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スペクトルマン 怪獣マウントドラゴン輸送大作戦

bc0ec208.jpgフジテレビ(制作ビープロ)の特撮ドラマ「スペクトルマン」の長野ロケは地元のガキにとっては大事件だった。長野県内初のUHFテレビ放送局で、当時の県民に「U」と呼ばれていた長野放送が「スペクトルマンが長野にやってくる!!」と、事前にロケの告知をやっていたものだからさあ大変。絶対見に行くと意気込んでいたのだが、「小学生だけでは行かないように」という学校の指導に従ってしまった真面目な私は結局ロケには行かず、親と見に行った友人の話を、悔しく聞いた思い出がある。放送は後日食い入るように見たが、怪獣を乗せたトラックが国道19号線を走る映像程度しか今は記憶に残っていない。その第52話が先日遂にスカパーで放送された。6万円もする限定版DVDボックスなどとても買えないと諦めていただけに、これはありがたい。見たいのは第52話「怪獣マウントドラゴン輸送大作戦」だけなのだから。(笑) そしてHDDに留守録画された放送をまるで小学生時代の記憶を思い返すかのように見た。そこには今だから判る新事実がゴロゴロ。この回のストーリーは三重(鈴鹿)で捕らえられた怪獣マウントドラゴンを公害Gメンが名古屋から東京にトラックで移送して調査するという流れ。名古屋で高速のICが破壊されたため、トレーラーは国道19号線を北上し、長野市経由で東京に向かうよう変更される。塩尻から20号線で新宿に向かえばいいのに・・・とも思うが、1971年。中央道も無ければ上信越道も無い時代だ。トラックは木曽路から長野市に向かう。移動シーンとして上松町の町内、桃介橋などが映されるが、カーアクションの部分は風景からすると戸隠バードラインの荒安地籍あたりで撮影されている可能性が高い。その後、長野までの距離が表示されたレトロな国道看板が次々に映し出され、長野市に近づいていく。途中、麻酔銃のストックが少なくなった公害Gメンは公害調査局の長野支局に応援を求め、支局のスタッフが麻酔を三菱ジープに乗せて出動するも敢え無く敵に倒され崖下に転落してしまうシーンがある。そのシープが出動する長野支局は、おそらく長野放送の旧社屋裏口だろう。長野放送と書かれたジープもそこに映っているのだ。その次のカットは県庁前交差点を新田町方向から裾花川方向に走るシーン。マウントドラゴンが長野市地附山に到着すると、地元長野放送がテレビ中継車を出動させニュースの実況中継をするシーンが登場。中継車の上に中継カメラを2台載せ、実際のテレビ局スタッフと思しきカメラマンが狙う先は、公害Gメンのチーフに現在の状況を聞くインタビュー。インタビュアーは、私の記憶に間違いが無ければ、その後、NBSニュースイブニング630のキャスターを務める長野放送の塚田アナウンサーだ。現場には物凄い数のエキストラというか野次馬が集まっているが、これは冒頭にも書いた通り、地元放送局が事前にロケ告知をさかんに行った結果だろう。それをそのまま利用して撮影が行われてる。場所は当時地附山にあった観光ロープウェーの雲上台駅の周辺。このあたりは、その後(1985年)、地附山地すべり災害でとんでもない被害にあうことになるが、当時は善光寺とセットの観光地として機能していた。小さな動物園やスキー場もあったと記憶している。飯綱高原や戸隠高原へ通じる戸隠バードラインの入口でもあり、ロープウェーからは長野市が一望できた。ちなみにこのロープウェーは1963年に橋幸夫が主演した松竹映画「若いやつ」にも倍賞千恵子とのデートシーンで登場する。冒頭で、「協力 長野放送 善光寺スカイランド」とのクレジットが出るが、おそらくそれはロープウェーを運営会社かそこにあった食堂だったと思う。その善光寺スカイランドの協力に感謝してだろうか、長野まであと8キロというドラマ用に造られた看板にも「善光寺スカイランド」と書かれている。その看板のアップからズームアウトすると長野市北部を一望する道路が現れ、マウントドラゴンがトーレラーで運ばれていくという映像。この映像に私は痺れた。長野市まで8キロと表示されているが、実際の撮影場所は地附山、85年の地すべり災害で完全に崩れてしまった戸隠バードラインだ。ズームアウトと共に看板のすぐ後ろに見えてくるのが、長野市の上松地区。開校して間もない長野市立湯谷小学校の美しい校舎がズームアウトの途中で一瞬フルサイズショットで映るのが感慨深い。地すべり災害の際はその体育館が避難所になっていた。ロープウェーはその後取り壊され、戸隠バードラインも災害で途切れたまま、戸隠には、これもまた田中康夫前知事の脱ダム宣言で有名になった浅川ダム工事や長野五輪のフリースタイル、ボブスレー、リュージュ会場へのアクセス道路を念頭に作られた浅川ループ橋を通って行くように変わっている。さて、こうしたドラマでは定番の一件落着のあとに主人公らが談笑するシーンは、地附山スキー場の最下部で撮影されている。背景には飯綱山やバードラインの一部が見える。その次のカットは、スペクトルマンがやっつけたマウントドラゴンを載せて東京に帰るトレーラーが、仏閣型駅舎の長野駅の前を通るシーンだ。屋根にハート型の模様が施された長野電鉄のバスが懐かしい。地方都市である長野はようやく経済成長の結果が形になって現れ始めた時期。その中途半端な風景がドラマの背景シーンで垣間見れるのがとても面白い。