PICTURE原稿の書き方
2.基本的な文書整形
文書に様々なアクセントをつけて,見やすくしてみましょう。ただし,PICTUREの文書整形機能は,マクロを使うことによって無限に拡張できますから,レストランのように,「これがすべてです。ここから選んでください」といったメニュー表をお示しすることはできません。基本的であり,しかもよく使われる機能に限定して,下にいくつかご紹介することにします(現在標準的に提供されている機能はすべて,PICTUREのヘルプに書かれていますので,そちらをご覧下さい)。
  • 改行
    PICTUREでは,原稿の中で改行しても,それは改行とはみなされません。改行したいところには明示的な改行コマンドを記述する必要があります。
    • 通常の改行間隔 (\lineskip幅) をとりたいときは,"\\" または "\cr" と記述します。
    • 段落間隔 (\parskip幅) をとりたいときには,"\p" と記述します。ただし,デフォルトでは,\parskip と \lineskip とは同じ値になっています。
    • 改行幅を指定したいときには,"\cr{12mm}" のように,"\cr{…}" の形に記述します。マイナス幅を指定することも可能です (上方に逆戻りします)。
  • 改ページ
    あるところで強制的にページをあらためたいときには,\newpage と記述します。
    これと類似のコマンドに,\newcolumn, \newpaper があります。通常はどれも同じ働きをしますが,多段組の場合や,1枚の用紙に複数のページを割り当てているとき(\pageperpaper コマンドで指定)には,それぞれ違った働きをします。
  • 行頭字下げ
    たとえば,\parindent{1ch} と記述しておくと,各行頭で 1ch(全角1文字分に相当)幅の字下げが行われます。行頭字下げ幅は,文書の途中で何度でも変更可能です。この機能があるため,PICTUREの原稿では行頭に物理的な全角空白を入れる必要はありません。その分,原稿の整形がより柔軟になります。
    なお,特定の行の行頭字下げをとりやめたいときには,その行の先頭部に \noindent と記述してください。
    \parindent のデフォルト値はゼロです。
  • 行の左右にインデントを設ける
    たとえば,\leftindent{2cm} と記述すると,以降のすべての段落について,左側に 2cm 幅のインデントがとられます。
    \leftindent{3cm, 2cm, 1cm} と記述すると,以降のすべての段落について,1行目には3cm幅,2行目には2cm幅,3行目(およびそれ以降)には1cm幅の左インデントがとられます(階段状のインデント)。別の \leftindent コマンドが現れない限り,以降のすべての段落にこれが適用されます。
    \rightindent についても同様です。
  • フォントを変更する
    文書の途中で,フォント名,フォントサイズ,フォントの色,フォントスタイルなどを変更することができます。たとえば,
      \fontname{DF行書体}  (フォント名を「DF行書体」にします)
      \fontsize{16}  (フォントの大きさを16ポイントにします)
      \fontsize{*1.3}  (フォントの大きさを,文書の基本フォントサイズの 1.3 倍にします)
      \fontcolor{green}  (フォントの色を緑にします)
      \fontcolor{%a0bcff}  (フォントの色をRGB16進表現の a0bcff にします)
      \fontstyle{bi}  (フォントスタイルを,ボールド・イタリックにします)
      \gLarge{…文書…}  (括弧内の文書をLargeという大きさで表示します)
                    この種のコマンドは多数用意されています。ヘルプをご覧下さい。
  • 文字に飾りを付ける
    • 網掛け文字 \amikake{…}{6} とすると,「…」部が網掛け文字となります。後の"6"は網掛けの度合いです。"1〜9"の範囲で指定します。
    • 反転文字 \hanten{…} とすると,「…」部が反転表示されます。
    • ルビを振る \ruby{懺悔}{ざんげ} とすると,「懺悔」という文字の上に「ざんげ」とルビが振られます。ルビの分だけ行間が広がります。\flatruby{懺悔}{ざんげ} とすると,行間を広げないでルビを振ります。
    • ○囲み文字 \maru{A}とすると,"A"を○で囲んだ文字が表示されます。
