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若いやつ

7e34e2ef.jpg若いやつ 1963年 カラー 91分 松竹

■監督 市村泰一
■原作 北条誠
■出演 橋幸夫/賠償千恵子/志村喬/沢村貞子/小坂一也/菅原文太

橋幸夫の歌謡映画。前年に「下町の太陽」で大ブレイクした賠償千恵子がヒロイン役。若き日の菅原文太の顔も見える。物語はバス会社の社長の息子(橋)が身分を隠し営業所で修行するという設定。そのバス会社が驚け!「川中島バス」。実名でバンバン登場する。川中島自動車時代の濃い緑のバスが最初から最後まで映画に出まくり。主人公が修行する場所は冬の赤倉営業所。田口駅(現・妙高高原駅)から赤倉スキー場までスキー客を運ぶ実際に存在する路線だ。田口駅は木造の旧駅舎、バスも鼻(ボンネット)の付いた古いもの。スキーを載せる車両後部の籠が懐かしい。極めつけは橋幸夫と賠償千恵子のデートシーン。場所が長野市。いきなり仏閣型駅舎だ。地附山ロープウェーに乗った二人は雲上殿からロープウェー雲上殿駅の2階テラスに歩いてきて雪の長野市街地を眺める。善光寺で鳩に豆を与えた後は御数珠頂戴。善光寺も大サービスだ。お次は石堂町の「おしゃれのコイデ」で橋幸夫が賠償千恵子にブローチを買う。おお、善光寺の御数珠頂戴に並んでいた人が今度は中央通りを通行人役で歩いているではないか。きっと撮影に協力した地元関係者をお礼を兼ねてエキストラに使ったのだろう。背景に必ず川中島バスが行き交うのがわざとらしくて実にいい。オレンジ色の長電バスが通り過ぎるオマケまである。個人的に思いきり嬉しかったのはコイデの隣の店の窓に貼られている「石坂料理学園」の大看板。これはかなり目立ち過ぎ。その後、橋幸夫は賠償千恵子をほったらかして父のいる川中島バス本社に出向く。正確にわからないが、おそらく西後町(現在の長野税務署のあたり)にあった本社だろう。プレハブ風の建物についた仮設階段を2階に登っていくとそこが本社になっている。これで長野シリーズは終わり。これらのシーンは長野観光連盟とのタイアップということで行われていたようだが、溶けた雪が路面にグチャグチャになっているような街の映像が観光に寄与しかのかはちょっと疑問。しかし、今はな無き地附山ロープウェーの飯綱号(戸隠号かも)が動いてる映像が見られるのは貴重だ。かつて地附山には動物園があり小さなスキー場もあった。ちなみにそこは特撮ドラマ「スペクトルマン(怪獣マウントドラゴン輸送大作戦)」のロケで使われたこともある。でもまあここが全国的に有名になったのはやはり1985年の巨大な地滑りだろう。現場にいた市の職員が恐怖に引きつった顔で「あっという間にベトが押し寄せてきた」と全国放送のインタビューに答えていたのが忘れられない。さて、市村泰一氏は松竹京都の監督、歌謡映画を撮らせたら確実にヒットを飛ばすという安定した実力が買われていた人。須坂市相ノ島出身。父親が教員で小学4年まで上田市に在住していたそうだ。