真琴を連れ帰って来た祐一、真琴を巡ってのお話、栞との校内での再会、あゆとの三度目の出会い、ラストで魔物と戦う舞までのお話。東映版(以下、前作)の第3話相当のお話をメインに、第2話の話も入っていますね。
(長文・ネタバレ注意)
アバンタイトル
「夢。これが夢であることに気づいたのは、何時だったろう。ずっとずっと昔。それともほんの数分前。その答えさえも、夢の中に霞んで。流れているのかさえ判らない時間の中で、何時か、目覚める日を夢見ながら…」
東映版の第3話とは全然違うモノローグですね。ゲームであるのかな。
親子だけに…
名雪「お帰り〜。おでん種、買ってきてくれた? …大きなおでん種」
祐一「あ? これが食い物に見えるのか、お前には」
秋子「まぁ、大きなおでん種」
祐一「いや、そういうボケは良いですから」
突然襲いかかって来た挙げ句倒れた少女(以下、真琴)を背負って帰宅した祐一。
背中の真琴を見て、おでん種とぼける名雪と秋子さんが何とも。
前作だと秋子さんが商店街に通りかかって、秋子さんに言われて家に連れて帰って来たんでしたね。
要約せずとも事実はこれだけ
祐一「歩いてたら、一方的に殴りかかって来て、気絶したんだ」
名雪「端折りすぎだよ。それじゃ全然判らないよ」
祐一「と言われても…。本当にそれだけの話なんだ」
空き部屋に布団を敷いて寝かされた真琴。祐一の説明に端折りすぎという名雪ですが、確かにこれ以上詳しく解説しようはありません。
家の人も心配するだろうしと、起こそうと提案する秋子さん。普通、こういう時は無理に起こさず目覚めるのを待ちそうな気がしますが。前作では秋子さんが「目を覚ますまでそっとしておきましょう」と言ってましたね。
鼻をつついても起きないので、「飯だぞ」と言った祐一。途端、跳ね起きて「ご飯、どこ」と動き回る真琴。今回、この真琴の描き方が何とも凄くて、観てて楽しかったです。
# 第2話までと異なり、今回のアバンタイトルはここまでと長い。
明るい記憶喪失
祐一「記憶喪失なのに、何で俺のことだけ覚えてるんだよ」
真琴「あんたに恨みがあることだけは覚えてたの。でも他のことは何にも覚えてないの」
祐一「そんな記憶の良い記憶喪失があるか」
真琴「あるんだからしょうがないじゃない。う〜」
夕食を共にすることになった真琴。突然人数が増えたような時にはおでんのようなメニューは最適。
その席で、真琴が自分が何者であるのか忘れていることが明らかに。
前作では真琴は名前だけは最初から覚えていた筈ですが、本作では真琴は名前すらも忘れていることになっているんですね。
それにしても、自分の名前も判らないのであれば、もう少し悩んだりしても良さそうなものなのですが、真琴は随分とあっけらかんとしたものです。祐一がそんな都合の良い記憶喪失があるかと言うのも無理はない。前作はそれなりに暗い表情で語っていただけに尚更そう思います。
前作では記憶喪失かどうかはともかく…と、真琴の言葉を完全に信じ切っていた訳でも無いのに、こちらの方ではあっさりと信じているのかな。
取っておいたきんちゃくを真琴が食べてしまったことにより怒る祐一。
喧嘩する祐一達を見守る名雪がニコニコしているのが印象的。嫉妬とかしないのかな。
真琴の財布の中身は……
祐一「大体お前、俺を恨んでるんだろ? そんな奴の家に厄介になろうと思うか? 普通」
真琴「だって、それは唯一のあたしの道標だから」
名雪「ん、道標? 祐一が?」
真琴「沢山のことを忘れちゃってるけど、ただ一つだけ覚えてることがあったの。それをこいつの顔を見た時思い出したの。こいつが憎いって」
祐一「はー。もの凄く迷惑な道標だ」
床に広げられた真琴の財布の中身は、千円札、レシート、テレカ、割引券など。
写真(プリクラ)がお札の間から出て来たものの、映っているのは一人だけ。
記憶を無くした後で撮ったものだそうですが、同じ年頃の女の子が撮っていたからだとかか。
テレカとか、プリクラとか、何となく今となっては原作が出てからの時間の経過を感じさせるようなアイテムな気が。あ、でもプリクラは今でも盛んなのかな。
記憶が戻るまでここにいる、という真琴。図々しい娘だな。
警察を呼べ、と祐一が言った途端、名雪の後ろに隠れる真琴。
この後で、祐一の頭を殴ってその直後に名雪の後ろに又隠れる真琴が可愛い。
名前も含めた記憶を失っても、祐一が憎いということだけは覚えていた真琴。
どんなむかつく奴でも、それが唯一の記憶の出かかりだから、ここにいるって…。
気持ちは判るけれど、記憶が無いことに対してあまりにもあっけらかんとしているので、祐一がこんな奴と一緒にいれるか! …と考えるのも当然だとは思いますが。
了承
祐一「見ろ。一秒で了承されてしまったじゃないか」
名雪「お母さんが良いって言うんだから、OKだよ」
秋子「祐一さんと一緒に居れば、この子も何かを思い出すかもしれないでしょ? しばらく様子をみましょう。あの部屋は自由に使ってね」
真琴「うん。やったー。自由に使って良いって。自由、自由、やったやった」
名雪「良かったね」
祐一「やれやれ」
秋子「祐一さん」
祐一「え」
秋子「明日警察で行方不明の届けが出てないか、聞いてみます。そうすれば、身元がわかるかもしれないし」
お母さんにここにいていいかどうか聞いてみようかと言い出した名雪。
あの人に聞いたら了承されるのが目に見えてるぞと言った次の瞬間に「了承」と秋子さんが言い出したので爆笑。この秋子さんの「了承」、人気のある台詞のようなのですが、何でだろ?
