(長文・ネタバレ注意)
観鈴「そら。私ね、大好きな人の夢を見てた。往人さんは、最後にやっぱり戻って来てくれたんだよね。大切な何か、くれたんだよね。だから、こんなことで諦めちゃ駄目だよね。大丈夫。一人でも頑張れるよ」
- 往人が消えてしまった翌朝。観鈴は一人でも頑張ろうと決意。そらを肩に載せての外出ですが、歩くのは辛そうな感じ。武田商店(この商店がこの後何度も出会いの場となっているのですが)で一休みの観鈴が買おうとしたのは、やっぱりどろり濃厚ピーチ味なジュース。このジュースを購入しようとする時に、結局これかなと言っている観鈴。第五話で往人に「これ以上誰かに迷惑かけないように」「何時も一人で遊んでいるの。変なジュース探したり」という生活に結局戻ってしまったということを言っているのかな。
- 観鈴が自販機のボタンを押す前に、背後から手を伸ばしてボタンを押したのは晴子さん。その姿を見てそらは思います。
からす「あの人だ。この間まで、僕たちと一緒に暮らしていた人。誰だろう。この人のこと、ぼんやり覚えているような気がするんだけど」
- 往人の記憶がぼんやりとしてしまっても、そらとして観鈴と暮らしていたのだから、晴子と観鈴の関係は知っていても良さそうなもの。それとも、一度往人に戻った際に、そらとしての記憶も一緒にぼんやりとしてしまったのかな。
- 橘の家に観鈴をずっと家に置いておけるように頼みに行っていた晴子さん。
晴子「あんたは家の子やあらへん。いつか橘の家に連れて行かれる。そやから一緒に住んどってもあんたに構ったること出来へんかった。あんたのこと、好きになってしもたら、別れるのが辛いやろ。何時迎えが着ても良いように、気持ちを落ち着けとってんけどな、意味無かったわ。うち、あんたの事が好きや。もうこれ以上自分に嘘つかれへん。そやから決めた。あんたをうちの子にするってな。橘の家の前でずっと土下座しとったん。最後は向こうの根負けや」
- …ということで、正面突破で制式に観鈴の母親となることを認めて貰った様子。と同時に、これまでの自分の観鈴に対する想いを語ります。
- それはそれとして、外出時の服装からキャミソールに着替える晴子さんの描写が何とも良い感じです。キャミソールは兎も角、外出時もあの様子だとノーブラ? そしてショートパンツ姿も中々です。
- 観鈴ちんと晴子さんは、第五話で観鈴ちんが一つ屋根の下で別々に暮らしてた等と往人に言っている割には、普通に仲良さそうな親子に私には見えました。一緒にいないのは親が仕事で忙しい家庭にはありがちですし。構わないようにしていたとは言え、結局最初から晴子さんは観鈴ちんのことが好きだったということで。これで相思相愛(違)で目出度し目出度し…という訳には行きませんでした。
観鈴「そんなこと、良いのに」
晴子「え」
観鈴「私一人で頑張るって。もう誰にも迷惑かけないって決めたのに」
- 前回、一人きりになって、身体が痛くなった時、往人とならんでお母さんと確かに呼びかけていた観鈴ちん。往人が居なくなったので一人で頑張るというのは判るとして、ここで母までも拒絶するのは一体どうしてだ?
- …等と思う間もなく、観鈴は倒れてしまいます。本作の特徴ではありますが、この辺りのシーンはロングで描かれているので、ノートパソコンの更に小さな窓で視聴していると、何が何やら。大型ディスプレイ必須な作品ですね。
晴子「あんたそんなに具合悪かったんか。只の夏風邪やろ思ってたのに。足、動かんのんか?」
- ベッドに寝かされた観鈴。晴子は観鈴の具合が悪かったのは、夏風邪の所為だと思い込んでいたらしい。視聴者はずっと往人視点で見ていたので観鈴の具合の悪さを知っていたのですが、あまり一緒にいない晴子さんだと認識はこんなものなのかも。
観鈴「私、この病気の訳を往人さんと一緒に見つけたの。もう一人の私が空にいて、一人で何かを背負い続けてる。あたしの身体が動かなくなったのは、その所為なの」
晴子「夢みたいなことばっかり言うてん」
- 観鈴を医者に連れて行こうとする晴子。劇場版を観ていた関係で、観鈴は前から発作の関係で定期的に診療所に出かけていたのかと思ったので、晴子が今更医者に行こうと言い出すのが意外。観鈴が話していることは、往人と出会うことから見始めた夢と往人から聞いた話から推測した物語なのですが、普通の人からすれば確かに夢物語。普通なら、無理矢理にでも医者に連れて行くか、医者に往診に来て貰うところですが。
観鈴「ねぇ、お母さん。私達今まで通りお互い構わずに暮らしていこう」
晴子「え」
観鈴「二人それぞれに生きていこう。私は一人で頑張るから」
- まさか、観鈴ちんがこんなことを言い出すとは。晴子さんが思ったように、これまで放置していたのが悪い…という訳では無さそうです。観鈴の反応に狼狽する晴子の言葉に、向こうを向いてしまった観鈴ちんの眉がぴくぴくと動いている様子からすると、晴子さんが期待するように、本当の母娘になりたい、けどなれないという想いが伝わって来ます。でも、どうしてこれまでの関係を変えてはいけないの?
