神風・愛の劇場スレッド 第101話『依存』(2/12付) 書いた人:携帯@さん
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From: Keita Ishizaki <keitai@fa2.so-net.ne.jp>
Newsgroups: japan.anime.pretty,fj.rec.animation
Subject: Re: Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18)
Date: Mon, 12 Feb 2001 14:50:13 +0900
Organization: So-net
Lines: 387
Message-ID: <967tio$ied$1@news01di.so-net.ne.jp>
References: <91chth$5db@infonex.infonex.co.jp>
<921ruh$bp1@infonex.infonex.co.jp>
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<93me03$67r@infonex.infonex.co.jp>
<967re7$lkm$1@news01db.so-net.ne.jp>


石崎です。

これは神風怪盗ジャンヌのアニメに触発されて書き連ねられている
妄想小説のスレッドですので、お好きな方のみ以下をどうぞ。


#本スレッドの記事のアーカイブに関しては、hidero@po.iijnet.or.jpさんの
#<8cs0mq$enl@infonex.infonex.co.jp>の記事を道標として下さい。
#余談ですが、近々藤森氏の15禁ジャンヌ妄想を掲載する予定です(笑)。


★神風・愛の劇場 第101話『依存』

●桃栗町 オルレアン

 朝。
 目を覚ますと、そこはいつもの都の部屋ではありませんでした。
 しかし、見た事が無い場所という訳では無く、どこかで見たような光景。
 ぼんやりとした意識で、ここはどこだったんだろうと考えます。
 とにかく起きよう。
 そう思い、起き上がろうとした都ですが、妙に身体が重いのに気付きました。
 正確には、都のパジャマが何かに引っ張られているような感じ。
 それに、自分以外の誰かが触れているような暖かみ。

「何よ…」

 まだ寝ぼけた頭のまま、都は自分にかかった布団を捲りました。

「まろん?」

 都の胸元には、身体を丸めたまろんがいました。
 都の胸の谷間に顔を埋め、その両手はしっかりとパジャマを掴んでいます。
 それを見て、都の意識は急にはっきりとしてきました。
 ここはまろんの両親の寝室なのだと。

 そして思い出しました。
 昨日、母に頼まれておかずのお裾分けにまろんの家に上がり込み、そしてまろ
んが帰って来てからの出来事を。

 まろんが何も話さなかったので、都は何も聞きませんでした。
 まろんが望んだので、都はまろんが望むとおりにしました。

 事情は想像が付きます。
 だから、今の自分の考えが不謹慎だという事も判っています。
 それでも都は、自分の今の感情を否定出来ませんでした。

 ──嬉しかった。
 まろんが他の誰でもなく、自分を求めて来たことが。

「最低かしらね、あたし…」

 都は、枕元に置いてあった自分の腕時計をちらりと確認します。
 もう少しなら大丈夫。

 都は、しがみついているまろんの背中に手を回し、まろんを抱き寄せました。

「ん…」

 まろんの声に、起こしてしまったかと都は思いますが、どうやらただの寝言の
ようでした。
 自分の胸元の幸せそうなまろんの寝顔を見て都は思います。
 この娘は誰に抱かれて寝ている夢を見ているのだろうかと。


●枇杷町 山茶花本邸内庭園

「ふぅ…」

 大会に備えた翌日の集中練習を前にして休養日となった金曜日の夕方。
 山茶花邸の広大な庭園の片隅にある四阿で、弥白は愛用のノートパソコンを広
げ、熱心にキーを叩いていました。

「さて…これからどうしたものかしら」

 画面上に開かれたテキストエディタに連なる文章を読み返しため息を一つ。
 書いていたのは、小説ともシナリオとも付かぬ代物。
 この間から自分の回りに起きている人ならざる者との接触と、この世のものと
は思えぬ不思議な体験。
 それを書き残して置こうと思ったのが始まりでしたが、何時しか登場人物は現
実に遭遇した人物を元にしていながら、全く別の物語を書いているのでした。

「あの悪魔さん、今頃どうしているのかしら」

 最近姿を現さないあの少女の姿をした悪魔も、もちろん登場人物に入っていま
す。
 弥白が展開に今詰まっているのは、この自称悪魔が結局何者で、何を目的とし
ているのかが判らない事が最大の原因でした。
 ただ、人を陥れることのみを目的として悪魔が「契約」を結ぶ筈は無い。
 きっと、本当は何か事情があって…。
 そう感じてしまう弥白でしたが、それが何であるのかはさっぱり判らないので
した。

 そろそろ屋敷に戻ろうか、そう思った時です。
 風が吹いた訳でも無いのに背中に寒気を感じました。

「またですわ」

 以前日下部まろんを自ら手に掛けようとした悪夢を見た時から時々感じる気配。
 どこかで誰かが私の事を見張っている?
 一体誰が? この屋敷のセキュリティは完璧なはず。

