(長文・ネタバレ注意)
晴子「考えてみると、これまでのこと。みんなうちがあんたのホンマの母親になるための試練やった気がするわ。あんたの足が動かんのも記憶失うてしもうたんも、全て最初に会うた日からやり直すための試練やったって」
- 自分自身からも実父の敬介からも、そして観鈴からも母と認められ、改めて母娘の関係を築き、やり直すことになった晴子と観鈴。
- 部屋に新聞紙が敷かれ前回波を被った恐竜の縫いぐるみとどろり濃厚ピーチ味が乾かされていたり、観鈴の部屋の前には「観鈴ちん おやすみ中」と出ていたりと相変わらず本作は細かい部分迄気を配ってますね。
晴子「観鈴、観鈴、しっかりし。どこが痛いんや? お母さんがさすったるで」
観鈴「痛い、痛いよママ」
晴子「ここか? ここが痛いんか?」
観鈴「違う」
晴子「足か? 手か?」
観鈴「翼」
晴子「え」
観鈴「翼が、痛い」
- しかし、観鈴の病気は治ってはおらずベッドで痛みを訴えます。身体をさすってやろうとする晴子。観鈴は、翼が痛いと訴える。晴子は、往人から観鈴が全ての記憶を失い、最後の夢を見終わったら死んでしまうと言われたことを思い出します。翼が痛いと言われ、翼があるであろう空間に手をさするかのように彷徨わせる晴子さんというのが何とも痛々しい感じです。
晴子「嘘やろ。眠ってしもたら、夢見てしもたら、この子」
晴子「観鈴、夏祭り行くんやろ? お母さんと一緒に夏祭り行くんやろ?」
観鈴「お祭り行きたい。恐竜の赤ちゃん欲しいの」
晴子「雛のことやろ。きっと屋台出てるで」
観鈴「恐竜さん、買っても良い?」
晴子「ああ。美味しいもん食べよう。明日は二人で最高に楽しい日にしよう。そやから元気になってや、観鈴」
- 観鈴が眠ってしまったら死んでしまうと思った晴子は夏祭りに行こうと励ます。
晴子「神様、お願いや。何とかしたって。お姉ちゃん」
- 夏祭りの当日。朝を壁に寄りかかった状態で迎えた晴子さん。二人とも結局殆ど寝ないで一晩過ごして居たんでしょうか。晴子さんがカーテンを開けると…激しい雨が降っていました。これまでの話ではずっと晴れていたのに、あんまりと言えばあんまりな仕打ちです。
- バイクに観鈴を乗せて神社に向かう晴子さん。神様と亡くなった姉、育子(?)への願いも空しく、神社には誰も居ません。晴子さんが呟いたように、奇跡なんて起こる訳はありません。起こらないから奇跡なんです。
晴子「この子が何悪いことした言うねん! ごっつう良い子になってたやないか! 夏祭り楽しみにしてたやないか! 何で報われへんねん!」
- 雨の中叫ぶ晴子さん。神社の社殿。賽銭箱の前で観鈴と寄り添って座ります。
晴子「あの時と一緒や。結局うちは、あんたに何もあげられへんのやな」
観鈴「ママ。恐竜の赤ちゃんは?」
- 観鈴が雛を欲しがった夏祭りの出来事を回想している晴子さん。状況を全く理解しておらず、恐竜の赤ちゃんをねだる観鈴ちんが悲しいです。やっぱりママという言葉遣いなのは、観鈴ちんの精神年齢が子どもに退行しているということなのか。
- その時、そらが賽銭箱の上で騒ぎます。晴子さんが見ると…。晴子さんが捨てたはずの恐竜の縫いぐるみが賽銭箱の向こうに置かれていました。第十話で晴子さんが捨てた後でまいかと母によって置かれ、ずっとそのままの状態だったんですね。おみくじが結ばれていたり時間の経過を感じさせます。それは兎も角、キンカンアメや格闘家のミニフィギュアの方が気になります。
