと感じていたのが、その真意を知って、ということなんでしょうか。
# 栞が普通の生活に憧れていたという話は、本作では香里自身の口から祐一にも語ら
# れている(第16話ラスト)ので、教える必要も無いと思うのですが、敢えて口にし
# た、ということなんでしょうか。
●久しぶりと言っても5日しか経過してません
祐一「その格好を見るのも久しぶりだな」
放課後。授業が早く終わったので一度帰宅して着替えて来た栞。
二人はパーティー会場の百花屋へと向かう。
百花屋の会場で二人を出迎えたのは、名雪、あゆ、北川と栞の同級生だった。
その頃、帰宅した香里が、机の引き出しを開けると中には姉妹の写真。
引き出しを閉めた香里はベッドに突っ伏す。
# 栞のストール姿を見るのも久しぶりって、前に見たのは日曜日でしょうが。
# おおっ。同級生娘ちゃん(仮名)に再び出番があるとは。
# 香里が机に手をつく描写。時節柄机の角に目が(ぉぃ
●第一発見者
名雪「栞ちゃんって、この前祐一を呼びに来た人だったんだね」
北川「どっかで見た顔だと思ったらあれだ。ずっと前に裏庭にいた女の子だろ?」
祐一「そういや、最初に栞を見つけたのはお前だっけな」
北川「そうだよ! なのにお前、俺に無断で手出しやがって」
祐一「誤解を招くようなことを言うな」
北川「栞ちゃんに、水瀬に、えっと…月宮あゆちゃんだっけ?」
あゆ「うん!」
北川「それから栞ちゃんのクラスメイト」
北川「後三年の倉田さんや川澄さんとも仲良いだろ。手が早すぎるんだお前は〜!」
祐一「あたた。訳分かんない」
名雪「北川君。祐一のはそういうんじゃ無いんだよ」
あゆ「そう言うのって?」
名雪「ウフフ…」
クラッカーが鳴らされ、始まった栞の誕生パーティー。
祐一達ばかりで無く、店内に居合わせた高校の生徒達も栞を祝福。
栞のことを良く知らずに招待されていた名雪と北川は、栞のことを以前見かけてい
たことを思い出す。
栞のことを最初に見つけた北川は、何人もの女の子と仲の良い祐一に怒りをぶつけ
るのだが、名雪は祐一のはそういうのじゃない、と否定。
# 百花屋の店内に大勢生徒達が居ましたが、招待客では無くて偶々店内にいた客とい
# うことなんでしょうか。奥の方に全く関係の無い一般客もいるみたいですし。
# 裏庭にいたのを最初に見つけたのが北川…。ごめん、その事実忘れてた(笑)。先
# に出会ったのは祐一達ということで。
# 栞の同級生。学校に来ていないあゆですら、北川に名前を覚えて貰っているのに、
# パーティーに呼ばれても名無しさんとは。
# 手が早すぎるんだお前は〜。北川、全視聴者の心の声を代弁(違)。
# 「そう言うんじゃないんだよ」それは名雪の思いこみかも。
# そう言うのって? あゆ、お子ちゃま……。
●謎ジャムでは無いんだ……
名雪「私と、お母さんからのプレゼント。手作りの苺ジャム」
(中略)
あゆ「ごめんね。ちゃんとしたプレゼント、選ぶ時間が無くて」
(中略)
祐一「で、結局たい焼きか」
あゆ「うぐぅ」
栞の同級生「私からはこれ。手作りのスコーンです」
(中略)