 だとすれば、可能性は一つ。

「隠れて見てないで、出てらっしゃい!」

 気配のした方向に向かって叫びますが、それまでもそうであったように、返事
はありませんでした。


●山茶花邸上空

 冬の良く晴れた空に、霧のように現れたミストは近くに気配を感じました。
 否、そこにいるのが判っていたからわざわざ近くに「飛んだ」のです。

「覗き見とは趣味が悪いわね。ノイン」
「貴方にだけは言われたくありませんね」
「フフ…そりゃそうね」

 いつもの事なので、もちろん本気では言っていません。

「あなたの『駒』ですが、気配に気付いているのでは?」
「気配は確かに消している筈なのにね。でもあの『お嬢様』だけじゃないわ」
「瀬川ツグミに東大寺都」
「『犬娘』の方は最近鈍いようだけど。作戦が上手く効いているようね」
「今の所ですが。しかし東大寺都の方は、既に『見える』段階にまで達している
ようです。貴方もそれは知っている筈」

 そう言われてミストは少し考えます。

「ああ、そう言えばそんな事もあったわね」

 あまり関心が無さそうなミストの反応に、ノインはため息を一つ。

「良いのですか? 『契約』を結んだ相手以外にみだりに我等の姿を見せるのは
…」
「その『法』をクイーン自らが破っているのだから、気にすること無いわよ」
「確かに。一時の快楽の為に肉体的接触とは」
「もっとも、ノインもクイーンのこと言えた義理じゃ無いでしょうけどね。全く
ノインは…」

 昔から少女趣味なんだから。
 言いかけたその言葉を飲み込み、代わりにクスクスと笑います。
 それを言うと、ノインが逆上するのを知っているからでした。

「あれは立派な契約です。貴方も人の事は言えないはず」

 この淫魔が。
 ノインも心の中で呟きましたが、もちろん口には出しません。

「あたしにはあの方法しか無かったのよ。非常手段だわ」

 ミストの顔からは何時しか笑いは消えていました。
 落ち着かない手つきでキャンディーボックスからキャンディーを取り出し、口
の中に放り込み、普段なら時間をかけて舐めるそれを一気にかみ砕きました。

「こんな筈では無かった。もっと早くに決着をつけられる筈だったのに」
「作戦の為とはいえ、我等は人間に近づきすぎました。『駒』が『駒』でいる内
はそれでも良かったのですが」
「『駒』が裏切る可能性を心配している訳?」
「それもありますが、それだけではありません」
「じゃあ何よ。人間如き、刃向って来ても…」
「我々がその人間如きに依存している存在である事、貴方とて判っている筈」

 ノインに話を遮られて一瞬むっとしたミストでしたが。

「…判ってるわよ。そんな事くらい」

 そう言うと、今度は空を見上げ何とも寂しげな表情をしているのでした。
 ノインは言わずもがなの事を言ってしまったかと思い話題を変えようとしまし
たが、その時にはミストの姿はもう有りませんでした。


●山茶花本邸 弥白の部屋

「──留守番電話サービスに接続します」

 コードレス電話の受話器から、女性のメッセージが流れるのを聞いた瞬間、弥
白は電話を切りました。

「稚空さん、どこに居るのかしら…」

 弥白が電話をかけたのは、昨日稚空が来た時に聞かなかった事を確認する為で
した。
 イカロスの生存が絶望的になった今、イカロス捜索のホームページをどうする
か。
 稚空の依頼で作ったページであるので、自分で勝手に更新する訳にはいかなか
ったからです。

 忘れていた訳ではありません。
 わざと聞かなかったのです。
 そうすれば、稚空さんに電話をかける用事が又一つ出来る。

 好きな人に電話するのに、理由が要るのだろうかと弥白は時々自問します。
 現に、用事など無いのに路上で無駄話に花を咲かせる女子高生などを見ている
と、一々理由をつけては稚空に電話をしている自分が馬鹿馬鹿しくもなります。

 それでも、弥白はどうしても稚空に理由無く電話をかける事が出来ないでいた
のでした。婚約が継続していた時から。

「また明日、連絡してみましょう」

 電子メールを送れば事足りる事でしたし、現にメールの交換は頻繁に行ってい
たのですが、その時の弥白はどうしても稚空の声が聞きたかったのでした。


●桃栗学園 OA教室

 今日もOA教室でネットサーフィンを楽しんでいた委員長。
 既に日はとっぷりと暮れています。

「水無月君?」

 後ろから声をかけられて、委員長はびくりとします。
 もっともその時は、怪しいページを見ていた訳では無いのですが。

「桐嶋先輩?」
「随分遅くまで熱心な事ね」
「ははは…」

 笑って誤魔化すしか有りませんでした。

「水無月君ってこう言うの好きなの?」
「ええ、まぁ…」
「だったら、お願いがあるんだけど…」

 いつの間にか、桐嶋の顔が委員長の近くまで来ていました。

「今度これの使い方、教えてくれない? 私も最近始めたのだけど…」
「え? あ、はい。喜んで」

 ちょっとドギマギしながら委員長は答えました。

「有り難う。じゃあ今日は私は帰るから、後の戸締まりはちゃんとしてね」
「はい」

 桐嶋が部屋を出て行ってから、委員長は顔を綻ばせました。

「(桐嶋先輩に手取り足取り…)」

 妄想しかけて、自分には心に決めた人がいるのだと思い直します。

「(そうです。桐嶋先輩だって純粋にパソコンの使い方を知りたいだけなのでし
ょうから、邪な心を抱いては…)」

 心を入れ替えた委員長は、そろそろ帰ろうと思いましたが、最後に一つだけチ
ェックしていなかったページがあるのを思い出しました。
 委員長は記憶しているURLを直接入力します。
 学校のパソコンなので、ブックマークに登録出来ないからでした。

