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恐怖の地方独裁

大津市のいじめ事件はあまりに酷過ぎる。亡くなった中学生が哀れだ。周辺から漏れてくる情報は噂も含めて不自然なものばかり。死亡から9ヶ月、警察は遺族からの被害届を3回不受理としている。遺族は告訴するらしい。世間が納得する捜査結果を示さないと今度は警察が責められることになるだろう。なぜこのようなことになったのか。生徒死亡の直後、学校が行ったアンケートが保護者に公表されている。既にネットにそのPDFがUPされているがその内容に驚愕する。どう読んでもいじめがあった可能性が高いとして調査行動すべき内容だ。そのように云える根拠は2006年に文科省が出した「いじめの問題への取組の徹底について」という通達。そこで文科省は「いじめの問題への取組みは、いじめられた児童生徒の立場に立って行うことに留意する必要がある。」と、当たり前とはいえ画期的な指導を行っている。ところが、当該学校、教育委員会の対応は、「いじめられた生徒よりも、いじめた児童生徒の立場に立って」行われてる。証拠がないとかいじめがあったと断定できないなどというのは、いじめた児童生徒の立場に立った言説ではないか。自分の身が危うくなってきた大津市長は文科省に応援要請を行い、なんと文科省は初等中等局児童生徒課の室長を大津市に派遣した。派遣できる最高レヴェル。この室長は警察庁からの出向者で警察庁での階級は警視正だった大物だ。遺族にはやや申し訳ない言い方になるがいじめそのものは珍しくない出来事、対応によっては未然に防げるし、悪い結果となった場合も法的に粛々と対応するのが法治国家というもの。なんでこんなになるまで事態が進んでしまったのだろうと思わざるを得ない。警察が学校や教育委員会に強制捜査に入ったってのも異常事態だ。被害届を3回も不受理しておいて変わり身の早さだけは実に機敏。その結果、中学生の死亡以来「いじめと自殺の因果関係は不明」としてきた大津市も、市長が「いじめがあったからこそ男子生徒が亡くなったと思っている」と発言、メディアの前で「いじめが原因と断定できない」と言っていたはずの教育長が一転「いじめが一因となった」ことを認めてしまった。何なんだこいつら。冒頭に書いたように、世間が納得する捜査結果を示さないと警察が責められる状況にある。噂で広まっていることには言及できないが、捜査結果によっては地方レヴェルとは云えとんでもない権力犯罪となる可能性もある。逆にそうしたことが追求されず隠蔽されたままうやむやに終われば、今度は地方自治に対する信頼が地に落ちるだろう。隣県の大阪市長が地方分権のエースとして活躍しているが、実はこの事件、地方分権の推進に水を差すような側面もあるのではないか。一介の中学生らが起こした出来事が国の将来を左右する案件になり始めているような気がしないでもない。

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