    • 強調箱囲み文字 \hako{トナカイ}とすると,"トナカイ"がゴシック体の少し大きめの文字となり,四角い枠で囲まれます。枠の種類によって, \kagehako{…},\maruhako{…} などもあります。箇条書きの箇条番号などに用いるとよいでしょう。
  • フレームボックス(枠囲み)
    文字列や種々のボックスを長方形の枠で囲むときには,\framebox{…} とします。枠線の線幅はデフォルトでは 0.2mm です。これを変更するときには,\rulewidth コマンドを使います。また,枠線とその中身との間隔はデフォルトでは 0.5mm です。これを変更するときには,\frameboxsep コマンドを使います。
    \framebox コマンドにおいては,単純な実線による枠だけでなく,\style オプションを用いることで,様々な装飾枠も可能になります。線種を点線等に変えたり,四隅を丸くしたり,ということはもちろんですが,それ以外に,\picture コマンドによって描く任意の図形を枠線の模様にしたり,任意のイメージファイルを枠線の模様にすることもできます。可能性は無限です。
    4辺全部で囲まなくても,その一部だけで囲むこともできます。\style オプションの詳細はヘルプをご覧下さい。
  • アンダーライン
    文字列にアンダーラインを引くときには,\underline{…}とします。アンダーラインの線幅はデフォルトでは 0.2mm です。これを変更するときには,\rulewidth コマンドを使います。また,アンダーラインと本体との間隔はデフォルトでは 0.2mm です。これを変更するときには,\underlinesep コマンドを使います。
    実線以外の装飾的なアンダーラインを引きたいときには,\style オプションを用います。これによって,種々の線種,二重線,あるいは波線でアンダーラインを引くことができます。\style オプションの詳細はヘルプをご覧下さい。
    また,\framebox コマンドの \style オプションで「下線だけ」を指定すれば,事実上アンダーラインを引くのと同じ働きとなり,それによって任意の模様のアンダーラインが実現できます。
  • 箇条書き
    たとえば,
      \beginitem
      \item{(1)} ……
      \item{(2)} ……
      \enditem
    とすることで,
        (1) ……
          ……
        (2) ……
          ……
    という箇条書きが実現されます。各箇条に対するインデント量,その他,箇条書きの細かい点については,ヘルプをご覧下さい。
  • 左詰,右詰,中央配置
    • \centerline{…} とすれば,「…」部を行の中央に配置させることができます。前後で自動的に改行がなされます。
    • \rightline{…} とすれば,「…」部を行の右端に配置させることができます。現在行の右端に「…」を入れる余裕がないときには,自動的に改行がなされて,次の行の右端に配置されます。
    • \leftbox{…} とすれば,「…」部を左詰にし,その周囲に本文を回り込ませることができます。\picture, \image, \table, \minipage のような大型ボックスを本文の左側に配置したいときなどに,このコマンドが役立ちます。
        (例) \leftbox{\image{\width{5cm}myphoto.jpg}}
      大型ボックスをフレームで囲んだ左回り込みボックスを作りたければ,
        (例) \leftbox{\framebox{\minipage{\width{6cm}……}}}
      のようにします。
    • \rightbox{…} は,右端配置の回り込みボックスで,使い方は \leftbox{…} と同じです。
  • ページの末尾にジャンプして,最下行にボックスを配置
    原稿を書いてると,ときどきこういう必要がでてきます。途中から一足飛びにページ末尾にジャンプして,ページの最下行に何かを書き入れ,そして次のページに移る,という構造です。こういう場合のために \bottombox{…} コマンドがあります。「…」部は,自動的に,ページ幅(多段組の場合には,カラム幅)の \minipage となります。ですから,「…」部には,改行を含む長い文章が来ても大丈夫です。
    たとえば,一足飛びに最下行に移って,最下行の右端に「(次ページへ)」と表示したいとすれば,
      \bottombox{\rightline{(次ページへ)}}
    と記述すればよいのです。

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