- 観鈴のためにお粥を作った晴子。だが、観鈴は一口食べて美味しくないと首を振る。
観鈴「要らない。お母さんのご飯、いつもおいしくない」
晴子「お…美味しうのうても、子どもは親のご飯を食べて育つもんやで」
- そ…そんなに料理、下手だったんか(違)。しかし、観鈴が涙を浮かべているところを見ると、別に不味いのが原因では無かったみたいです。
観鈴「そうじゃないの。あたしと仲良くなると、お母さんも病気になっちゃうから」
晴子「あ…それも観鈴ちんの夢か?」
- 毎回観ていたのに、どうして観鈴が素直に母に甘えないのかがこのシーン迄判っていませんでした。本人がどこまで把握しているのか判りませんが、翼人の呪いが母親に及ぶのを恐れていたんですね。これまでも十二分に晴子さんは観鈴に心を寄せていたように見えるので、それは気にしすぎにも見えますけど。
晴子「ええか観鈴。うちは病気なんか少しも怖無い。もし病気になったら、うち、嬉しい。それ、観鈴と仲良うなれたという証拠やろ」
- うん。晴子さんの気持ちは良く判ります。それが、母親というもの。観鈴の真意を知った晴子は、再びお粥を観鈴の口に運びます。今度は素直に、美味しいと言って泣く観鈴ちんでした。その晩、蚊帳の中で一緒に寝ている晴子さんと観鈴ちんが何とも良い感じです。
晴子「どの位に切ったらええ?」
観鈴「お母さんに任せるよ」
晴子「うーん。ほな、観鈴が一番可愛らしう見える長さに切るな」
- 翌日。観鈴の髪を切ることになった晴子さん。多分、これまで切った事など無くて、敢えて観鈴ちんがお願いしたということでしょうか。切る長さを観鈴に任され、一番可愛らしく見える長さ(…ってどんな長さのつもりだったんだ)に切ることにした晴子さん。
観鈴「お母さん皺が多くなってる」
晴子「五分刈りにしたろか?」
観鈴「にはは。冗談。お母さん若いよ。いつかの授業参観の時、みんなのお母さんおばさんだったから、私一人嬉しかった」
晴子「あんた答え間違えて泣きべそかいとった」
観鈴「うん。格好良いところ見せないとって、答え分かんないのに手上げちゃって。お母さんあの時、みんなの前でたたきに来た」
晴子「がおって口癖言うたからや。しつけやしつけ」
観鈴「お陰で観鈴は、こんなに立派に育ちました」
晴子「ふ…そやな。結構成長したな。あの口癖もあんまり言わんようになったしな」
- お互い構わずに暮らしてきた、そういう割には授業参観には行っていたらしい。そして晴子さんに良い所見せようと、判らないのに手を上げるとは。まるで本当の母親が授業参観に来た時の娘です。その意味ではきちんと親子してたんですな。世の中には、殆ど交流の無い親子なんてのもごろごろしている筈なので、晴子さんも親子とはこうあるべきという考えが強すぎるのでは無いかと。
- 話している間に眠ってしまった観鈴。晴子さんはうっかり観鈴の髪をばっさり行ってしまいます。フォローしようとして更に失敗…。哀れ観鈴はショートカットにされてしまいます。劇場版では自分からショートにしていた気がするので随分ショートになる事情が異なっていますね。
観鈴「ん…あ…凄く短くなってる」
晴子「あ…ごめんやで」
観鈴「何か、小さな子どもに戻ったみたい。お母さんの子ども」
晴子「せやな。ここからやり直そ。二人でやり直そな」
観鈴「うん。ここからがスタートだね。V」
晴子「V。フフ…」
- 短くなった髪に対する観鈴ちんの感想。内心衝撃を受けつつも、上手くフォロー…は無いか、観鈴ちんだし。きっと素でそう感じたのでしょう。観鈴が今の髪の長さになるまで、預けられたと気からずっと伸ばし続けて来たということかな。髪の長さを一旦リセットすることが、親子関係のやり直しという表現は良い感じです。そして互いにVサイン。
- こんな感動的なシーンで書くのも何ですが、今回晴子さんのキャミソール姿。アップシーンが多い所為か、何時もに増して胸の形がはっきりくっきりと描かれているように思えるのは気の所為でしょうか(ぉぃ)。
観鈴「ねぇ、夏祭りもう直ぐだね」