晴子「お母さんも手伝うたるから。これは二人の幸せな思い出や。大事に二人で育てていこう」
(中略)
晴子「もうちょいや。届くで、うちらの幸せに」
- 観鈴に一緒に恐竜を取るように言う晴子さん。観鈴の身体を晴子が支え、観鈴は縫いぐるみに手を伸ばします。
晴子は眠気と疲れで挫けそうになる観鈴を励まし、観鈴は遂に恐竜の縫いぐるみを手にするのでした。
晴子「うちからの誕生日プレゼントや。出会った日からずっとあげられへんかったけど、受け取ってくれるか?」
観鈴「うん、嬉しい」
晴子「そうか。良かったなぁ、観鈴」
観鈴「可愛い。ニャハハ」
晴子「がおって」
観鈴「がお」
- 晴子さん、これまではずっと「がお」と言うと観鈴を叱っていたのですが、自分から「がお」って言ってます。これまでは、恐竜の縫いぐるみを買ってあげなかったことが思い出されてしまうので、この言葉を許していなかったんでしょうかね。
観鈴「母さん。ずっと寝てないんだよね。私のために」
- 雨は降り続き、夜半に入り風が更に強く。ずっと寝ていなかったた晴子は、つい眠ってしまっています。このシーンから「ママ」から「(お)母さん」に変わってますね。そう言えば。
- どうでも良いですが、晴子さんのショートパンツのゴムひもの色が前回のブルーから今回のピンクと、着たきりアニメの癖に微妙に変化している辺り、スタッフの妙な拘りを感じさせます(…って観るところそこかい)。
観鈴「ううん。もう痛くない」
晴子「え?」
観鈴「痛くないの。さっきからずっと。どうしてかな」
晴子「ほんまか? ほんまに、痛ないんか?」
観鈴「うん。だから寝たい。一杯寝て、もっと元気になる」
- 寝たいという観鈴。晴子は寝て夢を見たら痛みが酷くなることを気にしている様子。だからと言って、寝なかったらそれでも観鈴ちんは死んじゃいますよぉ。……ということを想像出来ない、しない辺り、晴子さんの心の余裕の無さを現しているのでしょうか。…決して、莫迦さ加減を現しているのでは無いと思うのですけど。
- 晴子さんが寝ていないことを気にしていた観鈴ちんが、その直後に身体が痛くないと言い出した所で、観鈴が晴子さんに休んで貰うための嘘だと言うのは視聴者にはバレバレですが、晴子さんはあっさり信じます。観鈴の言葉を信じているというより、観鈴の身体が治ったと信じたいということなんでしょうけど。
晴子「観鈴…あかん。それ、カリントちゃうで、食べたらあかん」
- 晴子さんの観ていた夢は実際にあった出来事なんだろうけど、一体何を食べようとしていたんだ、観鈴ちん。
観鈴「ごめんねお母さん嘘ついて。そうしないと休んでくれそうに無かったから。う…。往人さん…」
- やっぱり嘘をついていた観鈴は、絵日記を描き始めます。今回はAパートが放映開始後10分位迄。随分と短いですね。
観鈴「私寝てた」
晴子「身体痛無いか? うちのこと、覚えてるか?」
観鈴「お母さん。おはよう」
(中略)
晴子「よう晴れたなぁ。台風一過って奴や」
観鈴「お母さん。私夕べも夢見たよ」
晴子「夢? あんた、夢見たら具合悪なるんや?」
観鈴「大丈夫。どこも痛くないから。それにね、私の夢は今日で終わり」
晴子「ホンマか? ホンマに何とも無いんやな。どこも痛なったりしてないんやな」
観鈴「平気。V!」
- 翌朝。台風一過、良く晴れた朝。寝ていた晴子が跳ね起きると、ベッドに観鈴の姿は無く。観鈴は机に突っ伏して寝ていました。起き上がった観鈴に声をかける晴子さん。ですが、観鈴ちんは元気そう。てっきり最後の夢を見たらもう目覚めないのかと想像していたので、ちょっとだけ安堵。
