5.数式の書き方(中級編)
数式特有の様々な構造体のうち,よく使われるものについて説明します。
- ルート(根号)
- \sqr{…} と記述します。
(例) $\sqr{x^2-2x+3}$
- \nroot{…}{……} と記述すると,累乗根となります。「…」部が指数,「……」部が本体です。
(例) $\nroot{3}{5x+y}$ →
- 分数
- 分数は,$\frac{分子}{分母}$ と記述します。(なお,簡易形として $\f{分子}{分母}$ という書き方も許されています。)
(例) $\frac{1}{2}$, $\frac{\sqr{x^2-2x+3}}{2x+1}$
なお,インライン数式 ($……$) の場合には,分数の分母・分子はやや小さめに表示されます。インデント数式 ($$……$$),センターライン数式
($$$……$$$) だと,分母・分子の大きさは通常のままです。インライン数式の分母・分子を通常の大きさにしたいときには,数式の先頭に "\Normal" と記述してください。
(例) $\Normal y=\frac{1}{2}x+1$
- 大型カッコ
分数などの大きい構造体をカッコでくくるときには,$\left( …… \right)$ の形を用います。このような大型カッコには次の4種類があります。
- $\left( …… \right)$
- $\left\{ …… \right\}
- $\left[ …… \right]$
- $\left| …… \right|$ (絶対値記号)
(注1) カッコの左右は必ずしも同一種類である必要はありません。
(注2) \left と \right は必ずペアになっていなければなりません。一方だけにカッコをつけるときにも,他方は省略しないで,$\left.$ または $\right.$ のように,カッコ記号の代わりをピリオドにしたものを必ず記述してください。
(注3) 絶対値記号 "|" は,それ単独ではカッコであると判断されません(左右の判断ができませんから)。ですから,大きい構造体を囲む場合でなくても,絶対値の場合には,$\left| …… \right|$ の形を用いるべきです。また,$\abs{……}$ という絶対値記号のための便利なコマンドもあります。
- 行列
行列を表示するには,\matrix コマンドを用います。成分と成分の間は "&" で区切り,行替えをするときには,"\\" を記述します。
(例) $\matrix{a & b & c \\ d & e & f \\ g & h & i}$
(注) \matrix コマンドは、行列の中身だけを表示します。両側をカッコ類で囲むときには、
$\left(\matrix{…}\right)$
$\left|\matrix{…}\right|$
などと、大型カッコを併用する必要があります。
なお、行列に関する細かい説明は,ヘルプをご覧下さい。
- 縦揃え数式
複数行の数式を,たとえば "=" の位置で縦に揃えて表示したいことがあると思います。そのような目的のために,\array コマンドがあります。
記述のしかたは \matrix コマンドと同じですが,\array の場合には,横方向の成分数は必ず3でなければなりません。そして,第2成分が縦揃えのための記号("="など)となります。
(例)
- バー,ベクトル記号,弧,ドット
文字(文字列)の上部に特殊な記号をつけるためのコマンドとして,以下のようなものがあります。
- バー $\bar{…}$ とします。
(例) $\bar{x}$, $\bar{\alpha+\beta}$
- ベクトル記号 $\vec{…}$ とします。
(例) $\vec{a}=\vec{\rm{AB}}$ →
- 弧の記号 $\arc{…}$ とします。
(例) $\arc{\rm{AB}}=\arc{\rm{PQR}}$ →
- ドット ドットを1個打つときは,$\dot{…}$, 2個打つときは $\ddot{…}$ とします。
(注) 上記のコマンドとは別に,文字(列)の上部/下部に任意の記号や文字列をつけるための一般的なコマンドとして,\over, \under コマンドがあります。ヘルプを参照してください。
- 数式中で全角文字を使う
数式の中に全角文字を含めることは自由にできます。必要な個所にそのまま全角文字を記述してください。全角文字は,イタリック体にはならず,そのまま表示されます。
- 非イタリック体(ローマン体)で表示する
数式中では,アルファベット文字はすべて「数式イタリック体」で表示されます。しかし,特定の文字を「非イタリック体(ローマン体)」で表示したいこともあると思います。そのようなとき,\rm{…} と記述します。
(例) $\angle\rm{ABC}=90\degree$ →
\rm{…}は実は,数式中で一時的に数式モードを離脱するためのコマンドです。ですから,上のような使い方だけでなく,数式中では本来使えないコマンド(たとえば
\wbox コマンドや \picture コマンドなど)を数式の中で使いたいときにも,役立ちます。上手に使うと,\rm は非常に便利なコマンドです。
- ボールド体で表示する
数式をボールド体(太字)で表示させたいときには、数式の手前に \boldmath と記述します。このコマンドは数式中では使えません。\boldmath 以降の数式はすべてボールド体となります。ボールド体を終了するときには、\unboldmath と記述します。
数式の一部だけをボールド体で表示させることも可能です。そのためには、
$……\rm{\boldmath$……$}……$
のように、\rm{…} コマンドを使って、一時的に数式モードを離脱し、その中で再び数式モードに入るという、トリッキーな方法を用います。
- 数式の中に種々の線を引く
- 横ドット線 \cdots, \ldots, \cdotslen, \ldotslen
- 横実線 \cline, \lline
- 縦ドット線 \vdots
これらのコマンドの詳細については、ヘルプを参照してください。
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