- 夜。ベッドに横たわっている観鈴ちん。その横では晴子さんがキャミソールにブルーのショートパンツ姿という目に優しい格好で酒を飲んでます。病気の娘の横でも、夜の行動は変わらないみたいです(笑)。ところで今更何ですが、晴子さんの飲んでいる日本酒「旅からす」って往人さんのことですよね。
- 夏祭りはもうすぐ。そう言えば、そんな話は以前から出ていましたが、そう言えば未だでしたか。その祭りにお母さんと行きたいという観鈴。
観鈴「後ね、海にも行きたい。お母さんと行ったこと無いから」
晴子「行きたい所ぎょうさんあるねんな。観鈴ちんは」
観鈴「うん。楽しいこと一杯したい。お母さんと」
晴子「ああ。一杯楽しいことしよう。あんたの絵日記楽しいことで埋め尽くしたろ」
- かつて往人にお願いしたことを今度は晴子さんに願う観鈴ちん。もちろん、往人と同じように晴子は快諾します。
観鈴「私覚えてるから。お母さんの笑顔。絶対に、覚えてるから。お母さんの…」
晴子「何言うてるかわからへん。どういうことや観鈴」
- 第七話で往人の母が「その夢が、女の子をむしばんで行くの。ある筈の無い痛みを感じるようになり、やがて女の子は、全てを忘れていく」と話していた回想シーンがありますが、このことを観鈴ちんも知っていたということか。往人はそのことを観鈴に話してはいなかったと思うので、観鈴が観た夢から知ったということなのかな。この全てを忘れていくという部分、神奈の話の時には出ていないので、その後の生まれ変わりの代の時に起きた出来事ということなんでしょうか。往人の母の話がこれまでは忠実に再現されているということか。すると最後の夢を見た観鈴ちんは死んでしまうことに……。
観鈴「おばさん、誰?」
- 翌朝。観鈴は起き出した晴子のことを誰であるか認識出来なくなっていた。
晴子「あ…忘れたんか? お母さんと頑張ろうて決めたやろ」
観鈴「ママ?」
晴子「そうや、うちや」
観鈴「ママは遠くへ行っちゃった」
晴子「そないなこと思い出さんでええ。うちが代わりのお母さんやで」
- お母さんのことをママと言い、ママが死んでしまったことは認識しているんですね。晴子の所に預けられた頃からの記憶がすっ飛んでしまったということなんでしょうか。一人でトランプで遊んでいる観鈴ちん。きっと、晴子さんのことを認識していれば、二人で遊んでいたに違いないのに。
晴子「ほんならええ。今日から取り戻したる。あんたが母親と認めてくれる日まで晴子おばさんでええわ」
- 観鈴の記憶が飛んでしまうという異常事態。普通なら、霧島先生の所に連れて行かなくてはと考えるはずですが、晴子さんは改めて観鈴に母親と認識して貰おうと努力することにします。本当はそろそろ医者に診せるべき場面だと思うけど。
- 車椅子を借りてきた晴子。観鈴は一人でトランプしてた方が楽しいなどとごねたものの晴子に外でお日様に当たったら気持ちええと説得され、結局外に出ることに。
観鈴「あ…風、吹いてる」
晴子「吹いてるなぁ」
観鈴「日差し、じりじりしてる」
晴子「せやな」
観鈴「セミ、みんみん鳴いてる」
晴子「うっさい位にな」
観鈴「気持ち良い」
晴子「そうか。良かった」
敬介「どういうことだ、これは」
晴子「敬介」
観鈴「誰?」
敬介「観鈴、お前のお父さんだ」
観鈴「ん?」
- ……今頃出て来るなよ、諸悪の根源(笑)。観鈴の様子にショックを受けていたらしい敬介。観鈴が神尾の家の子となったと聞き、取り戻そうとしたのかな。誕生日のケーキを持って来た位なので、丁度食べ頃になった娘が欲しくなったのかと(最後の一文は嘘です)。
- 前回の話の晴子の話では、観鈴を晴子に押しつけたことになっていた敬介。敬介にしてみれば、病気で大勢の中に居ることが出来ない観鈴を静かな町に住んでいる叔母に晴子に預けたという認識であるらしい。観鈴の身体を想ってのことという訳でしょうが、そうであるならば観鈴と一緒に田舎暮らしという選択肢もあった筈。恐らく仕事が…ということなんでしょうけど、子どもよりも仕事の方が大事、という辺りで親失格という気もします。いや、子どもを経済的に困窮させる親よりはマシですが。このような事情だと、養育費とか晴子さんは受け取っていたんじゃないか?