北川「甘い物ばっかりだな」
栞「私、甘い物大好きですから」
祐一「社交辞令じゃないぞ。何しろ主食がアイスクリームなんだ」
栞に誕生日プレゼントを渡す名雪、あゆ、栞の同級生。
甘いものばかりだが、祐一は栞の主食がアイスクリームだと言う。
# 名雪のプレゼント。苺ジャムって作ったのは秋子さんだから自分からのプレゼント
# では全然無いような気が……。
# あゆからのプレゼント、やはりたい焼き……。
# 北川だけ誕生日プレゼントを持って来ていませんな。あ、でもあの服を持って来て
# いた位なので、ダンスで誤魔化すつもりだったか?
# 祐一が主食がアイスクリームだと言い、笑う名雪。ここであゆが何故かきょろきょ
# ろと不思議そうな表情なのは何故だろう。あ、自分がたい焼きが主食だからか?
●香里現る
名雪「祐一、香里にも声かけてたんだね」
北川「香里、紹介するよ。こっちが今日の主役の栞ちゃん。そういや名字は…」
祐一「い…。さぁ! 全員揃ったところで、改めて賑やかに行くか」
(中略)
名雪「あ、そんなことなら、あたしがやるよ」
栞「良いんです。どうぞ。良かったら、食べて下さい」
香里「ありがとう」
名雪「ここ、パフェも凄く美味しいんだよ」
香里「ええ。後で」
2時前、百花屋に姿を現した香里。
栞を紹介しようと名字を訊ねようとした北川に慌てて場を盛り上げようとする祐一。
だが、香里が来た瞬間に場は沈黙に包まれてしまう。
香里にケーキを取ってやる栞。だが、香里は殆ど喋らず……。
# てっきり香里は来ないままに終わるかと思っていたのですが、来ましたか。
# あゆの名字は確認しても、栞の名字は確認しようとしなかったんだ>北川。
# せっかく来たのに、栞と香里の雰囲気が微妙…。
●宴会部長北川
北川「おい、何だこの雰囲気」
祐一「後で説明する。頼む。とにかく盛り上げてくれ」
北川「何か訳ありだな。判った」
北川「イヤッホウ! さて、パーティーと言えばダンスがつきもの。この間の舞踏会
のリターンマッチだ」
(中略)
ウェイトレス「あの、お客様。他の方の迷惑になりますから」
女生徒「平気平気、楽しくやってよ」
女生徒「北川君、格好良い」
北川「サンキュー! という訳で香里、どうぞ手を」
香里「わ、私は遠慮するわ」
(中略)
祐一「よし、それじゃ俺が相手してやるか」
北川「マジか?」
祐一「マジだ。俺が相手じゃ不服か?」
北川「不服に決まってんだろ!」
祐一「遠慮すんな!」
(中略)
北川「しゃーねーな」
香里が来た途端、沈黙に包まれた場。
祐一は北川に盛り上げてくれるよう依頼。
何か訳ありだと察した北川は、舞踏会の時の服を取り出し、踊りで場を盛り上げよ
うとする。
ウェイトレスに注意されかけるが、店内の生徒達は拍手喝采。
ここぞとばかり、香里とダンスをしようとする北川だが断られる。
祐一は栞を誘うが、それも遠慮され、仕方ないとばかりに祐一は北川と踊ることに。
当然、北川は嫌がるが、結局二人はノリノリで踊り出し、店内を爆笑の渦へと巻き込
んでいくのだった。
それに釣られ、笑いかける香里と栞。だが、結局二人のぎこちない雰囲気は変わら
ず……。
# 北川のプレスリー風衣装が再び出て来るとは(笑)。プレゼントを用意して来なか
# った辺りと言い、最初からするつもりだったでしょ。どさくさに紛れて、香里と踊
# ろうとしているし。
# 前作では祐一と公園で踊った栞。本作では北川とだったのでパス(笑)。
# 祐一と踊り出した北川。あの謎踊りは何なんだ。
# 最後には顔にマジックで落書きまでしているし。あれ、良く後で落とせたな。
# 最初はお互いに目を逸らしていた香里と栞。でも栞の方は香里の方を決意したかの
# ように見ていたのに、香里の方は目を背けたまま。このままこの場はお別れかなぁ
# と思ったのですが。
●姉妹の名乗り
あゆ「栞ちゃん大丈夫? 疲れたんじゃない?」
栞「平気です。楽しかったです。皆さんとご一緒出来て。あ…」
名雪「栞ちゃん。今度一緒にお昼食べようよ」
栞「え、良いんですか?」
栞の同級生「じゃあ、私も」
あゆ「僕も!
