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シンフォニックロックの名作

harada1原田真二を初めて見たのは「8時だよ!全員集合」だったと思う。郷ひろみみたいな奴がエレビを弾きながら「♪キャンディ~」と唄う姿はかなり強烈で、全国津々浦々、翌週月曜日の学校の休み時間の話題になったはずだ。「てぃーんずぶるーす」「キャンディ」「シャドーボクサー」の3枚のシングルが3ヶ月連続で発売され、それが同時にオリコンの上位にランクインしたことにも驚いた。和製エルトンジョンかポールマッカートニーという印象だったが、すぐに女の子の黄色い歓声を受けるアイドルスターになってしまったので、当時すでにロックに入れ込んでいた私は冷めた目でテレビを見ていたように思う。それが変わるのが翌年。「ザ・ベストテン」という歌番組が始まり、そこで彼は「タイムトラベル」という曲をロックバンド形式で演奏していた。これには参った。演奏が上手い。アレンジも秀逸。4分弱のシングルの中にシンフォニックロックアルバムのような構築美がコンパクトに詰められている。凄い才能だ。こずかいを貯めてはキングクリムゾンやフォーカスのアルバムを買っていたその頃の私が、赤面しながら丸い蛍光灯を持ったジャケットの原田真二のシングル盤を買った想い出がある。この曲は今でも大好きで、聴きたくなるたびにYouTubeにアクセスしている。後になって調べてみれば、ザ・ピーナッツに「エピタフ」を唄わせたり、キャンディーズに「スリーディグリーズ」を唄わせたりしていたナベプロのマネージャー大里洋吉さんが、独立して最初に手かげたタレントが原田真二だったのだそうだ。コントが不満で「8時だよ!全員集合」の本番をすっぽかしで帰った件は有名だが、それも大里氏だからできたことなのだろう。大里氏はその後、サザンオールスターズを世に送り出すことになるが、原田真二の方はアイドル生活に見切りを付け独立してしまう。彼が始めたのはなんとプログレ。原田真二&クライシスだ。北島健二とのツインギター、豊田貴志のキーボード&バイオリンという編成はプログレ的に無茶苦茶カッコ良過かった。しかし時すでにプログレ冬の時代。「タイムトラベル」のようなシンフォニックな路線のプログレアルバムを作れば歌謡曲的にもっと売れた可能性もあったが、彼が選んだのは演奏主体のクロスオーバーなもの。クライシスのアルバムを買うのはアイドル時代からの熱心な女性ファンと私のようなプログレオタクだけだった。その後は、テレビではあまりみかけなくなったもののコンスタントに自身のアルバムを出したり、楽曲提供を続けていたようだ。10年ほど前に彼のファンだったという松田聖子とコラボして紅白歌合戦に登場したこともあった。実力と才能はある。彼も50代に突入。体が動き声が出るうちに大々的に再評価されれて欲しいものだと思う。

タイム・トラベル 原田真二 1978
http://www.youtube.com/watch?v=l0zfr_9EdVM