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記事一覧

台湾湯浅

YTX4LBS通勤に使用している原付バイクのセルが回らなくなった。最寄のバイク店に行ったところ、「バッテリー劣化の可能性が高いが、バッテリーの価格が高いので、取り替えてまた同じ症状が出ると困る。キックで始動可能ならばしばらくそのまま乗っていた方が良い。」と云われた。YTX-4L-BSという高性能タイプを使用せねばならないという制約もあるのだが、原付用の小さな12Vバッテリーが1万5千円もするんだと。乗用車の寒冷地仕様バッテリーに匹敵する値段ではないか。一体どうなっているんだ? 調べてみると、数年前から鉛の価格が高騰しているらしい。中国やベトナムの経済が発展する中、レアメタルだけでなく工業用材料の要である鉛の品不足が続いているのだそうだ。一番酷い時期には2万円以上もするバイク用バッテリーがあったのだとか。ここにきてリーマンショックの影響で金属の価格はやや落ち着いているものの、鉛に関しては中国の製鉛工場周辺で発生した鉛中毒の影響でその生産量が減り、価格はあまり下がっていないらしい。対応を考えるべくそのしばらくはキック始動で原付バイクに乗り続けていたが、寒い時期を前にいよいよウインカー音のリズムまで変になってきた。やぱバッテリーの劣化が原因だ。新車で購入以来5年間ほぼ毎日乗っており、まあ、取替えて当然の時期ではある。でも、1万円も叩いて原付のバッテリーは買いたくないよなあ。そこで通販価格をネットで調べてみた。中国製のYTX-4L-BS互換バッテリーが2千円台からあるではないか。しかし、安いのはありがたいが、ホントにそれで大丈夫なんだろかと心配になってしまう価格だ。国産品は通販価格でも8千円以上はしている。悩んだ挙句、選んだのは、台湾湯浅のYTX-4L-BS(未充電バッテリ液同梱)。4100円で購入することにした。台湾湯浅は、日本電池とユアサ電池が合併してできたGS-YUASAとは別会社だが、GSユアサインターナショナルの関連企業に名を連ねている。台湾ヤマハの純正バッテリーにも採用されているらしい。台北に行ったことのある方はご存知だと思うが、街中バイクだらけだ。大陸でなく台湾の製品ならば大丈夫だろうと勝手に思い込むことにした。もともと物価は日本の3分の2程度だし、原付に乗る人が減っている日本に比べれば量産効果で安くなっていることもあるのではないか。今回購入したバッテリー万が一、数ヶ月で御釈迦になったらまたここで報告することにする。購入したバッテリーは電解液を自分で注入するタイプ。その方が完全新品の状態から使えるし、一般的に価格が千円弱安い。自分でできない人は注入充電済を購入するか、バイク店でバッテリーを購入し作業をやってもらわなければならない。出費を抑えたい私は勉強して自分で行なうことにした。まず、換気が良く、埃の少ない場所にバッテリーを置き、本体の液口に貼ってあるアルミシールをはがす。これを剥がしたら時間を置かず、すぐに電解液を注入する。時間を置くと、バッテリー内部の部材が酸化し性能が落ちる。電解液を入れるにはまず6連の電解液ボトルの黒く細長い樹脂の蓋を外す。この蓋は後でバッテリー本体の6つの穴の液口の蓋になるので絶対に捨ててはいけない。一方、蓋が取れた白い電解液の入った6連ボトルの6つの口にはそれぞれアルミの蓋が貼ってある。ヤクルトの蓋のような状態。最初に設計した人もヤクルトの蓋からこのスタイルを着想したとの話をどこかで読んだ。次にその6連の電解液ボトルをサカサマにして、それぞれのヤクルトボトルのアルミ蓋部分をバッテリー本体の6つの液口に垂直に合わせる。ズレていないことを確認したら、手のひらの中央部分を使いイッキに力を入れて垂直に落としシールを破る。するとボトルの中の電解液がバッテリー内部に落ちて注入されていく。この時、液が漏れると最悪だ。電解液は希硫酸なので皮膚に付くと火傷する。重曹で中和できるが、そんなものを探している時間があったらすぐに水道の蛇口に行き、大量の水でしっかり洗い流した方がよい。机の上に残ったりした電解液は乾くと濃硫酸になってしまうので、これもよく洗い流すか重曹で中和する。脅かすようなことを書いたが、硫酸は劇薬。この作業は慎重にやる必要があるということだ。稀にシールがうまく破れず希硫酸がすべて落ちないこともあるらしいのだが、その場合は容器を軽くトントンと叩き、必ず全ての液をバッテリー内に落とすようにする。バッテリー内に電解液が入ると化学反応が始まる。耳をすますとチリチリチリと反応する音が聞こえるはずだ。この状態で30分以上放置する。このプロセスを行なわないとバッテリーの運用寿命が減ってしまうので必ず行う。空になった6連ヤクルトはそのまま立てたまま付けていてもOK。埃の少ない場所での作業ならば、6連ヤクルトを外し、最初に電解液に付いていた6連の黒い蓋を軽く乗せて置くほうが良い。要はバッテリー内に異物が入らないようにすることと、多少空気に触れた方が化学反応が早く進むということ。気温が低い場合はやや長めの時間、最低30分放置したら、最初に外した6連の黒く細長い蓋を本体の6つの液口に合わせて蓋とする。これは手のひらの力などではとてもハマらない。木槌とか角材を挟みつつ金槌で叩くなどして、くれぐれも蓋を割らないようにハメる。これでバッテリーは完成。次は初期充電だ。これはやらなくても使える。やらない場合は、もう30分程度放置してからバイクに乗せるようにする。MFと呼ばれるバイク用密閉型(シールド)バッテリーに0.8A程度で補充電が可能な充電器を持っていたら初期充電をする。絶対に急速充電器は使わないこと。私は、バル(BAL)大橋産業のバイク軽トラ用充電器No.1734という製品を使っている。トリクル充電器ではないが、低電流モードが付いていて価格が安い。( 近所のホムセンで2800円だった。)30分放置して蓋をしたバッテリーに充電をかけたら1時間程でフルになった。そのまま、バッテリーをバイクに乗せ、セルでスタート。ファイト一発!我が原付君は雄叫びを上げ元気に始動。バイクからバッテリーを外せないような方には一連の作業は無理なので乗せ方の説明もしない。そういう方はバイク店を利用すべし。私も専用工具を使用するような作業や分解組み立てが難しいような作業は信頼できるバイク店にお願いしている。修理済みバイクを引き取りに行ったら「バッテリーを交換しました。工賃と合わせて2万円になります。」なんて云われたら怒り狂ってしまうよな。冒頭に書いた無理にバッテリーの購入交換を勧めなかったバイク店はとても良心的だと云える。さすがはホンダの足回りやエンジンまわりの部品を製造している某関連工場直営のバイク店だ。今回は原付バイクのバッテリー交換に1万円以上の出費をするのが我慢ならなかったので自分で頑張ってみたが、プロにお願いするところはお願いしないと業界が廃る。業界が廃ればユーザーも困る。中国やベトナムが経済発展をしただけで、これだけ日常生活に影響が出るものか。マグロは食えなくなりそうだし、鋼材も品不足で建設納期が遅れてるとの話も聞いた。消費生活的には80年代が一番幸せだったなあと、廃棄するバッテリーを眺めながらしみじみ思ってしまった。