祐一「お前は学校が違うだろ」
あゆ「うぐぅ」
北川「それ乗った! 相沢一人に独占させとくのは勿体ない」
祐一「だから、誤解を招くようなこと言うなって」
北川「何でだよ。こんな可愛い子、彼女にしたいと思わないのか」
香里「ホント見る目が無いわね、相沢君は」
(中略)
祐一「余計なお世話だ」
香里「余計じゃ無いわよ。だって、栞は、栞は、私の、妹なんだから」
(中略)
香里「栞、あの」
栞「あ…」
香里「あ…。後で、一杯話そうね」
栞「うん」
香里「相沢君。妹をお願いね」
祐一「ああ」
栞「ありがとうございます。祐一さん。私、とても幸せです」
誕生パーティーが終了し、店外に出た祐一達。
しかし、香里は離れた場所に立ったまま。
栞に今度一緒にお昼を食べようという名雪。
続いて、栞の同級生やあゆ、北川もその話に乗ってくる。
栞が祐一の彼女と誤解させるような言い方をする北川に、誤解を招くようなことを
言うなと言う祐一。
すると香里は、祐一が見る目が無いという。栞は自分の妹なのだからと。
栞が香里の妹だと知り、驚く名雪達。
そんな名雪達を押しやり、香里は祐一と栞を二人きりにしようとする。
栞に、後で一杯話そうねと言い残して…。
# こういう形で栞と姉妹の名乗りを上げるとは思いませんでした。前作の涙で抱き合
# うのも良かったのですが、本作は笑顔。普通の生活を送りたい、というのが栞の望
# みなので、姉妹の名乗りもそれまで無視していたことが無かったように自然に、と
# いうことなんでしょうか。
# 香里と栞が姉妹であるのに名乗らなかった事情について何か叫びかけた北川。生き
# 別れの姉妹とか思ったのかな。
# 栞が妹だと名乗りを上げてから、香里と栞が赤くなっているのが可愛い。
●最後のデート
祐一「次は、どこへ行こうか」
栞「え」
祐一「まだ、時間はあるんだろ? どこでもつき合ってやるぞ」
香里達が去った後、残された二人。
祐一は、どこでもつき合ってやると言う。
残された時間を商店街で楽しく過ごす二人。
# ゲームセンターのモグラ叩き。流石に5匹は叩けるだけに進化しました(笑)。
# さっき食べていたばかりなのに、やはりここでもチョコチップアイスを食べますか。
●まずは手を繋ぐ所から
祐一「まだ、帰らなくて良いのか?」
栞「はい。今日は遅くなるって言ってありますから」
(中略)
栞「手を繋いで貰えませんか?」
日が暮れた後の公園。
今日は遅くなると言ってあるという栞。
降り始めた雪。
手を繋いで貰えないかと頼む栞に、祐一は手を差し出す。
# 最後の日だけあって、今日は遅くまでOKな栞。そのままお泊まりコースか(違)。
# 元のゲーム何かだと、このまま…ということ? 等と妄想していたら、手を繋ぐ所
# から始めますか。そう言えば未だ、手を繋いだこともありませんでしたっけ。
# 前作では祐一の方から病人の栞を今日は24時までだろう? …と連れまわしてい
# ましたね(笑)。
# 雪が降って来た時も、栞の目が描かれていません。別れの時間が刻々と近づいてい
# るので、暗くなっているのかな。
●奇跡は起こるから奇跡
栞「私、祐一さんにはどんなにお礼を言って良いか判りません」
祐一「大したことして無いさ」
栞「祐一さんは、強い人ですね」
祐一「強いのは栞の方だ」
栞「そんなこと無いですよ。私、自分の手首を切ったことがあるんです」
祐一「あ…」
栞「祐一さんと最初に出会った日の夜、カッターナイフで。三学期の始業式の日でし
た。自分の部屋からお姉ちゃんを見送って、その後私も部屋を出ました。普段は
殆ど使うことも無かった、このストールを羽織って。このストール、お姉ちゃん
から貰ったものなんです。丁度一年前、プレゼントをせがんだ私に一日早く渡し
てくれたんです」
