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歴史の必然

8152中国の外相が国連総会で「尖閣諸島は1895年の日清戦争で日本が盗んだ」という趣旨の演説を行った。中華人民共和国も終わり。歪んだ歴史を国民に叩き込まなければ維持できないような体制は長続きしない。自国の歴史を客観的に検証できない国家はいずれ滅びることになる。それが歴史の必然。日本もそれで失敗した。日清戦争は富国強兵に励む明治政府が資源目当てに落ち目になった清に攻め込んだ侵略戦争だと日本の歴史教科書は教えている。自虐史観と卑下する人もいるが、自国の歴史をそこまで客観的に語れる国はまあマトモ。しかし、真実は異なる。ロシアの南下政策、特に朝鮮半島がロシア化することに怯えた日本が自国の防衛のために身の丈も考えずに清に出兵してしまったのが日清戦争。ところが、大国、眠れる虎と思われていた清が想像以上に弱体化していたため、その戦争になんと日本が勝ってしまった。その勢いで日本は清に対し下関条約で台湾や澎湖列島、遼東半島の割譲を求めた。ここで重要なのはそれらの割譲要求の中に尖閣諸島など入っていないということ。尖閣諸島についてはこの時期に日本がそれらとは別に管理国のない島であることを確認し国際法のルールに従って領有を宣言している。結局、三国干渉があって遼東半島については放棄せざるを得なかった訳だが、日本と清の2国間関係だけではなく、仏、独、露も加わったそれらの国家間交渉の経緯の中で、どこの国も日本も尖閣領有宣言に異議など唱えていない。文句があるならその時に言え! それを2012年になって「1895年の日清戦争で日本が盗んだ」などと言い放ってしまうのがだから厚顔無恥も甚だしい。歴史観が狂っているのは中国共産党、オマエらだ! 見ようによっては滑稽だがそれを地で行く姿は恐ろしい。でもまあ日本にも偉そうなことは言えない過去がある。その日清戦争の結果、ロシアの南下政策阻止に対して清よりも役に立つと英からお墨付きを貰った日本は英から戦費まで貸してもらい、アルゼンチンから中古の戦艦を買って日露戦争を突入する。これも中国東北部やロシアの領土を奪い取るために日本人が果敢に攻め入って「天気晴朗ナレドモ浪高シ」とか「丁字戦法」などと今でもカッコよく語られていたりもするが、実際の政治情勢はそんなカッコの良いものではなかった。当時の日本はロクに金も持たない新興の近代国家、超大国のロシアが朝鮮半島まで南下し、軍備が整えば次のターゲットが日本列島になるのは誰にでも想像がつくことだった。早晩、植民地にされてしまうか、弱り目に群がってくる欧米列強の食いモノされるのがオチだ。黒船来航以来、日本はずっとそれに怯えてきた。それが怖くて借り物の近代国家を慌てて造っていたのが明治時代の日本の実像だ。日本は当時の国家予算の4倍以上の金を主に英財閥から借りて日露戦争を行っている。負ければそのまま国家破綻ではないか。貸す国も貸す国だが、そんな金を借りてまで戦争をやらざるを得ないほどに日本は追い込まれていた。むろん、産業革命を成し遂げ鉄鋼の生産を自国で行えるようになった第一次世界大戦の頃になると日本も列強のひとつとして偉そうな顔をしていたのは事実だが、日露戦争の頃の日本は全く違う。正に「溺れる者は藁をも掴む」状態だったことをしっかりと理解する必要がある。で、その後が無い日露戦争、全世界もびっくり日本が勝ってしまった。これも実は日清戦争と同じ、世界の人々が想像する以上に大国ロシアが弱体化していたのが主たる勝因だった。下瀬火薬やら伊集院信管の開発など日本人が勤勉で真面目だったことも功を奏してはいるが、それ以上にロシアがお粗末だったこと。勝因はそれに尽きる。なににそれで日本は調子に乗ってしまった。大清帝国に続きロシア帝国も撃破、産業革命も経て自国で戦艦を建造するようになるのだがら、列強の仲間入りを果たしたことはまあ事実なのだろう。しかし、日本はその過程の中で大きな過ちを犯してしまう。日本人がやってしまった最大の失敗、それが「自国の歴史を都合よく歪めた」ことだった。神国だの八紘一宇だのと言って自国の優位性を国民に説き、そのような教育を子供に対しても施し、国民が自国の歴史を客観的に検証する機会を失わせてしまった。そういう洗脳は国民をまとめるのには都合が良く当初は大きな力を発揮するが、イノベーションが持続しない。その末期が1945年8月15日だった。神の国は米の合理主義の前に敗れ去ることとなる。苦い経験をした日本人は冷めている。経済が発展し自国に自信とプライドが芽生えてくると、それを象徴する哲学が欲しくなるものだ。米国で云えばフロンティアスピリッツやアメリカンドリーム。戦後の日本で云ったら所得倍増計画や日本列島改造論、技術立国といったような言葉。それが国民の心を一つにまとめてそれが発展の推進力となることはある。しかし、現在の中国やあるいは韓国を見てると、経済はかなり発展し金持ちも増えているというのに未だに国民を統合するキーワードは第二次世界大戦の怨念。それも正史ならともかく自国の都合のいいように歪めてしまった歴史を基にしているのだから恐ろしい。第二次世界大戦で行われた帝国主義的な侵略行為の中に堪えがたい犠牲があったことは事実。しかし、だからといって史実を歪めるようなことをしていると、その代償は結局自分で払うことになるだろう。中国や韓国では67年前に滅び去った大日本帝国に対して力一杯非難することが今でも国是のように行われているが、今あなた方がしていることはその大日本帝国がやった大失敗そのまんまではないのかなと私は思う。自国の歴史を客観的に検証できない国家はいずれ滅びる。中華人民共和国と大韓民国にはいずれ終戦の日が訪れるだろう、戦わずして。