晴子「そうか。居候が最後の夢見てしもうたら何ちゃら言うてたけど、あれは間違いやったんやな。ああ…。うち、不安やった。まるで長い悪夢見とったような日々やった。でもやっと終わったんやな」
- 最後の夢を見てしまった観鈴。だけど、身体はどこも痛くないと言う。昨日と違って、今日の観鈴ちんは本当に身体が痛くない風にも見えるのですが、これって多分蝋燭の炎が燃え尽きる寸前という気が。
晴子「アハ。観鈴にも泣くないわれへん。うちも泣き虫さんや」
観鈴「泣いたらあかんよ」
- 観鈴を抱きしめ、ボロボロと泣いている晴子さん。観鈴ちん、ここで何故か似非関西弁で返します。お母さんの真似をしているつもりなんでしょうか。
観鈴「夕べの夢はね、羽根のある恐竜さんの夢。気持ち良さそうにね、がおって飛んでた」
晴子「そうか」
観鈴「そのもっと上を私が飛んでるの。私、肩から後ろを見てた。翼があったの。真っ白な翼で、私、空を飛んでた」
晴子「そうか。ええ夢見たな」
観鈴「ううん。悲しい夢だった。世界で一番悲しい夢。でもね、これが私の夢の終わり。これからは、お母さんの側にいるの。いつまでも、ずっと」
- 自分の髪をとかしている晴子さんに観鈴ちんは昨晩見た夢の中身について語ります。観鈴ちんの見る夢って、見る度毎に時代を遡って行くんですよね? この恐竜さんというのは、まさしく本物の恐竜さんで、神奈よりも何代も何代も前の翼人さんの見てた風景を夢として観鈴ちんが見ていたということ? 夢の終わりというのは、それ以上の過去の記憶は存在しないということなのだとして、とても悲しいというのはどういう意味なのだろう? この辺りは、最後まで観ても今一判らない部分です。ゲームでは語られている部分なのでしょうか。
- この観鈴ちんの台詞と共に、観鈴ちんと晴子さんの親子している様子。昨日新聞紙の上に置かれていた緑色の恐竜縫いぐるみ、しっかりと洗濯物の中に。観鈴の側を蝶が舞っていたり、空に白い鳥が飛んでいたりするのは、翼人を想像させる何かということなんでしょうか。
晴子「夏の匂いがするわ」
観鈴「うん、する」
晴子「どんな匂いがする?」
観鈴「潮の匂い」
晴子「そやな。するな」
観鈴「お日様の匂い」
晴子「せやな。それもするな」
観鈴「お母さんの匂い」
晴子「せやな、それもするな…って、自分の匂い、ぷんぷんしてたら嫌やん」
観鈴「一杯するよ。お母さんの匂い」
晴子「ホンマかいな」
観鈴「うん。この夏はお母さんの匂いが沢山した。大好きなお母さんの匂い」
晴子「アハ。それ、臭かったらたまらんな」
観鈴「たまらんね。でも、良い匂いだった」
- 車椅子を晴子さんに押して貰い、外に出た観鈴。お母さんの匂いと聞くと、ネガティブなイメージを抱いているらしい晴子さん。それが母親のことを好きだという印だと未だ理解出来ないんでしょうかね。
- ここでも、晴子さんの関西弁に返す形で、観鈴ちんの似非関西弁が。観鈴ちんは10年前に晴子さんの家に預けられたようですが、そうであるのならば、この地で生きてきた時間の方が長いはず。関西弁で喋っていても良さそうなものですが。
晴子「なぁ観鈴。あんたの考えてること当てたろか?」
観鈴「うん」
晴子「ジュース、飲みたいな」
観鈴「当たり。凄いね」
晴子「誰かて当てられるわ」
観鈴「私これ」
晴子「またこれか? あんたホンマにこれ好きやな」
観鈴「ニハハ」
晴子「うちは何にしよっと」
