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岡本万博

cmicky5月1日に開幕する上海万博のPRソングが、岡本真夜さんの「そのままの君でいて」に酷似してることが問題になり、上海万博事務局が曲の使用を暫定的に停止することになった。検証サイトで実際に聴き比べてみたが、これは完全にアウト。有名曲の一部をオマージュやノリで頂いてるヒットソングは古今東西あまたあるが、これはいわゆる丸パクリだ。作曲のことを英語では、Make Music でなく Compose(構成する)と云う。限定された音階の中で音楽は作られるので、当然類似曲も出てくる。しかし、今回は構成も全く同じではないか。作曲者が元曲を知らなかったとは到底思えないし、万が一偶然同じになったとしても責任を取らされるレヴェルだろう。個人的にはパクリがすべて悪いとは考えていない。オマージュとして4小節とか8小節程度のモチーフを上手に取り込んだ曲とか、意図的に元ネタと同じ音色を使ったりした曲なんぞはむしろ大好物。元ネタの作者とパクッた作者の関係性に暖かいものがあったりすれば聴いている側も楽しい。奥田民生さんがアイドル?に書き下ろす曲などは元ネタ探し自体が洋楽厨にとっては至上の愉しみたったりもする。ところが、今回のそれにはな~んか淋しいものしか感じない。中国が国家の威信を賭けて開催する万国博のPRソング。ビデオを見れば錚々たる中国の有名人が入れ替わり登場する。それが10年前のしんきんバンクのCMソングの丸パクリじゃ笑えるというより哀れではないか。岡本真夜さんも自分の曲に矜持をもちつつも「こんなのでいいのかしら?」と思っているに違いない。岡本さんの曲もおそらくサビはジャクソン5を意識しているのではないかと思われるが、前述したように愛する曲のほんの一部を失礼のない形で頂いて再構成している分にはむしろ好感が持てるし、もしかしたら曲想自体が岡村孝子さんのスタイルを少し意識してるのかなとも思ったりもするが、その世代の女性シンガーソングライターが10代の頃聴いたであろう音楽は私も大好きなので、共感の方が先立つ。元ネタにも元ネタがあるのが流行音楽の歴史。単純に音楽を楽しみたい私としては、関係性が良ければそれも楽しみにひとつなのだ。しかし、国家の威信を賭けたイベントとしんきんバンクじゃあ関係性もへったくれもないわな。商業的な権利を持つ関係者にとっては金の問題もあるだろう。中国の作曲者が若い頃、J-POPが好きだったとしても、TPOとしてはかなり変だ。まさか太陽の搭を意識して「万博といえば岡本」としたわけでもなかろうに。なんとも恥ずかしく哀れな沙汰になったものだ。・・・と思っていたら、今日、岡本真夜さんが上海万博実行委員会から楽曲使用申請にOKを出したというニュースが入ってきた。「そのままの君でいて」が「上海万国博覧会公式PRソング」になった訳で、これで法的な問題はたぶん回避。はっきり云えば上海万博実行委員会が盗作と認めたようなものだ。岡本さんも変に争ったりするより中国に協力したほうが得策と判断したのだろう。いわゆるオトナの解決ってヤツか。いや違う。万引きした子供の親が商品を買い取って補導を免れたようなものだよな。トラブルは無くなったが、恥ずかしく哀れな結果は変わらない。

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