カレンダー

  • «
  • 2004.12/
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • 31
  • »

記事一覧

姉妹

4300e25e.jpg姉妹 1955年 モノクロ 95分 独立映画

■監督 家城巳代治
■原作 畔柳二美
■脚本 新藤兼人/家城巳代治
■出演 野添ひとみ/中原ひとみ/望月優子/多々良純/北林谷栄/殿山泰司

姉妹と書いて「きょうだい」と読む。貧困と対峙する青春・・・。独立映画などといわれると教条的な匂いがプンプンしてきて逃げ出したくなる向きもあるが、「川口隊長の奥さん綺麗だわ~」とか「元祖歯磨き一家の奥様も可愛かったのねえ~」などと全くもって不謹慎な興味を持って最後まで見入ってしまった。綺麗な人は綺麗だし、可愛い人は可愛いのだから仕方がない。思想教条的な映画は他にたくさんあったはずで、この程度の内容ならば当時としてはごく当たり前のヒューマンストーリーだったのかな?とも思う。さすがに発電所の屋上で働く若者達が合唱する様は合唱部だった私でも見ていて気恥ずかったが、日活の裕次郎映画「陽のあたる坂道」や「あじさいの歌」あたりでも家族が団らんのあとに合唱したり、若者がパーティーの途中で合唱したりするシーンが見られる。この点も、当時としてはそれが進歩的かつ民主的な光景としてイイ感じだったって程度のことなのかも知れない。さて、本題。例によってこの映画の舞台も長野県。映画では松林市という架空の地名となっているが松本市がロケ地だ。松本城もしっかりと登場。姉妹は現在の松本市役所の前の道を歩きながら北上し、姉は松本カトリック教会に入っていく。道路は未舗装で広場のようにやたら広い。当時、このあたりは地蔵清水と呼ばれていた。移転前なのでそこにはまだ市役所は無い。道路沿いには古い民家や商店が並んでいる。現在は松本カトリック教会の左脇に南を向いて建っている地蔵清水(井戸)の石碑が、筋向いである松本城のお堀の角に東向きに建っているのも確認できる。松本カトリック教会は建て替えられてしまったが、現在も外観の雰囲気は当時とあまり変わらない。隣にあった司祭館は重文開智学校の隣に移築され今はそちらで見ることが出来る。姉妹の伯父さんが賭博で捕まったあと出てくる松本警察署はナワテにあった旧市役所だ。伯父さんは旧市役所から出てきて一ツ橋を渡り姉妹と会話する。夜の繁華街のシーンもオイシイ。伯父さんが松本城の外堀に浮かぶ「かき船」という食堂から出てくる。この店は現存する。どうやってこんな場所に出店できたのやらとても不思議な店だ。北アルプスの山小屋と同じで物事が細かく規制されていない時代に得た既得権なのかなとしか思えない。中原ひとみ役のニックネーム(コンチ)が子供の頃の私のものと同じだったのには笑った。彼女の友達の家は裕福な作り酒屋という設定で、それは「笹の誉」の笹井酒造。女鳥羽川沿いにあったササイというスーパーが笹井酒造の跡地だが、広々としているので島内の蔵なのではないか。大きな屋根に特徴のあるこの地方独特の古民家だ。衝撃的なレズシーン?が撮られたぶどう畑の場所は不明。常識的に考えると山辺あたり。当時は清水、横田、惣社あたりも一面田畑だったと思われるので、案外街に近い場所で撮られたか可能性もある。で、なんと肝心の学校の場所がまだ特定できてない。判る方、ぜひご教示ください。さて、姉妹の故郷である発電所だが、これは松本市ではない。故郷の駅を降りてそこから急峻な山道をバスで行った先に発電所はある。バスは山梨交通。よって山梨県であることが判る。駅も周囲の山に特徴があるので足を使って調べれば判るだろうと思う。発電所に関してはおそらく早川第一発電所だ。大正10年に建てられた古い発電所で、当時は多くの人が働き、古風な建物が特徴的だ。発電所を施工した鴻池組のWebSiteにあった写真と映画の発電所の外観はかなりの部分で一致する。いずれも関係者に聞けばすぐ判ることだが、独力で検証していくのもまたパズルを解くようで面白い。最近の映画やテレビドラマのロケ地を探すのは簡単なパスルとすれば、50年前の映画のロケ地を探すのはかなり難易度の高いパズルだ。だから余計に面白い。