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翼をください

576e6d3a.jpgネット上を徘徊していたら、赤い鳥がライブ演奏するビデオ映像に遭遇した。曲は「翼をください」。この曲は今やサッカーの応援歌どころか文部省唱歌とも化したジャパニーズポップス不朽の名曲となっているが、このビデオ映像ではその優等生的な楽曲のイメージとは異なるややワイルドな赤い鳥の演奏が堪能できる。まあ、ワイルドと云えば聞こえも良いが、ハッキリ云えばややメチャクチャ。(笑) でも、その荒々しさや若さが逆に面白い。村上秀一(ds)氏と故・大村憲司(g)氏が加わっているので、おそらく映像は1972年か73年頃のものだろう。あらためて見ると、いろんなことが見えて興味深い。で、いきなり音楽性とは無縁の話で恐縮だが、当時小学生だった私はガキのくせして、平山泰代(p.vo)さんのアイドル的ルックスにけっこう「ほ」の字だったりした訳で、今回もついついまずはそこに着目してしまった。やぱ可愛い。オトコ好きする人だよね。彼女は・・・。でも、この映像を見ると意外や意外、当時は地味だな~とたぶん思われていた新居(山本)潤子(vo)さんが可愛くて驚いた。もちろん、ハイ・ファイ・セットではカーリーヘアにまでなって、オトナのオンナを十分に披露してくれたけれど、この映像の潤子さんは可愛い。70年代の街角で見かけた聡明で綺麗なお姉さんそのもの。声に力が入りすぎて地声が出てしまっている部分がまたリアルでいい?? お二人とも今もお美しいがやはり若さってのは凄い。演奏面では、平山さんのピアノのキーがズレているのが少々気になる。赤い鳥は全員が演奏が出来、歌も歌えるという当時としては画期的で優れたバンドではあったのだが、コーラスも一流、インストルメンタルバンドとしても一流という訳になかなかいかないものらしい。ギターソロが始まるとカメラは山本俊彦(g.vo)さんを追うのだが、リードを弾いているのは、実は新居さんと後藤悦治郎(g.vo)さんの後ろに隠れて見えない大村憲司(g)さんだったりする。それは「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」でジョージの代わりにリードギターを弾くエリック・クラプトンのようでもある。でもまあ村上氏も大村氏も他のメンバーよりは明らかに演奏は巧いものの、かなり雑。この後、赤い鳥は渡辺俊幸(kyd)さんを加え、サウンド面のさらなる強化を図るが、村上大村両氏がエントランスなるバンドを組み脱退、オリジナルメンバーも紙ふうせんとハイ・ファイ・セットに分裂する。フォークの真髄を追求しようとする後藤さんとハイセンスなポップを志向する山本さん、大川さん等との路線対立があったようなことを、私と同郷の音楽評論家が後年、著書に書いていたが、この映像を見る限り、理由はそれだけではなかったことが容易に想像できる。いくら優秀なメンバーが集まっていてもフォークバンドとして始まったバンドがジャズロック風の楽曲もこなせるライブバンドとしてやっていくのはかなり困難だ。そこにある種の限界のようなものもあったのではないか。それはその後の紙ふうせんがフォーク・デュオ、ハイ・ファイ・セットがコーラスグループもなったことでも判る。だから、私はこの映像が好きなのだ。赤い鳥がロックしている映像。多少のミスタッチがあってもパワー炸裂。気分は爽快。若さゆえの演奏だ。この曲が国民的名曲になっているにもかかわらず、赤い鳥の再結成がないのは悲しい。いろんなことがあったのだとは思う。でも、失礼な言い方で恐縮なのだが、声が出て指が動くうちに一緒にぜひ演奏して欲しい。そう思っているのは私だけなのだろうか? 最後に蛇足。作詞:山上路夫、作曲:村井邦彦、歌唱:山本潤子による「校歌」を作った高校があるのを御存知だろうか。それは福岡県久留米市にある祐誠高等学校の校歌だ。(久留米なら藤井郁弥に作らせて松田聖子に歌わせればとも思うが) これが凄い。祐誠高等学校さんのHPに行けば誰でも高音質なWMAファイルをDLして聴くことが出来るのだか、聴いてびっくりラウンジ系で Burt Bacharach な校歌に恐れ入る。メロディーがボサノバAntonio Adolfo の Pretty World のよう。デンマークの Brigit Lystager の唄う Pretty World が Bacharach風だったので、CDをひっぱり出して聴いてみたら同じとは云えないが、雰囲気が一緒でゴキゲンな気分になってしまった。こんな校歌があっていいのだろうか。ラウンジ系やハイ・ファイ・セットが好きな人はダウンロードして聴いてみるといい。アレンジは山本潤子さんの April がらみのスタッフのようだが、このA&M路線はきっと村井先生監修。縁もゆかりもない知らない高校の校歌が私の通勤時鑑賞用mp3のヘヴィーローテションになってしまうかも知れない。

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