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自由と繁栄の弧

29日の日露首脳会談で、プーチン大統領は「大事な話をしないといけない」と北方領土問題を切り出し、ロシアが係争地の面積を2等分して境界を画定した中国、ノルウェーとの交渉例を引き、「他国とはこう解決した」と説明したらしい。面積等分ならば、日本が返還を主張する4島を係争地だとすると、択捉島の南5分の1あたりに国境線が引かれることになる。北方領土問題については、1945年時点での国際法的な判断からすれば、日本共産党が主張しているように、平和的に結ばれた樺太千島交換条約の下、千島全島を日本に返還するのが筋と思われるが、戦争に無条件降伏した日本の立場、ソ連が参加していないとは言えサンフランシスコ講和条約で日本が千島を放棄していること、戦後の領土交渉で日本がずっと4島返還を主張していたこと、既にソ連、ロシアによる実質支配が70年弱も続いていることなどを考えると、本当に4島の面積等分をロシアが提案しているのだとすれば了とするべきなのかも知れない。陸地に国境が出来るが、それもひとつ位あった方が平和ボケしなくて良いではないか。北方領土問題が動くだけでビックニュースなのだが、それより驚いたのが日本による2+2提案をロシアが受け入れる方向であることだ。2+2とうのは島の数ではない。双方の外相と防衛相が4人で定期的に会談をする仕組みのことだ。日本と米国との間では1996年から行われているが、2007年には日本とオーストラリアとの間でも行われるようになっている。日本は米国と軍事同盟を結んでおり、この手の交渉を米国の了解なしで行うことは考えにくいので、案外、裏で米国が糸を引いているのかも知れない。だいたい4島返還ってのも、米国に指導?によるものだったのだから。それはともかく、戦後史を考えると日露が軍事協議をするなんてのは、とんでもないパラダイム転換だ。今でも北の空ではロシア相手に自衛隊機がスクランブル発進しているはずなのだから。なぜか日本のメディアは報道しないが、安倍総理は昨年「アジアの民主主義セキュリティダイアモンド」という論文を発表している。東シナ海や南シナ海における中国の覇権拡大を牽制するため、日、豪、印、米といった民主主義国家が連携して中国を囲い込むという構想だ。そこにはマレーシア、シンガポール、ニュージーランド、タヒチ(仏太平洋海軍)との連携も含まれる。フィリピンは米国と軍事同盟を結んでいるから、必然的にその仕組みに含まれるし、インドとは既に2008年、麻生総理の時にインドのシン首相が来日し日印安全保障宣言なるものが発表されている。さらに、天皇皇后両陛下が年内にインドをご訪問される。今、ご高齢のおして訪問される理由。まさか新幹線を売らんがためではなかろう。陛下がご訪問される国というのはそう多くはない。インドが日本にとってかなり重要度の高い国となっていることがこのことからも伺える。最近、もうひとつびっくりするようなニュースを聞いた。なんと日英同盟が復活するというのだ。で、そのアクションは英国の方から行われているというのだから尋常ではない。「英国のアンドルー王子(53)が今秋訪日し、21世紀型の新たな「日英同盟」を模索する国際会議を 東京で開催する計画が23日までに明らかになった。会議開催を計画しているのは、1831年に英王室の肝煎りで創設され、大英帝国の外交を支えたともいわれる 世界最古の政府系軍事・安全保障シンクタンク、英国王立防衛安全保障研究所(RUSI、本部ロンドン)。 王室、政府と深いつながりがある研究所として知られている。 (中略)昨年4月にはキャメロン英首相が訪日し日英防衛協力で合意した。 安倍晋三首相も12月、日米同盟に加えて欧州との安保関係を重視する姿勢を表明。日本の要である米国との同盟を後押しするような、 日英の安保連携が今後一層進む可能性が出てきている。 (産経web2013.4.24 13:35 )」 近年、辛酸を舐めていることが多いとは云え、英国は中東に強い影響力がある。英国が動き、日露が2+2を開始すれば、東シナ海や南シナ海どころか、中華人民共和国そのものが民主国家によって完全に包囲されたことになる。民主党政権が3年続き、日本国内でわけわかめの政治が続いているうちに世界は着々と動いていたようだ。