観鈴「そのゲルルンジュースってのがお勧め」
晴子「ほんまかいな」
- 観鈴が何時もジュースを買っている「武田商店」の前に来た晴子達。観鈴ちんの変なジュース好きからして、確かに誰でも当てられそう。観鈴ちんが選んだのは、もちろん「どろり濃厚ピーチ」自分はどれにしようかと悩む晴子さん「どろり濃厚ゲルルン」って何やねん! …と画面に向かって突っ込みを入れていたら、それが観鈴ちんのお勧めですか。
晴子「ぷはっ。どろりっつうか固いで。こんなジュース居るか〜!」
観鈴「捨てたら駄目。これはね、ぎゅっぎゅってして飲むの」
晴子「こうか。う…。まぁ、不味くあらへんけど」
- どろりという名称からシェイクみたいなのど越しなのかと思ったら、それ以上に固いんですか。真っ赤になってジュースを啜ろうとする晴子さんが可愛い。第一話で往人がジュースを捨てちゃった時の様子をみると、そこまで固くは見えなかったけれど。
観鈴「夏休みだね」
晴子「二人っきりの夏休みやな。でもええもんな。二人で遊ぶもんな」
観鈴「ねぇお母さん。ちょっと先に行ってて欲しい」
晴子「何でや。何かあるんか」
観鈴「うん。そらも連れてって」
(中略)
観鈴「お母さんはそこに立ってて」
晴子「え?」
観鈴「何があっても来たら駄目だよ。一人で頑張るの。頑張って、そこまで歩いてみる。お母さんは、ゴールだから」
- 二人並んでジュースを飲む晴子と観鈴。観鈴は、晴子に先に行くように言う。観鈴は晴子を先に立たせ、自分は車椅子から立って晴子の所に歩いて行こうとする。劇場版ではこのシーンは砂浜で、ゴールは往人と晴子さん。そして観鈴ちんは…。成る程、劇場版の展開も原作に沿った上で改変したということか。
観鈴「うん。V」
晴子「V」
晴子「観鈴ここや。うち、ここやで。そうやゆっくりでええ。こうして頑張っていけばきっと元気になれる。一緒に頑張っていこうな、な、観鈴」
- 晴子さんが自分の位置を知らせ無いといけない辺り、既に観鈴の目は霞んでいたのかもと考えると…。
観鈴「もう、良いよね」
晴子「ん、何がや」
観鈴「私、頑張ったよね。もう、ゴールして良いよね」
晴子「もう疲れたんか? よし、ゴールしたら家帰ってトランプでもして遊ぼう」
観鈴「ううん。あたしのゴール。ずっと目指して来たゴール」
晴子「え?」
観鈴「私、頑張ったから、もう良いよね」
晴子「あ!」
観鈴「休んでも、良いよね。う…」
- ゴールって、人生のゴールのことらしい。一昔前だとお嫁に行くことをゴールインと言いましたが、観鈴の話しぶりだとゴール=人生の終わりでしょうか。そして、観鈴の身体に走る激痛。我慢していたのが我慢しきれなくなったのか、ここに来て急に痛みが出て来たのかは判りませんが、どちらにしろ見てられません。
- 駆け寄ろうとする晴子を制する観鈴。多分、晴子に駆け寄られ抱き抱えられたらそのまま逝ってしまう気がしたので、その前にせめて、自分の足で歩きたいということなんでしょうか。
観鈴「ごめんねお母さん。でも私は、全部やり終えることが出来たから、だから、ゴールするね」
晴子「あかん観鈴。来たらあかん。ゴールしたらあかん。始まったばっかりやんか。昨日やっとスタート切れたんやないか。取り戻して行くんや。10年前に始まってた筈の幸せな暮らし。これから観鈴と取り戻して行くんや」
- 10年前の回想が再び。観鈴を引き取った直後のことでしょうか。観鈴を放置して先に行く晴子を追いかけようとして、転んでしまう観鈴。最初から、観鈴に優しくしてやればあった筈の暮らし。それをこれから取り返そうとしていたのでしょう。
