PICTURE原稿の書き方
はじめに
PICTUREで文書を表示・印刷するには,文書内容と,それをどのように表示させるかを記述した,テキストファイル形式の原稿を作成する必要があります。PICTUREはそれを読み取り,記述内容に従って文書を表示・印刷します。
このような方式は,慣れないうちは少々戸惑うかもしれませんが,慣れれば別に難しいことではありません。PICTUREを使えば,ワープロソフトでは表現しがたい精密な図や数式を含む文書を,美しくかつ正確なレイアウトで表示・印刷させることができます。大いにご活用下さい。
目次 (現在拡充中です。)
  1.基礎
  2.基本的な文書整形
  3.やや高度な文書整形
  4.数式の書き方(初級編)
  5.数式の書き方(中級編)
  6.数式の書き方(上級編)
  7.図形の描き方 <平面図形の場合>(初級編)
  8.図形の描き方 <平面図形の場合> (中級編 その1)
  9.図形の描き方 <平面図形の場合> (中級編 その2)

1.基礎
機能の細部は PICTURE のヘルプをご覧いただくとして,ここでは基本的な使い方(原稿の書き方)をご説明します。
  • まずは,最もシンプルな(飾り気の全くない)原稿を書いてみましょう。
    テキストエディターをご用意ください。そして,下の枠内のように記述してみてください(本文は自由に書き加えてください)。
    (なお,テキストエディターとしては,Windows付属の「メモ帳」や「NotePad」でも結構ですが,実を言いますとこれらはお粗末すぎます。「秀丸」「QX」など,インターネット上で簡単に手に入るすぐれたエディターがいろいろありますから,それらをダウンロードして使われるのがいいと思います。少し宣伝させていただけば,当 Bochan System 製の「はなまる」なら,テキストおよびそれに関連するファイル(画像等)を,データベースとして一括管理しつつ,テキスト・エディターとしても十分高機能に使えます。)
    \input{b5縦}
    \begindocument

    この後に,お好きな文章を自由に書き入れてください。\\
    ここで改行しました。\cr ここでも改行です。
    ここは改行になりません。
    ……
    (注)
    上のように,文書中の改行させたいところには,"\\" または "\cr" と記述します。
    原稿自体を改行しても,PICTUREはそれを改行指定だとは判断しませんので,ご注意下さい。改行させたいところには,明示的に "\\" または "\cr" を記述しなければなりません。逆にまた,"\\""\cr" さえあれば,原稿の中で改行されていなくても,PICTUREはその位置で改行します。

  • 作成した原稿をPICTUREで表示してみましょう。
    作成したテキストファイルを,適当なファイル名で保存します。そのとき,ファイルの拡張子は必ず "pct" としてください。(例) mydocument.pct
    続いて,PICTUREを起動し,メニューの「ファイル→開く」によって,いま保存したファイルを開きます。これで,あなたの書いた原稿が,「b5縦置き」の用紙サイズに表示されるはずです。

  • 書式を変えてみましょう。
    上の原稿の最初の部分を,
      \input{a4縦2段}
    と書き直してみましょう。そうして再び同名のファイルとして保存し,PICTUREに読みとらせてください。なお,このように,同名のファイルを何度も修正して読みとらせる場合には,PICTURE側ではその都度「ファイル→開く」を実行するよりも,「再描画」(F5キーでも可)を使うのが便利です。
    「a4縦2段」を指定すると,用紙はA4サイズとなり,しかも2段組で表示されます。
    (注)
    PICTUREには,このような標準的な書式として,以下のものが用意されています。
    用紙(a3, a4, a5, a6, b4, b5, b6, b7, はがき)
    用紙の置き方(縦, 横)
    段組(指定なし(1段), 2段)
    フォントサイズ(指定なし(10.5ポイント), 12ポイント)
    以上を組み合わせて,たとえば
    \input{b5縦},\input{a5横2段}, \input{はがき縦12}, \input{b4縦2段12} などとします。
    (1段組の場合には,段組の指定はしません。また,10.5ポイントの場合には,フォントサイズは指定しません。アルファベットと数字は半角で記述してください。)

  • 細部の書式を調整します。
    標準的な書式をそのまま使うのなら,上のようにすればそれで終わりですが,細部を調整したいときには,書式設定用のコマンドを \input{…}\begindocument の間に挿入してください。書式設定コマンドには,たとえば次のようなものがあります。(詳細はヘルプをご覧下さい。)
    • \leftmargin{10mm}
      用紙の左側の余白幅を変更しいときに使います。"10mm" の部分は,"1cm" と書くこともできます。PICTUREで使用できる単位には,"mm", "cm", "inch", "ch", "pt" の5種類があります。"ch" は設定されているフォントにおける文字高です。"pt" はフォントの単位である「ポイント数」です。
    • \topmargin{…}, \bottommargin{…}, \rightmargin{…} も同様です。
    • \column{3}
      こう書くと,3段組になります。最初の \input{…} で何段組を指定していたとしても,\column{3} と書けば,3段組になります。PICTUREでは4段組まで可能です。
    • \columnsep{5mm}
      段間の余白幅を調整したいときに使います。3段組なら,段間は2個ありますから,
        \columnsep{5mm,5mm}
      のように,2個指定してください。
    • \lineskip{2mm}
      行間幅を調整したいときに使います。
    • \parskip{3mm}
      段落間や,数式行と本文行の間,あるいは箇条書きにおける箇条と箇条の間,などにとられる縦方向スペース幅です。それを調整したいときに用います。
    • \fontsize{14}
      \input{…} による標準的な書式設定では,フォントサイズは 10.5pt または 12pt しか指定できません。それ以外のフォントサイズで表示したいときには,\fontsize{…} コマンドを用います。ただし,\fontsize コマンドは文書の途中で一時的にフォントサイズを変更するときに用いるのが原則です。文書全体の基本フォントサイズを指定するには,\documentstyle コマンドを用います。これについては,ヘルプを参照してください。
    (注)
    上記以外にも書式設定用のコマンドはたくさんあります。詳細はヘルプをご覧下さい。なお,上のような書式設定コマンドをその都度原稿の中に記述するのは面倒ですから,よく使う書式については,書式設定用のファイルを用意しておくと便利です。実は,\input{…} は,そのような書式設定ファイルを読み込むためのコマンドです。
    PICTURE インストール時に,"a4縦2段.pct" などの書式設定ファイルが自動的にハードディスクにコピーされています。それを読み込んで使うのが,\input{…} の役割なのです(…部には,拡張子を除いたファイル名を書きます)。事前にインストールされているこのようなお仕着せの書式設定ファイルがご自分の感覚に合わないようなら,それを直接修正するか,あるいはそれを参考にしながら自分用のファイルをお作り下さい。それを \input で読み込んで使えばいいのです。
    なおそのとき,ご自分の書式設定ファイルの中に,必ず
      \input{picture}
    という1行を記述するのを忘れないでください。これは,PICTUREが使う標準マクロライブラリである "picture.pct" ファイルを読み込むためのものです。これを読み込まないと,PICTUREは標準機能を果たすことができません。(標準マクロライブラリには "picture.pct" 以外のファイルも含まれていますが,それらはすべて "picture.pct" から自動的に読み出されますから,特に意識する必要はありません。)

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