3.やや高度な文書整形
少々高度な文書整形の技術をいくつかご紹介します。
- 脚注
- 文書中の難解な用語や,詳しく説明しておきたい用語などに,脚注をつけたいことがあると思います。そういうときのために \footnote コマンドが用意されています。たとえば,
- …… PKO\footnote{Peacekeeping Operations の略。国連の平和維持活動。}……。
のような使い方です。こうすると,本文中の「PKO」に小さい脚注マークがつけられ,同時に,その下の欄外に,小さめの文字で「Peacekeeping Operations の略。国連の平和維持活動。」という脚注が入ります。
- ページの上部・下部に特別枠のボックスを表示
たとえば2段組のレイアウトにおいて,ページの上部,または下部に,2段通しの図,表,画像などを入れたいということがあると思います。そのようなとき,
\topofpagebox{…} または,\bottomofpagebox{…}
を使います。このコマンドが現れると,それが現れたページの上部または下部に,1ページあたりの段数にかかわらず,ページ幅の \minipage として,「…」が表示されます。
- たとえば,ページの最下部に2段通しで,3つの画像を並べて表示したければ,
-
\bottomofpagebox{\centerline{
\image{\width{4cm}\align{top}image1.jpg}\quad
\image{\width{4cm}\align{top}image2.jpg}\quad
\image{\width{4cm}\align{top}image3.jpg}
}}
のようにします。なおこの例のように,原稿を見やすくするために,コマンドの途中であっても,適宜改行したり,タブを挿入したりすることができます。また,"\quad" は,1ch(全角1文字)幅の余白を入れるコマンドです。
- 3つの画像を単純に並べるだけでなく,各画像に図番や説明文をつけたければ,たとえば次のように,\table コマンドを利用する方法があります。
-
\bottomofpagebox{\centerline{
\table{\col{c}
\image{\width{4cm}image1.jpg}\\
\minipage{\width{4cm}(図1)…説明…。}
}\quad
\table{\col{c}
\image{\width{4cm}image2.jpg}\\
\minipage{\width{4cm}(図2)…説明…。}
}\quad
\table{\col{c}
\image{\width{4cm}image3.jpg}\\
\minipage{\width{4cm}(図3)…説明…。}
}}}
(注) 図番を自動的に割り振って画像を表示するコマンドも用意されています。ヘルプ「画像に番号をつける」を参照してください。
- ヘッダ,フッタ
ページにヘッダ/フッタをつけたいときには,原稿の前文(\begindocument よりも手前)でヘッダ/フッタの内容を指定しておきます。ヘッダは \topmargin 部に,フッタは \bottommargin 部に表示されます。
- ヘッダ/フッタは,奇数ページと偶数ページで内容を変えることができます。ヘッダ/フッタを設定するコマンドは次の4個です。
-
\oddpageheader{…}, \evenpageheader{…}
\oddpagefooter{…}, \evenpagefooter{…}
奇数ページ,偶数ページのどちらか一方だけを指定すると,その内容は奇/偶両ページに適用されます。
- (例1) フッタの中央に "-12-" の形式でページ番号を表示したければ,
- \oddpagefooter{\center{-\pagenum-}}
とします。\pagenum は,ページ番号を自動的に表示するコマンドです。
- (例2) ヘッダの左端に "2002年2月13日(水)" の形式の日付,中央にゴシック体で章のタイトル,右端に "(23)" の形式のページ番号をつけ,さらにヘッダ全体に線幅0.3mmのアンダーラインを引きたければ,
- \oddpageheader{
\line{0.3mm}
\left{\datetime{yyyy'年'm'月'd'日('www')'}}
\center{\gt\chapterstr}
\right{(\pagenum)}
}
とします。\datetime コマンドは,様々な形式で今の日付・時刻を表示するコマンドです(詳細はヘルプをご覧下さい)。
- コメントを入れる
PICTUREの原稿には,直接は表示されることのないコメントを自由に挿入することができます。使い道はいろいろです。いくつか例を挙げますと,
- 長い原稿のとき,どこにどういう内容の文章を書いているのかを示す案内板の役をする。
- ある部分を削除したいとき,完全に消してしまう代わりに,その部分をコメントにしてしまう。これだと,いつでもその部分を復活させることができます。
強調表示機能をもつテキスト・エディターを使うと,コメント部のフォント色やフォントスタイルを変えることができて,コメントの存在を際だたせることができます。
コメントの入れ方には2種類あります。
- "//"で始める。"//"から行末までがコメントとなります。
- "/*" と "*/" で囲む。複数行にまたがる長い文章を一度にコメントにしてしまうことができます。
- 章・節・小節を設定
- 長い文書の場合には,適当な個所で章・節・小節に区切るのが普通です。たとえば,章のタイトルを設定するには,章の開始部に,
- \CHAP{PICTUREの使い方}
のように記述します。章番号は自動的にカウントされます。章,節,小節を設定・表示するためのこの種のコマンドには,次のものがあります。
- 章 : \CHAP{…章のタイトル…}, \Chap{…章のタイトル…}, \chap{…章のタイトル…}
- 節 : \Sec{…節のタイトル…}, \sec{…節のタイトル…}
- 小節 : \subsec{…小節のタイトル…}
\CHAP, \Chap, \chap がお互いにどう違うのかといった詳細については,ヘルプをご覧下さい。
なお,こうして設定された章・節・小節は単に文書上の区切りとして表示されるだけでなく,PICTUREによって内部管理されており,ヘッダやフッタに反映させたり,目次の項目として自動的に拾い出されたりもします。
- 自動目次作成機能
論文や書籍など,目次の必要な文書を作成するときには,\tableofcontents コマンドを使います。このコマンドの使い方は,非常に簡単です。目次を入れたい個所に,"\tableofcontents" と一言記述するだけです。こうすることで,自動的に目次項目が拾い出されて,目次が作成されます。自動目次作成機能を使えば,本文を追加,修正,削除するたびに目次を手直しするような煩雑さが省けます。
ただし,目次を作るためには,文書中に章・節・小節が設定されていなければなりません。設定されている章・節・小節のタイトルが目次の項目となります。
目次の作り方の詳細は,ヘルプをご覧下さい。
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