晴子「うちらの幸せは始まったばっかりやんか!」
観鈴「ううん。全部した。もう十分なくらい。この夏に一生分の楽しさが詰まってた」
- ずっと独りぼっちだった観鈴が意を決して往人に声をかけたことから始まった一夏の思い出。それは、観鈴にとってこれまで体験したことの無い、楽しい思い出だったということらしい。往人には海には連れて行って貰えなかったし、一緒にトランプもして貰えなかったし、夏祭りにも行けなかったけど。その分の埋め合わせは夏祭り以外はこの数日間で晴子さんが全てしてくれました。
- このシーンで、晴子の背後で葉っぱが落ちます。「夏の終わり」ということなのかな。最後の一葉ともかけているんでしょうけど。
観鈴「もう一度だけ、頑張ろうって決めたこの夏休み。往人さんと出会ったあの日から始まった夏休み。色んなことがあったけど、辛かったり、苦しかったりしたけど、あたし、頑張って良かった。あたしのゴールは、幸せと一緒だったから。一人きりじゃなかったから、だから、だからね、もうゴールするね」
晴子「あかん! これからや! これからや言うてるやろ!」
観鈴「ゴール」
- 必死に止める晴子。しかし、観鈴は晴子に抱きついてゴールします。ここで挿入歌「青空」が入ります。
観鈴「やっと、たどり着いた。ずっと探してた、場所。幸せの場所、ずっと、幸せの場所」
- それを見つけたのが死の直前だったなんて。お母さん、ありがとう。その言葉を最後に観鈴は息絶えます。
晴子「あんたに何もかも教えて貰ったんやないか。一人っきりやない生き方。置いていかんといて。うちを一人にせんといて。他には何もいらんから。友達も要らん。新しい服も贅沢も何もせんでええ。ただ、あんたとおれたら、それでええんや」
- 改めて失ったものの大きさに号泣する晴子さん。一見回想シーンにも見えるのですが、夏祭りで観鈴ちんに晴子さん、ヒヨコを買ってあげていて、一緒に帰ってますね。晴子のお下がりのランドセルを観鈴にあげていたり、今の観鈴と仲良く海岸を歩いていたり、手を繋いでいたり。最後の手を繋いでいる母娘はOPに出ていたかな。晴子さんがそうしたいと願い、結局果たせなかったものが絵として出て来ています。ところで、ここでお下がりのランドセルをあげているというのは、現実には観鈴ちんにランドセルも用意していなかった…なんて馬鹿なことは無いですよね。
晴子「あの日からうち、泣いて泣きまくって、過ごした。もう流す涙も尽きたわ」
- 観鈴が死んでから暫くして後。町を訪れた敬介と会っていた晴子。晴子さん、あの後泣きまくって過ごしたらしい。
晴子「凄かったんやな。家族て。この上ない幸せとこの上ない辛さ。全てがそこにある。それはまさしく人が生きるということや」
- 台詞の背景は、入院中のさいかとそれを見舞うまいかとお母さん。千羽鶴が贈られているというのは実は結構な難病? そして、霧島診療所とポテト。聖さん、大分表情が柔らかくなってますね。
晴子「せやからうちは生きとった。あの子と二人で生き取った。がむしゃらで、ぼろぼろで、強くて弱かった。何言うてるか判らなくなって来たな」
- みちるそっくりの異父妹と一緒に列車に乗っている美凪。海の上の鉄橋を走る一両編成ディーゼルカーって、どこか元の風景があるのかな。
- 霧島診療所では姿が見えなかった佳乃は、制服姿で晴子さんに手を振ってます。他の少女三人…まさか、あの三人(良く見えないので判らないですが)?