# 見返してみたら、前作でも「了承」の台詞はありましたが、名雪が記憶が戻るまでいさせてあげようと言うまでのやり取りを見ていた上での「了承」だったので、あまり印象に残らなかった…。
そんなあっさりと了承して良いのか! …と思ったのですが、一応警察には行方不明の届けが出ていないのかの確認をするという辺り、一応まともなことも言っていたので安心?
それは兎も角、秋子さんのアップに萌え来るっていたのは内緒です。でも多分秋子さん、私よりも年上……(笑)。
何か事情があるのかもしれないしと、警察に真琴を連れて行かないことにした秋子さん。
祐一が「ん?」となってましたが、秋子さんがその事情とやらに心当たりがあったりして。
殺村凶子〜♪
祐一「お前も秋子さんも何でそう大らかなんだ?」
真琴「見てなさいよ。頑張ってとっても可愛い名前を思い出してみせるから」
祐一「頑張って名前が可愛くなるか!」
居候することになった以上、名前が必要と祐一が考えた名前は「殺村凶子」。幾ら何でもあんまりだ(笑)。
最初の出会いが最悪とはいえ、あゆへの対応と比べて、あんまりにも意地悪です。
ここでも、祐一と真琴を見比べて名雪が笑ってますが…。
兄妹みたいに見つめているのかな。
夜食
名雪「大きなおでんだね」
祐一「そのボケはもう良い」
秋子「こんな夜中に近所迷惑よ」
真琴「あう〜。死ぬ程びっくりしたよ。お腹空いてただけなのに」
祐一「さっきばくばく飯喰ってたろう! 俺のおでんまで強奪して」
真琴「強奪なんかして無いもん。あれは只の横取り」
深夜。部屋をこっそりと抜け出した真琴。
その後をこっそりとつけた祐一は、冷蔵庫を漁る真琴を見て悪巧み。
偶々落ちていた蒟蒻を真琴のパジャマと背中の間の隙間に投入。
びっくりした真琴が跳ね回るのが可愛い。
# あの高さから落として、蒟蒻が入ると言うのが凄い。
前作では確か気を失ったままだった真琴が夜中に目を覚まして…という展開でしたが、本作では真琴が大食いという感じに見えて仕方がありません(笑)。
秋子さんが作った夜食は、前作の雑炊からお茶漬けに変更に。
祐一達は別にお腹は空いていないのではという気もしますが、一緒に食べるんですね。
ノートを借りた理由
祐一「でも確かに、俺はそのころのことを覚えていない。7年前にあいつと何かあったんだろうか」
記憶喪失の女の子が来ていると聞き、昔その子とどろどろの恋愛関係にあったのではという北川。漫画か何かの見過ぎです。
7年前に何かあったのだろうかと考える祐一。
前の学校よりも授業の内容が進んでいると言い、名雪にノートを貸して貰います。
前作では真琴がノートの全ページに悪戯書きをしていた結果、名雪のノートを借りざるを得なくなるのですが、大分変わってますね。
そもそも、祐一の話し方からして名雪と視線があっちゃったので、言い訳として授業が進んでいる云々の話をしているようにも見えます。転入試験を通った位なので祐一、頭が悪い訳ではないでしょうし。
教室から出る理由
名雪「祐一、学食行くんじゃ無いの?」
祐一「悪い。すぐ戻って来るから」
北川に外に誰か立っていると教えられた祐一。
祐一は、立っているのが昨日出会った少女(栞)だと気づきます。
前作では第2話で栞と校内で出会ったシーンに相当します。この時は、栞が立っていると知るとトイレを口実に笑われながら教室を出る…という展開だったのですが、本作では都合良く鐘が鳴り教室を抜け出る…という妥当な展開となっていますね。
栞は確か、不治の病(名無し)だったと思うのですが、こんな雪が降る中傘もささずに、あんな格好で立っていたら身体に悪そうです。前作では雪は降ってませんでしたし。
栞との再会
祐一「いや、もっと難しい病名が出て来るのかと思った」
栞 「それなら、流行性感冒でも良いですよ」
祐一「同じだろ」
栞 「ん…。今日は人に会うためにこっそり出て来たんです。授業を休んでるのに学校に来ているのが見つかったら、叱られますから」
祐一「ここで待ち合わせしてるのか?」
栞 「いいえ。実は私もその人のこと、良く知らないんです。名前も知らないし、学年もクラスも判らないんです」
祐一「会ったことはあるんだろう?」
栞 「ありますよ」
祐一「どんな奴なんだ? 男か、女か?」
栞 「それは秘密です」
丁度昼休みに入ったため、名雪にはすぐ戻ると言い残して校舎の外へと出た祐一。
木の側で出会うというのは、栞登場のパターンなのか?
