3章 沈黙の世界 
   7 大脳の距離測定地図

 コウモリはパルスとエコーの時間差で獲物との距離を測ります。1m先に虫がいると5.9ms後にエコーが返ってくるし、虫を捕まえる直前には1ms後に返ってくるエコーを判断していることになります。コウモリのどの程度性格に距離測定できるのでしょうか。

 コウモリの前に二つ台を置き、近い方に飛び移る訓練をさせたところ、二つ台の距離の差が1−2cmまでは、どちらが近いかちゃんと判定したという実験があります。これは2万分の1秒の時間差を測定したことになります。驚異的な能力ですね。しかしコウモリって芸ができたのかぁ

 3-6でドップラー効果を正確に測定するために、特定の周波数に反応する細胞が大脳にあるといいましたが、パルスとエコーの時間差を正確に計るためには、ある特定の時間差をもったパルスとそのエコーの一組に対して興奮する細胞も、大脳の別の部分に二次元に分布しています。こちらの細胞はエコーの周波数にはあまり敏感でないのでドップラー効果には影響をされずに距離だけを測定します。パーネルケナシコウモリはパルスとエコーが2-8msの時間差で反応する細胞がほとんどを占めていて、これは虫との距離が0.35-1.4mに相当します。

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