敬介「いや、判るよ。痛い位に」
晴子「せやな。あんたやったら判るわな。うちら大人やもんな。うちな、今はもう自信あるねん。うちはあの子の母親なんやて。立派と違うかもしれへんけど、あの子の母親なんや。うち、今までの仕事辞めて近所の保育所に勤めることにしたんや。これからは色んな家族に囲まれて生きていきたい。そう思うてるんや」
晴子「その内そっちにも遊びに行くわ」
敬介「そうだね。待ってるよ」
敬介「夏の終わり。僕の休暇も終わりだ」
- ええと、晴子さんの今までの仕事って何だったんでしょうか。^^;;;; それと、保母さんの資格、持ってたんですか? 劇場版のように午前中は漁協、午後は農協、夕方からはスーパーには見えないぞ。
- ところで晴子さんと敬介さんの話しぶりからすると、お姉さんのことが無くとも晴子さんと敬介さんって元々からの知り合いという雰囲気に見えます。この辺りは実際、どうなのか判りませんが。観鈴ちんを捨てたように見えた敬介ですが、何だかこの二話位で印象、大分変わりましたね。結局、彼もそんなに悪い人では無かったということかも。
- そのままの状態で残されている観鈴の部屋。机の上には観鈴が最後に書いた絵日記が。母に誕生日プレゼントを貰ったことが書いてあったような記憶がありますが、録画ファイルがあまり画質良くなくて、何書いてあるか読めません。^^;;;; ただ、晴子さんが一升瓶持っているというのは、現実と大分違うような。
晴子「あんたそらか。随分大きいなったな。いや、別のからすか? よう判らん。でも、もしあんたがそらやったら、うち、叱ったらなあかんな。あんた今もこんな所にいてるんか? もうあの子はいて無いんやでって。あんたは行かなあかんで。あんたには翼があるんやから。空はずっと届かん場所や。うちら翼の無い人にとっては。せやから、あんたは飛ぶんや。翼の無い、うちらの代わりに! 人の夢とか願い、全部この空に返してや。頼むで。そうすればうちらは、きっと穏やかに生きていける。そんな気がするんや。またいつか、会えたらいいな。ほな、元気でやりや」
- 晴子さんの長広舌。最初聞いた時も良く判らなかったのですが、改めて書き起こしてみても、そらに何を願っているのか今一ピンと来ない。そこまで考えて話していないというのもあるんでしょうけど。居なくなった人(=観鈴ちん)の夢や願いを空に還して欲しいということなのかな。それと、何時までも思い出に囚われずに先に進めってことなのかな。
そら「そしていつしか、僕は空を見ていた。何時だって悲しみの色をたたえていた空。限りなくどこまでも続く青。その無限へと帰ってしまった少女。今も一人きりでいる少女。だから僕は、彼女を探し続ける旅に出る。そしていつの日か。彼女を連れて帰る。新しい始まりを迎えるために」
- 往人の生まれ変わりのそらは、亡くなった観鈴の次の生まれ変わりを探して飛び立っていく……という風に、綺麗に終わったように、この時には思えました。
「我が子よ。良くお聞きなさい。これからあなたに話すことは、とても大切なこと。私達がここから始める、親から子へと、絶え間なく伝えていく。長い長い、旅のお話なのですよ。私達は星の記憶を継いでいく。この星で起きる全ての事象を見聞き、母から子へと受け渡していく、星の記憶は永遠に幸せで無くてはなりません。憎しみや争いで空が覆い尽くされた時、この星は嘆き悲しみ、全ては無に帰すでしょう。何時の日か、滅びの日を迎えること。それも避けようの無い結末。けれど最後は、星の記憶を担う最後の子にはどうか幸せな記憶を」
- 往人の母の台詞だと思っていたのですが、台詞を良く読み返してみると、翼人の間で代々受け継がれている言葉のようにも読めます。画面に現れる地球上に次から次へと現れた生命。この出来事を見守り、代々伝えていくのが翼人の使命ということなのかな。人類の誕生や原始時代とも思える空を飛んでいる裸の翼人の姿が出ています。
- 翼人は結局何者なのか。星の意志そのものが作り出した何かというパターンで無いとするならば、翼人はどこからかやって来て、この星に命を育んだ者達ということなのだろうか。この辺りは想像しろということなんでしょうけど。原作では明言されているのかな?