帰ったと思った栞は、木の陰から現れて祐一に話しかけます。
この辺りの栞視点で回り込みで見せる祐一とか、二人の描き方が印象的でした。
ずっと学校をお休みしている理由が風邪だという栞。
もっと難しい病名が出て来るかと思ったという祐一に、流行性感冒とぼける辺りは、前作には無かった部分ですね。
栞が学校に来た理由。誰がどう聞いても祐一に会うためと聞こえます。
名乗らない名字
祐一「ずっと休んでるって言っても、一昨日までは冬休みだったじゃないか。大体、昨日も買い物してただろ?」
栞 「そう言えばそうですね。私、今日はこれで帰ります」
祐一「誰かに会うんじゃ無かったのか」
栞 「今日はもう良いんです。すみません。付き合わせてしまって」
(中略)
祐一「俺、相沢祐一」
栞 「私、栞です」
祐一「…名字は?」
ずっと休んでると言っても昨日までは冬休みとの祐一の突っ込みは前作にはありませんでしたね。というか、その事実、祐一が指摘するまで忘れていました(笑)。
栞は本当に休学中なので、冬休みが何時までかというのを素で忘れていたんでしょうけど。祐一も長期療養中だとか考えないんでしょうか。
前作では「もう、用事は済みましたから」と、用事が祐一に会うことであることがはっきりと判る展開でしたが、本作でははっきりと返答せずに、祐一に判らないように回答していますね。
栞が帰り際、唐突に名乗った祐一。惚れたか(違)。
前作では栞の名を先に聞いてから、後で名乗ろうとして栞はもうその名前を知っていた…ということで、栞が記憶力が良いという話が何故か消えてますね。
それと前作で栞はフルネームを名乗っていて、香里と同じ名字であることから、姉妹か何かと訪ねて香里が激昂する…というシーンが印象的でしたが、本作では栞が敢えて名字を名乗らないみたいですね。
嘘つき(2回目)
佐祐理「あはは。昨日ぶつかった人ですね。あの後、どこか痛くなりませんでした?」
名雪「はい。平気です」
佐祐理「私たちも大丈夫でした。ね、舞?」
舞「うん」
栞と会っていたのは僅かな時間だと思うのですが、画面上で見るよりは長いこと一緒だったということかな。昼食を一緒に食べる筈がすっぽかされた名雪が怒ってます。
前作では、長いトイレだったので先生が怒っていた、という話だったかと思いますが。
結局、名雪に何か奢るから、ということで機嫌を取る祐一。
「寿司とか寿司とか寿司とか」って、高い食べ物は寿司だけじゃないぞ>祐一。
でも、名雪はそんなこと気にしていなさそうです。
階段と言えばこの二人、というパターンでも作るつもりなんでしょうか。
倉田佐祐理と川澄舞が今日は階段の上の方から降りて来ます。
昨日ぶつかった後で、どこか痛くなりませんでしたか? …と聞いた後で、「私たちも平気でした」と聞かれもしないのに言うのが何となく微笑ましかったです。
舞は相変わらず無口なのですが、「帰る」と言っていたのに、佐祐理が図書館に本を返さなくちゃいけないんだけどと言うと、「じゃあ、一緒に行く」と言うのが何とも。この台詞の時だけ、何となく口調が柔らかい印象を受けますし。実は百合(違)。
「どこか寄っていこうか」という話は、前話の北川が香里に言っていた話を思い出します。
目立つ二人だなという祐一に、名雪は二人のことを紹介。
佐祐理ちゃん、すごく頭が良いのか…。舞のことも知っているようですが、こちらの方は別の意味で有名人でしょうから…。
流石に三度目ともなると
あゆ「やっぱり祐一君だ。エヘヘ。嬉しいよ」
祐一「えへへじゃない。離れろ!」
あゆ「うぐぅ。祐一君が捨てた」
祐一「頼むから普通に登場してくれ」
(中略)
祐一「いや、判った。俺の負けだ」
あゆ「え?」
祐一「うーん。俺では使いこなせなかった。うぐぅはお前だけのものだ」
(中略)
祐一(名雪もたい焼きくらいで許してくれると良いんだけどな)