栞「コンビニでカッターナイフを買って、必要も無いのに、他にも色々な物を買って、
最後の雪景色を楽しみながら、家に帰る途中、祐一さんとあゆさんに出会ったん
です。あの夜のことを私覚えています」
栞「電気の消えた自分の部屋で、たった一人で、何も聞こえなくて、何も見えなくて、
何も考えられなくて、この世界に一人だけ取り残されたような感覚。自分だけが、
場違いな場所に迷い込んでしまったような…」
栞「その時、ふと笑い声が聞こえたような気がして、それは、昼間出会ったあの人の
声で、あの笑顔をあの楽しそうな声を思い出して、今の自分がどうしようも無く
惨めに思えて。本当に久しぶりに笑って。次の誕生日まで生きられないってお姉
ちゃんに教えられた時にも流せなかった涙が流れて。笑って出た筈の涙が止まら
なくて、自分が悲しくて泣いていることに気づいて、そして、ひとしきり笑った
ら、もう切れなくなってました。もしかしたら、これが奇跡だったのかもしれま
せんね」
祐一「それは栞の強さだ」
栞「私は弱い人間です。他人にすがらないと生きて行けない、弱い人間なんです」
祐一「それで良いじゃないか。誰だって、人にすがらないと生きて行けないんだから。
起きる可能性があるから、奇跡って言うんだ」
栞「そうかもしれませんね」
祐一「俺と約束してくれるか」
栞「約束…ですか?」
祐一「もし奇跡がおきたら、学食で昼飯奢りな」
栞「わかりました。約束します」
公園の噴水の側に腰を下ろした栞と祐一。
祐一が強い人だと言う栞。
強いのは栞の方だと言う祐一に、栞は自分が手首を切ったことがあると告白。
それは、祐一とあゆが栞と初めて出会った日の出来事。
死ぬつもりでコンビニでカッターナイフを購入した栞は、その夜、手首を切ろうと
した時、祐一とあゆのことを思い出して笑い泣き。いつしか本当に悲しくて泣き出し
てしまい、結局死ぬことが出来なかったと言う。
もしかしたら、これが奇跡なのかもしれないと。
それが栞の強さだという祐一。
誰だって人にすがらないと生きていけないという祐一は、奇跡は起きる可能性があ
るから奇跡なのだという。
そして、もし奇跡がおきたら、栞が学食で奇跡を奢ると約束させるのだった。
# 噴水に腰を降ろす栞の描写があまりにも際どすぎます(笑)。
# Kanonの名シーンの一つ、栞のリストカット告白来ました。前作だと祐一達と最初
# に出会った時に、カッターナイフを見られまいとあゆに散らばった荷物を拾わせな
# かったのですが、本作では拾わせてました。それで、あの時はカッターナイフは購
# 入していなかったかな…と思ったら、やはりあの時に買っていたようで。
# 栞のストール、前作では前年のクリスマスプレゼントでしたが、本作では1年前の
# 誕生日プレゼントということに変更になってますね。
# 栞のカッターナイフ。本当はこんなので自殺なんか出来ないと思いますけど……切
# ったら痛そう……。前作ではこのシーンを香里が見ていて…というエピソードがあ
# りましたが、本作では無いんでしょうか。
# 栞が死のうとした時、天窓から月明かりが差し込むのですが、この時の月の形は、
# 1999年1月8日頃の月の形とほぼ同じ(月齢 20.2)ようです。原作のゲームは確
# か1月7日始まりで、次の日に栞と出会うので、これに合わせたということでしょ
# う。ただ、そうしてしまうと今度は成人の日のスケジュールに矛盾が……。
# 奇跡は起こる可能性があるから奇跡。こちらも祐一の名台詞。前作と異なり、奇跡
# (真琴編)を先に見ていることで描き方に何か変化があるかと思っていたのですが、
# 結局同じでしたね。
●最後まで笑っている栞
栞「祐一さん。今日は楽しかったです」
祐一「俺も楽しかった」
(中略)