 委員長が接続したのは、ニュースでも時々取り上げられる有名な総合掲示板サ
イト。
 その中のオカルト情報掲示板でした。

「昨日は見られませんでしたからね。あれ?」

 掲示板メニューを見て委員長は異変に気付きます。

「記事数がどうしてこんなに…」

 それまでの記事の増加ペースを遙かに上回る勢いで記事が増えているのでした。
 不審に思いながらも委員長は目的の話題についてのスレッドへと進みました。


****************************

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×県桃栗町心霊現象スレッド 第二夜

1 名前:名無しさん@桃栗 投稿日:2000/01/30(日) 3:46

 ×県桃栗町で最近目撃された幽霊少女とその飼い犬、謎の爆発事件、謎の生物
等についての現地目撃情報、その正体についてまったり語り合いましょう。

●前スレ

  http://XXXX.42ch.net/test/read.cgi?bbs=sinrei&key=…

●参考ページ

 情報の発信源となった桃栗CATVインターネットのローカルニュースのログ

  ://www.momokuri.ne.jp/text/cgi-bin/newsarticle?ng=…

 幽霊犬? 烏賊路酢捜索願のホームページ

  ://www.freepage.com/…

●お約束

 場所・人名等プライベートに関わる事項を直接記述する事は禁止。
 ここで紹介されたホームページへの荒らし厳禁。
 URLを紹介する時はhttp抜きで。飛ぶときはコピペして飛ぼう。


                  :

551 名前:名無しさん@桃栗 投稿日:2000/02/02(火) 23:46

 ここでも何度も話題になっている幽霊犬烏賊路酢のページに動きがあった模様。
 何でこんな内容がここに載っているんだ?


552 名前:ナナシ産 投稿日:2000/02/02(火) 23:52

 >551
 え? 烏賊路酢って何?

553 名前:風の谷の名無し 投稿日:2000/02/02(火) 23:55

 >552
 1を読め馬鹿

554 名前:ナナシ産 投稿日:2000/02/03(水) 0:01

 >553
 ごめんなさい。

555 名前:名無しさん@桃栗 投稿日:2000/02/03(水) 0:03

 >551
 見て来ました。
 鶫さんって、烏賊路酢の飼い主の人だよね?
 どうしてこんな内容が…。

556 名前:名無しさん@桃栗 投稿日:2000/02/03(水) 0:05

 >551
 見ました。背革鶫と草壁魔論が恋仲って何よこれ?
 魔論って誰?

557 名前:事情通@桃栗 投稿日:2000/02/03(水) 0:10

 >556
 あ、この娘知ってる。新体操の世界では結構有名>魔論
 確かあの辺の高校の生徒だったような。
 ここ参照ね。
 ://www.fifty.com/sintaiso/index.htm

558 名前:名無しさん@桃栗 投稿日:2000/02/03(水) 0:15

 >551
 どう見ても私怨じゃん。誰よこんなのアブしたの。
 社って、発行者の名前?

559 名前:事情通@桃栗 投稿日:2000/02/03(水) 0:23

 557です。
 そう言えば新体操の世界でも社って娘がいました。
 このページでもう一人ネタにされてる宮古って娘も556で上げたページで名前
が出てるよ。

****************************

「な、な、な……」

 読み進めていく内に、血の気が引いていくのがはっきりと判りました。
 慌てて、海外の無料ホームページスペースに開設されている、イカロスの探索
願いホームページを開きました。

 専用回線ですので、開くのは一瞬でした。
 予想に反してページは真っ白で、ただリンクが一つだけ。
 そのリンクにはファイル名らしき文字が書いてあり、その拡張子を読んでそれ
がネットワーク上における標準的なデジタル文書フォーマットである事に気付き
ます。
 それを閲覧するソフトはインストールされていなかったので、メーカより配布
されている無料閲覧ソフトをダウンロードしてインストールするのももどかしく、
マウスでその文書を開きました。

「ど、どうしよう…」

 委員長の目の前のディスプレイに映し出されたもの。
 その一番上には「日刊 弥白新聞」と書かれているのでした。

(第101話 完)

 ツグミの事を誤解したまま傷ついたまろん。
 それに追い打ちをかける黒い噂。
 その噂で傷つくのは、その対象だけでなく…。
 次回、神風・愛の劇場…

 …って書くのは佐々木さんでした(汗)。
 では、また。

--
Keita Ishizaki mailto:keitai@fa2.so-net.ne.jp
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