カレンダー

  • «
  • 2009.9/
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • »

記事一覧

生き残りをかけた戦い

gas2鳩山首相が「温室効果ガスを2020年までに1990年比25%削減する」と国連演説で表明した。これは国際公約だ。「どえりゃ~ことを云ってしまったものだ」と突然名古屋弁が出るほどに心配してしまった。「すべての主要排出国の枠組みへの意欲的な参加が前提」とのことだが、京都議定書のときのような上島竜兵状態はさすがにもう御免。そのあたりは大丈夫なんだろうか。この数値は日本国内の産業を空洞化させかなねない厳し過ぎる削減目標。きっと排出枠取引で莫大な国費が使われる。厳しい財政状況の中で、なぜこんな恐ろしい公約をしてしまったのだろう。人の良いお坊ちゃまを首相にしたのが失敗だったのか。いやいや東大卒だ。そんな馬鹿ではないわな。冷静になって考えみる。いやいやもしかして、これはお人良しどころか日本が数十年ぶり国際政治の中でに攻めに出たって動きなのかも知れない。よく考えて欲しい。エネルギーの節約制限もなく有害物質の排出制限もなく、自由に産業活動が出来たとしたら、この先日本は生き残れるだろうか。否だ。繊維鉄鋼電気自動車。産業革命に始まる工業化は今世紀に入り確実に転機を迎えている。生活に必要な工業製品は先端技術を用いなくても安価に大量に製造可能になった。その主な生産国は日本ではない。中国を始めとする途上国だ。今や世界の人々は高機能な日本製品を求めなくてもそこそこ使える低価格な途上国生産品でじゅうぶんだと考えている。日本は先端技術の研究国でしかなく、特許や知財による高額な富は得られるが、その先端技術が通常の生産技術になった途端、大量生産大量消費によって得られる直接的な利益は中国あたりに奪われてしまう。これでは優れた先端技術を持つ日本の一部の大企業はグローバル社会の中で生き残れるものの、国全体としての活力は失われる。優秀な理工系大学卒業生の就職先は多々あっても、工業高校卒業生が働く場が無い。大多数の日本人は不要とされる。むろん国民生活に必要なサービス業なども含めた内需にかかわる雇用はある。が、そんなモノは途上国にだってあるのだ。一部の人間が豊かな状況では内需の規模も知れている。プータローが増えるのも当然なのだ。でもまあこの状況が続いてくれればいい。これで、先端技術研究の競争力が落ち、「♪後から来たのに追い越され」たらどうする。日本はG8から脱落、先進国の地位を失うことになるだろう。資源も知恵もない、面積相応な極東の小国に成り下がる。それでは困る。いやがおうにも攻めねばならない。そこを突破するために必要なのが温室効果ガス規制なのだ。厳し過ぎる削減目標は産業を空洞化させるとの声もあるが、既に開発ではなく製造に関して云えばすっかり空洞化してしまっているではないか。それどころかこのままズルズル行けば知財も失いかねない岐路に立っているのだ。ここでハードルを高くして「♪後から来たのに追い越され」ないようにするしか日本が生き残る道はないだろう。現時点で、生産から運用に至るまで高度な省エネ技術がないと工業製品が造れないようになるとなれば、まだまだ日本に利がある。厳し過ぎる目標だが、日本がアドヴァンテージを得るにはこうするしかないのだ。温室効果ガス削減はすべての人間活動に関わってくる。目標値が上がれば上がるほど、高度な工業技術がない国はいずれ脱落していくことになる。クルマを例にとろう。ガソリン車やHV車の製造には高度な技術が必要だった。ところが電気自動車の製造にはそれほどの技術はいらない。途上国が人件費の安さに任せてガンガン造りまくり市場を席捲。じゃ、ガンガン造るには省エネ技術が必要になるルールにしましょ。技術は供与するけど完全無償ではないよ。と、こういうこと。ハードルを高くした方が日本の出番は増える。そのためになら湾岸戦争時の日本の拠出金の半額程度の排出権取引費用5千億など安い安い。全国の理工系大学の学生諸君、出番ですよ。実は温暖化の原因が温室効果ガスにあるのかも定かではないのだ。太陽黒点の活動の方が地球環境に与える影響が大きいとの学説もある。温室効果ガス規制の本質は、環境問題というより経済問題。行く末はおおいに心配だが、久々に日本の政治家が政治を行ったのを見た気がした。