晴子「邪魔な時だけ預けといて、思い出したら引き取りに来られる。そんな便利な家か神尾の家は」
敬介「貴方の側で病んでいくこの子を放ってはおけない」
晴子「その標準語を止めぃ! 聞いてたら気持ち悪なってくるわ!」
- 敬介、出自は関西の人なの? 関東の人の話す似非関西弁の方が気持ち悪いと思うけど。けど、関西人は関東に出ても関西弁で通す人が多いけど。
敬介「ふー。おばさん、か…」
晴子「ちゃ、ちゃうねん。こないだまでずっとうちのことお母さんって」
- 観鈴が晴子のことを「おばさん」と呼びかけていたのを聞いて、敬介は二人が親子という程の関係に至っていないと確信した様子。観鈴の記憶が無くなったという辺り、中々説明は難しいですからね。如何にも間が悪い。
晴子「嫌や! 嫌や嫌や! 観鈴を取っていかんといて。観鈴はずっと一人やったんや。誰の所為や? うちらの所為や無いか! そやからうちはずっと一緒に居たることにしたんや。それでもあんた、うちらのもめ事にこの子を振り回すんか!」
- 観鈴が一人だったのは確かに敬介が捨てた所為もありますが、預かっておきながら引き離されるのが怖いばかりに観鈴と親子で無い風に接していた晴子さんの責任の方が重いと思うんですけど。^^;;;;
晴子「うち、頭悪いから、世間体の良い言い回しは思いつかんけど、一つ言えるんは、あんた何かより何倍もうちの方がこの子と一緒に居たい。これは絶対や!」
- 観鈴が、とは言えないんですね。観鈴ちんにとって母が必要であるとは断言出来ず、自分こそが娘を必要としていると明らかにしちゃってます。
晴子「三日。それで親子の絆を取り戻すことなんて出来るのかいな」
- 敬介に三日待って貰うように必死にお願いした晴子ですが、もちろん三日位で親子の絆を取り戻すことは出来そうにありません。
晴子「観鈴ちゃんは、ほんまに恐竜が好きなんやなぁ」
観鈴「これはマイアサウラ。優しいお母さん竜っていう意味」
晴子「へー。うちみたいやな」
観鈴「こっちは、ベロキラプトル。すばしっこい泥棒っていう意味」
晴子「はっ。敬介みたいなやっちゃな。…どっちが泥棒なんやろな」
- どっちも実在の恐竜なんですな。優しいお母さんとかげ、敏捷な盗人という意味だとか。親として認識されておらず、血も繋がっていないのに親としての権利を要求している自分のことをまるで泥棒のように感じてしまう晴子さんでした。
- 翌日。観鈴を載せた車椅子を押して海へ向かう晴子さん。外は暑く、観鈴は家に帰るという。昨日は楽しそうにしていたのに、晴子になついたというよりは、お天気次第か。
晴子「そんなこと言うなや。お弁当無駄になるやんか」
観鈴「帰る」
晴子「甘い卵焼きもあるんやで。観鈴ちゃんのリクエストで作ったんや。楽しい一日にしような」
観鈴「や」
- 観鈴ちん、甘い卵焼きが好きなのか。そう言えばお粥にも添えられていました。晴子の弁当のことを知らないと言った観鈴に怒り、晴子はどこかに行ってしまいます。何だか、駄々こねる子どもに対する母親の対応みたいですが、病人を炎天下放っておいてはいけません。車椅子を動かそうとした観鈴は、炎天下路上に車椅子毎倒れてしまいます。物陰から見ていたと思われる晴子さんは慌てて、観鈴に駆け寄ります。
晴子「とうの昔にわかっとったことや。ようはうちは母親に向いてへん。そういうこっちゃ。うちのしとったことなんて…」
- 無駄じゃないですよ晴子さん。世間には晴子さんよりももっとしょうの無い血の繋がっているだけの親子が沢山います。要するに、自分で子を持ったことが無いし、周りの親子も良く見ていないので、何が親子か判っていないのでは。
