PICTURE原稿の書き方
4.数式の書き方(初級編)
PICTUREで数式を書くのはいたって簡単です。ワープロソフトのように,別ウインドウを使って数式を編集するような手間はいりません。手書きで数式を書くのとほとんど同じ感覚で,PICTURE原稿の中に数式を記述していけばよいのです。
しかも,PICTUREの数式は,ワープロソフトのものよりも,数式自体の見栄えにおいても,レイアウトの正確さにおいても,まさっていると思います。表示・印刷してみてください。一目瞭然です。
数式の書き方は,慣れないうちは少し難しいかもしれませんが,基本的なコマンドをいくつか覚えさえすれば,すぐに手書き感覚で書けるようになってきます。では,やってみましょう。
  • 数式の種類
    PICTUREで書く数式には,大別して次の3種類があります。これらは,数式をどのようなスタイルで表示するかということによる種類分けです。数式そのものの書き方はどれも同じです。
    • インライン数式。"$……$" の形式で書きます。これは,通常の文字列と同じように,行の中に挿入されます。
       (例) $(x+y)^2$を展開すると,$x^2+2xy+y^2$になる。
    • インデント数式。$$……$$ の形式で書きます。直前と直後に自動的に改行が入り,数式だけで1行を構成します。しかも,数式行の左端に一定幅のインデントがとられます。インデント幅は,デフォルトでは 2ch (全角2文字幅) です。\mathindent コマンドを使えば任意に変更できます。
    • センターライン数式。$$$……$$$ の形式で書きます。インデント数式と同様,数式だけで1行を構成しまが,数式は必ず行の中央に表示されます。
  • 文字入力
    • キーボードから直接入力できる,数字,アルファベット,および, "( ) [ ] | ! , . / ? * ;" のような記号は,そのままキーボードから入力します。ただし,"{" と "}" については,頭に "\" をつけて,"\{", "\}" としなければなりません。
    • ギリシャ文字は,キーボードから直接は入力できませんから,コマンド ("\" で始まるアルファベット文字列) として入力します。以下の通りです。
  • 演算記号
    • キーボードから直接入力できる "+ - = > <" はそのままキーボードから入力します。
    • かけ算記号。「×」は "\times" というコマンドで,ドットは "\cdot" というコマンドで記述します。
       (例) $12\times3=36$,  $\vec{a}\cdot\vec{b}=t$  (\vec{…} はベクトル記号です。)
    • 割り算記号「÷」は,\div というコマンドで記述します。
    • 累乗(指数)は,"^" という記号で書きます。
       (例) $x^2+y^{2n}=\alpha^{m+n}$  (指数部が2文字以上の場合には,{…}で囲みます。)
    • 「≦」は \lequal というコマンドで,「≧」は \gequal というコマンドで記述します。
    • 「≒」は \neareq というコマンドで記述します。
    • なお,以上はよく使う演算記号の一例にすぎません。これ以外にも演算記号は非常にたくさん用意されています。ヘルプ(「数式中で使うコマンド一覧」)を参照してください。
  • 否定演算記号
    たとえば「≠」のような否定演算記号は,"\not=" のように記述します。"\not"の直後に任意の演算記号を書くと,その演算記号にスラッシュが付加されて,否定演算記号になります。逆スラッシュをつけたいときには,"\rnot=" のように,"\rnot" を演算記号の直前に記述します。
  • ダッシュ(プライム)をつける
    微分記号などで,右肩にダッシュ(プライム)をつけたいときには,$y'$, $y''$ のように,文字の右側に "'" を(必要な個数だけ)記述します。
  • 特殊記号,特殊文字列
    • sin, cos のように,イタリック体を使わない特殊な文字列については,それらを表示するための特別なコマンドが用意されています。よく使う例をいくつか挙げておきますと,
        \sin, \cos, \tan, \log, \lim, \arg
      などです。他にもまだいろいろあります。ヘルプ(「数式中で使うコマンド一覧」)を参照してください。
      (例) $\sin(x+\theta)=\sin x\cos\theta+\cos x\sin\theta$
      なお,この例のように,"sin x" を表示させるための "\sin x" において,"\sin" と "x" の間には,半角空白を入れる必要があります。空白を入れないで "\sinx" としたのでは,"\sinx" という1つのコマンドだと判断されてしまい,そのようなコマンドは現実には存在しませんからエラーとなります。ただし,"sin 2x" のように,間にアルファベット以外の文字が挟まる場合には,"\sin2x" と書いても,"\sin 2x" と書いても,どちらでもいいです。PICTUREによって処理されたあとの表示結果はどちらも同じです。
    • 積分記号,総和の記号など,キーボードからは直接入力できない特殊記号についても,それを記述するためのコマンドが用意されています。よく使うものをいくつか挙げれば,次のようなものです。
        ∫ (\int)   (\sum)  ∞ (\infty)  ∴ (\therefore)  ∵ (\for)
        ∀ (\forall)  ∃ (\exists)  ∠ (\angle)  △ (\triangle)
      これら以外のものについては,ヘルプ(「数式中で使うコマンド一覧」)をご参照下さい。
      なお,log の底,lim の下付き,∫の積分区間,狽フ下付き/上付きなどの書き方については,次の「上付き・下付き」の項を参照してください。
  • 上付き・下付き
    上付きは "^" で,下付きは "_" で記述します。
    (例)
    $x^2$ → x2 と表示されます(x は数式イタリックになります。以下同様)。
    $(x+y)^{2n}$ → (x+y)2n と表示されます。
    $(x+y)^2n$ → (x+y)2n と表示されます。上との違いに注意してください。
    $\sin^2\theta$ → sin2θ と表示されます。
    $a_n=3n^2-1$ → an=3n2-1 と表示されます。

    組合せ記号等 $\C{5}{3}+\P{8}{4}+\H{n}{r}$ →  と表示されます。
      (\C{…}{…}, \P{…}{…}, \H{…}{…} は,組合せ記号等を表示するためのコマンドです。)
    対数の底 $\log_a(x+y)$ →  と表示されます。
    極限式 $e=\lim_{x\to0}(1+x)^{1/x}$ →  と表示されます。
    積分式 $\int_0^{\pi}\sin^2 x\,dx$ →  と表示されます。
        ("\," は微小スペースを挿入するコマンドです。)
    総和記号 $\sum_{k=1}^n(k^2-3k)$ →  と表示されます。

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