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つけっぱ

TVU Player なる怪しいソフトを試す。いわゆるP2Pテレビ。ソニーが発売したロケーションフリーテレビは自宅で受信可能なテレビ放送をインターネットで送信し、出張先で鑑賞するなど、個人使用を念頭に置いて販売されているものだが、P2Pテレビは不特定多数の人々が自宅等で受信可能なテレビ放送をインターネットで送信し不特定多数の人々がそれを鑑賞するというもの。ADSL以上の回線とパソコンがあれば誰でも無料でみることが出来る。ただし、長時間のP2P接続はリスクを伴うのでその点は注意が必要。で、再送信されている内容を見てびっくり。ABC、NBC、CBS、FOXの米4大ネットワークの国内向け一般放送にCNNやESPNなどケーブルテレビが見放題。こうしたソフトは中国方面が発祥のようで、中国大陸や台湾のテレビ局の再送信も多数登録されていた。当然、放送局に無断での再送信。ヤバイなコレ。そんなこともあってか日本のテレビ局はまったく登録されていない。まあ、法的な問題はともかくとして、その TVU Player で、米国の一般放送をリアルタイムで見ていると「やぱ米4大ネットワークは偉大だなあ」と改めて思ってしまった。次々に新しいニュースや映像が投入され、言葉が理解できなくとも「つけっぱ」にしておきたくなるのだ。スカパーあたりに加入すれば常時70チャンネル以上のテレビを観賞可能な環境が整うが、さてその中に、「つけっぱ」にしておきたくなるチャンネルがどの程度あるだろうか。実はこの「つけっぱにしておきたくなる」ってのが、テレビの本質だったりする。これを理解していないからIT長者は次々とテレビ事業に失敗してしまう。彼らは「チャンネルが多い」「選べる」ってキーワードを既存テレビを打倒する有利な武器と未だに信じきっているのだから笑える。とても東大や一橋を出た秀才とは思えない。そんな中、USENの宇野康秀社長は一味違った。テレビの本質として重要なキーワードのひとつである「視聴料無料(タダ)」に果敢に挑戦した。大手広告主のCMを流し、映画や音楽ソフト、あるいはプロダクションが制作した番組を無料で提供するビジネスモデルをもつGYAOは、既存のテレビ局からも脅威と受け取られた。ところがスタートから2年も経ないうちに正念場を迎えてしまった。今年度も70億円の赤字。来年度も赤字予想で「撤退」も視野に入ったと聴く。ただし、この社長は前出のIT長者連中よりはずっとクレバーだ。年末までにSTB(セットトップボックス)を投入するらしい。モデムとテレビの間に入れると普通のテレビでGYAOが鑑賞できるというシロモノ。2万円は高いと思うが、これでより既存テレビに近づく。これを例えば価格を5千円以下に抑え、チャンネルは1チャンネルのみ、番組制作を既存のテレビ番組制作プロダクションに発注し、視聴者が「つけっぱ」にしたくなるようなCM込みの総合放送にしたら、既存テレビ局にとって本当に脅威になるかも知れない。それを制限する法律はこの日本国内に一切無い。ところが、新手のメディアというのは必ず「チャンネルが多い」「選べる」ってのを売りにして、既存テレビを仮想敵に発奮する。それはGAYOも同様。結果、事業化がうまくいかなければ既得権益のせいにする。はっきり云って無知だ。「チャンネルが多い」「選べる」なんてことは実は長所ではなく短所なのだ。それは衛星放送サービスやビデオレンタルショップにとっては商敵であっても、既存テレビにとっては敵でも脅威でもない、まったくの別モノ。世界で最も強力なマスメディアとABCでもCBSでもなく「朝鮮中央放送」だよん。それが答え。マスメディアの本質も理解せずに、技術的な展開だけで商売を考えている間はITテレビに未来はないように思う。