7章 コウモリの立場
   6 コウモリvsヘビ(人)

食われる立場としてのコウモリも考えてみましょう。ワシ・タカやフクロウ、ヘビあたりはコウモリを結構捕食しています。

ヘビはコウモリがねぐらから群れで飛び出すところを待ちかまえて捕食します。よくアメリカのコウモリ洞窟からの夕刻の飛び出しの映像で、そんな場面が出てきますね。ただ通常はコウモリの個体群に大きな影響を与えるほどになるとは思えませんが、もともと個体群が減少していると、深刻な影響となるかもしれません。

マリアナ諸島にはマリアナオオコウモリというのがいますが、地元のチャモロ人はオオコウモリのスープ煮が大好きで鉄砲で撃って食べてしまいます。1994年からマリアナオオコウモリは全面的に禁猟になりましたが、未だに密猟の噂を聞きますので、やはりオオコウモリは美味しいらしいです・・・じゃなくて、オオコウモリの個体群回復は遅々として進まないようです。ちなみに97年12月にPICAという巨大台風がグアム・サイパン周辺を襲いましたが、そのため山の餌が少なくなって結構人里にオオコウモリが降りてきたので、チャモロ人は喜んだと
か。そのような状況で1940年代にアメリカ軍の軍需品に混じって持ち込まれてしまった樹上性のブラウンツリースネイクは、オオコウモリの幼獣も捕食しますから、深刻な影響をもたらしたと思われます。(在来の鳥への影響が一番大きいようですが)

なお、私見ですが、マリアナオオコウモリの減少には日本人も間接的にかなり手を貸していると思います。ちょっと前までのグアムやサイパンのガイドブックには、名物?オオコウモリのスープ煮が出ていますが、ほとんどの日本人は、スープの写真をとってちょっとつついてみるだけで、チャモロ人にとっての特別なごちそうを、侮辱しているとしか思えない状況のようだったそうです。98年現在でも、某所でもらった日本語のパンフレットには、「オオコウモリ料理(新婚さん)」と書いてありました。こちらに長年在住している日本人の方に聞いてみたら、「それは日本語のパンフレットだからDivision of Fish and Wildlife Serviceの目にとまらないのだろう。」とのことです。しかし新婚さん向けというのは・・・そんな効果(どんな効果だ)は、現地の人から聞いたことないぞ 

参考文献
The Scientific Bases for PRESERVATION of the MARIANA CROW 
NATIONAL RESEARCH COUNCIL NATIONAL ACADEMY PRESS

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