- 突然悲鳴を上げる観鈴。晴子が驚いて部屋に飛び込むと、セミを怖がっている観鈴の姿。
晴子「よっしゃ取ったろう。うちはセミ取りおばさんや!」
観鈴「セミ取りおばさん…」
晴子「そうや。あんたみたいな恐がりには必要やろ」
観鈴「うん」
- 見事、セミを捕まえた晴子さんは部屋を出て行こうとします。そんな晴子さんに観鈴はトランプを差し出します。
晴子「おばさん。ここにおってもええんか?」
観鈴「うん」
晴子「うち、もう贅沢言わん。あんたと一日一緒におれたらそれでええ。うちの希望はそれだけや」
- 残された僅かな時間。晴子は観鈴と一緒に時を過ごします。
晴子「今日は敬介との約束の日。あのアホ、あんたにも一回尋ねよるわ。そしたらあんた、敬介と一緒に行きたいて答えるやろ。うちとはもう居た無い。そう答えるやろ。夏休みは未だ未だ続いていくけど、二人の夏休みは今日で終いや」
- 敬介との約束の日。眠っている観鈴を車椅子に乗せている晴子。観鈴が晴子を母として認識しないのと同じ位、父と名乗っている敬介に観鈴がのこのこついて行くというのも無さそうな気がするのですが…。晴子さん、自信無さ過ぎです。これまでの観鈴への態度を悔いているだけに仕方無いですけど。
- 武田商店の前で敬介に会った晴子。観鈴を敬介に引き渡す前に、最後に行きたいと言った場所。それは海。
晴子「観鈴、海や。海やで。綺麗やな。遠かったわ。二人でここまで来るに、一体何年かかったんやろ。幾らでもこんな綺麗な景色見られたはずやのに。一体何しとったんやろな。わしら」
- その言葉、往人にも言ってやりたい。…ということは兎も角、後悔先に立たずとはまさにこのこと。
敬介「これだけ大きくなれたのも、貴方のお陰だ。ありがとう」
晴子「せや。これ持たせたって。この縫いぐるみ大好きやねん。これ抱いてたら落ち着いて寝ると思うわ。それでもこの子がだだこねたら、これ飲ませといて。大好物のジュースや」
- 観鈴を敬介に引き渡した晴子はそらにも行かんでええのか? と言います。すると、目を覚ました観鈴が敬介のところで暴れて砂浜に落ちます。そんな観鈴に縫いぐるみとジュースを差し出している敬介が間抜けです。観鈴は波打ち際を必死に晴子の方に向かって歩いて来ます。
晴子「そうや。うちがあんたのお母さんや」
観鈴「ママ…」
- 観鈴は「ママ!」と叫びながら、晴子さんの所に向けて歩いて来ます。晴子さんの努力は決して無駄ではありませんでした。これまでの影ながらの観鈴ちんへの晴子さんの愛情は、きちんと観鈴ちんにも届いてはいました。だからこそ、この奇跡(…と言って良いのかは判りませんが)が起きたのでしょうね。これまで何もして来なかった敬介が晴子さんには勝てる筈などありません。
そら「僕は漸く知った。ずっと観鈴の側にいたこの人は、観鈴のお母さんだったんだ」
- 流石の敬介も晴子のことを母親として認めざるを得ませんでした。敬介は観鈴のために医者を連れて来ると言います。そしてそらは、晴子のことを観鈴の母だと認識するのでした。
観鈴「翼があったの。真っ白な翼で、あたし空を飛んでた」
晴子「そっか。ええ夢見たな」
観鈴「ううん。悲しい夢だった。世界で一番悲しい夢。でもね、これが私の夢の終わり。これからは、お母さんの側にいるの。何時までも、ずっと」
最終話「そら -air-」
- 次回予告。最後の夢を見てしまったらしい観鈴ちん。…と言うことは、観鈴ちんは……。いよいよ最終話。観鈴ちんは、往人はどうなるのか?二人ともお空で何時までも幸せに暮らしました(or成仏しました)なら暴れるかも知れない。