帰り際、商店街を通りかかった祐一は、背後からあゆに襲いかかられ…もとい、抱きつかれます。
あゆの祐一に対する態度がはっきりと好意的なものに変わってますね。
一方祐一はあゆを「うぐぅ」の口癖でからかうのは相変わらず…と思ったら、怒らせたと感じるとたい焼き屋でたい焼きを奢ったりと随分と優しくなってます。
# そう言えばお金の問題はどうなったんだろう?
あゆの捜し物
あゆ「ううん。全然そんな事無いよ。大切なものを落としちゃって、それを探してるんだよ。大切な…すっごく大切なもの」
祐一「何だ…。財布でも落としたのか」
あゆ「違うよ。僕が落としたのは…あ…あれ?思い出せない」
(中略)
祐一「何時落としたのかも判らないのか」
あゆ「うん。何時、どこで落としたのか、全然思い出せないんだよ。何か判らないけど、本当に大切なものなんだよ。自分でもおかしなこと言ってるって思うけど」
あゆが商店街にいる理由について聞いた祐一。
あゆは、何か大切なものを落として、それを探しているのだと言う。
祐一は、あゆと一緒に探して回ることに。
7年間の変化の象徴
祐一「あ…。そうだあゆ。携帯とか持ってたら、番号教えてくれないか」
あゆ「携帯…って何?」
祐一「本気で聞いているのか?」
あゆ「うん」
祐一「携帯電話のことだ」
あゆ「携帯電話って、電話の親戚?」
祐一「まぁ、そんなもんだ」
あゆ「そっか。一つ勉強になったよ。僕、もう行かなきゃ。それじゃあね。祐一君」
祐一(記憶の無い女の子。何を落としたのか思い出せないあゆ。そして、7年前のことを覚えていない俺。この街には、記憶をなくす魔法でもかかっているのか)
あゆの捜し物のため、良く行く先を一緒に回る祐一。
クレープ屋ではメニューが増えたと騒ぎ、他の店でも全て食べ物屋ばかり。
しかし、最後に向かったケーキ屋はそもそも存在せず。
前作では空き地になっていましたが、こちらでは書店になっていましたか。
前作では祐一はあゆに連絡先を聞こうとして失敗していたような気がしますが、本作では携帯の番号を聞き出そうとしています。前作でも携帯を持っている人は描かれていましたが、ゲームの初出時(1999年)からすると、ひょっとするとこの台詞って当初のゲームには無いのか?
どちらにせよ、あゆの正体(?)の伏線ってことで。
この街には記憶をなくす魔法でもかかっているのかという祐一の台詞は前作には無かったような。
今回のタイトル「記憶のない組曲」ってのは、記憶のない人が何人もいる状況ってことでしょうか。
思い出した名前
秋子「祐一さん。この子、名前思い出したんですって」
祐一「え」
真琴「そう!真琴、沢渡真琴。良い名前でしょう」
祐一「沢渡真琴」
真琴「うん。悔しいでしょ祐一。可愛い名前で」
祐一「男みたいな名前じゃないか」
真琴「可愛いの。真琴が真琴は可愛いって言ってるから可愛いの。あーあ。祐一なんて変な名前じゃなくて良かった」
祐一「普通だ」
帰宅した祐一を迎えた真琴は機嫌良さそう。…そして激突ですか(汗)。
秋子は、真琴が自分の名前を思い出したと祐一に告げる。
真琴が真琴は可愛いって言ってるから可愛いのって、俺基準ですか…(笑)。
お風呂に先に入ると言っている真琴に居候の癖にという祐一。
祐一、この家の居候じゃなくて家族と自分から言ってますか。
ラストシーン
深夜の学校で何者かに剣を振るう舞たん…というところで次回へと続きます。
次回予告
真琴「イヒヒヒ…」
祐一「俺に仕返ししに来て、又失敗したって所か」
真琴「今に見てなさいよ!」
香里「私はちょっと家に居たく無いだけ」
あゆ「うぐ…又ぶつけた」
祐一「真琴、出て来いよ。紹介するから」
あゆ「真琴さん?」
あゆ「食べる? たい焼き」
祐一「じゃ」
名雪「じゃ、じゃないよ」
第4話「休日の奇想曲(カプリース)〜caprice〜」