栞「行きたい場所、やりたいこと、まだ沢山あるのに」
祐一「……」
栞「私、多分死にたくないです。本当は、こんな風に誰かと仲良くなってはいけなか
ったのかもしれません」
祐一「そうかな」
栞「だって、その人にお姉ちゃんみたいな思いをさせるだけですから」
祐一「俺は栞と会えて良かったと思ってるぞ」
栞「ホントですか?」
祐一「本当だ。嘘じゃない」
栞「あ…。私、笑っていられましたか?」
(中略)
栞「ずっとずっと、笑っていることが出来ましたか」
祐一「あ…。ああ。大丈夫だ」
栞「良かった」
祐一に今日は楽しかったという栞は、多分死にたくないと言う。
本当は誰かと仲良くなってはいけなかった。
姉のような思いをさせるだけだからと。
栞と会えて良かったという祐一に、笑っていられましたかと栞は聞くのだが。
# 本当は死にたくないという栞の本音が出たと思ったら、笑っていられましたかと、
# 最期を覚悟したようなことを言う栞。祐一がこの時、もの凄いショックを受けたよ
# うに感じられましたが、もう諦めていると思われたんでしょうか。
# 前作では死ぬことが判っていながら笑っていた栞のことを香里は泣けば良いのにと
# か言っており、辛く思っていた筈なのですが、本作ではこの辺りはどうだったのか
# な。
●誕生日
栞「もうすぐですね」
祐一「ああ」
栞「12時になったら、私もやっと16歳です」
祐一「そうだな」
(中略)
祐一「誕生日おめでとう、栞」
栞「あ…。開けて良いですか?」
祐一「ああ」
(中略)
栞「ありがとうございます。大切にします」
12時が過ぎ、誕生日を迎え16歳となった栞に、祐一は用意してあった誕生日プ
レゼントを渡す。
祐一のプレゼントはスケッチブックで栞は喜ぶ。
そして栞は、祐一の頬にキスをすると、暖かい物を買って来ると祐一を残して駆け
て行くのだった。
# 前作では栞と香里の姉妹愛を確かめ合うという栞編のクラスマックスだったのに、
# 本作では祐一と栞の愛を確かめ合うエピソードとなったようで。
# 栞がキスする直前、画面が一瞬暗転するのは何ともギャルゲー的演出。
●消えた栞
祐一「ハッピーバースデー。栞」
暖かい飲み物を買いに出たまま戻らない栞。
栞だけで無く、プレゼントまで無くなっていることに気づいた祐一は、自動販売機
に向かう。
そこには、スケッチブックを一枚破いて書かれたメッセージだけが残されており、
栞はもういなくなっているのだった。
そのメモに向けて祐一は「ハッピーバースデー。栞」と呟くだけだった…。
# このラストシーンは驚きました。前作と違って、栞は最後まで祐一の前で涙を見せ
# ようとしなかったので、このままだと別れる時に泣いてしまいそうだから、とこの
# ような別れ方を選択したのでしょうか。それにしても、このまま栞と二度と会えま
# せんでした、というような話だと、余りにも救われない話となってしまうのですが
# ……。
# 祐一が待っている間、香里と栞の夢見た普通の学園生活が描かれるのですが、何と
# なくこういう絵が出るのって死亡フラグみたいで嫌ん。
# 本作のパターンだと、次回にも後日談があるようですが、普通に入院かな?
●次回予告
祐一「名雪、お前好きな奴居ないのか?」
名雪「んー。それじゃあ」
北川「栞ちゃん」
祐一「う…」
あゆ「祐一君! どうしたの祐一君!」
祐一「俺は…」
祐一「北川」
北川「うぇ〜」
ちび祐一「今嘘くさいって思っただろ」
ちびあゆ「ちょっと」
ちび祐一「でも本当だ」
名雪「本人は自覚が無いみたいだけど」
ちびあゆ「僕のこと、忘れないで下さい」
第19話「ふれあいの練習曲(エチュード)〜etude〜」
結論。名雪の好きな人は栞で祐一の好きな人は北川。
# 文字にして書くとそうとしか読めない。