- 翼人が滅んだら地球が滅亡するという話で無い限り、星の記憶を担う最後の子は翼人の最後の生き残り(多分、神奈のこと?)。この子には幸せな記憶をと言っているけれど、現実には幸せな記憶では無く悪夢に苛まれ続けているのだから、助けてあげなければならないということなのかな。要するに、柳也と裏葉の神奈を探しての生まれ変わりの旅は未だ未だ続くと、ここまでならそう読めたのですが。
少女「どうしたの?」
少年「何でも無いんだ。ちょっと昔のことを思い出していた。もうすぐ日が暮れるね」
少女「そうだね」
少年「その前に確かめに行こうか」
少女「何を」
少年「君がずっと確かめたかったこと。この海岸線の向こうに何があるのか」
少女「私、そんなこと言ったっけ?」
少年「言ってないかもしれない。でも、そう思っているような気がしたんだ」
少女「そうだね。確かめてみたい」
少年「今なら、その先に待つものが判る。僕らは…」
少年「行こうか」
少女「うん」
少年「彼らには過酷な日々をそして僕らには始まりを。さようなら」
- 第十話で観鈴が手を振っていた少年と少女。実はこの二人は凄い重大人物でしたか。少年は過去の記憶を継いでいるように見えます。少女への語りかけを見ると、少年が持っている過去の記憶は柳也のものに思えました。そして海の向こうを確かめたい少女。それって海を見た事が無かった神奈のことのように思えました。……ん、すると柳也(と裏葉)は遂に神奈と出会えたってこと? すると旅はここで一旦区切られ、今度は新しい別の旅が始まるということなのかな。
- 観鈴ちんと寝ている往人に手を振る少年。そう言えばこのシーン、そらが居ないですね。又時間、巻戻っていたりして?
- 彼らには過酷な日々をって、何だか観鈴達に呪いを押しつけて、自分は少女とこれから幸せに暮らそうとか、そんな風に聞こえます。
- 海岸を手を繋いで歩いて行く少年と少女。その姿がそのままタイトルになり、「終」です。成る程、このタイトルはこれが元になっている訳なんですねぇ。
全体を通して
- 所謂葉鍵系の有名作品のアニメ化。放映開始前から散々流されたCMから、作画クオリティの高さには期待していましたが、そのクオリティの高さを最終話までそのまま維持し続けたのは、各所で散々語られている所だとは思いますが触れざるを得ません。
- 美少女ゲーム原作のアニメ化というと、複数の攻略ルートが存在し、そのルートを全て通過することにより話の全体像が見えてくる…ということが多く、それをアニメ化するとなると、シナリオの構成には苦労すると思われるのですが、本作は観鈴、佳乃、美凪の3ルートをそれぞれ通過しつつ、それでいて一本筋の通った話に再構成されているのは流石です。原作ゲームの内容もキャラも全く知らず、全12話に話を纏めるために大分話をすっ飛ばしたように見える部分もありましたが、それで話が分からないということはありませんでした。
- 原作ゲームのシナリオが上手いということもあるのでしょうが、前半の何気ないシーンの多くが後になって「そういうことだったのか!」と思わせるシーンも多く、伏線の張り方も凄かったですね。
- ともあれ、期待の高かった原作をその期待を裏切ることなく、その原作の魅力を伝え切った京都アニメーションを中心とするスタッフの皆様には素直に賛辞の言葉を贈りたい。お疲れ様でした。次の作品、楽しみにしてます。
次回予告
観鈴「ねぇ、どこから来たの? お母さんは?」
往人「ラーメンセット!」
観鈴「こんにちわ。には…」
観鈴「空にはね。小さい頃からずっと思いをはせてた」
往人「どうした」
観鈴「分かんない。ただ、もう一人の自分がそこに居る。そんな気がして」
「総集編」