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憎いあンちくしょう  

94bb3455.jpg憎いあンちくしょう  1962年 カラー106分 日活

■監督:蔵原惟繕■脚本:山田信夫
■出演:石原裕次郎/浅丘ルリ子/芦川いづみ/小池朝雄/長門裕之

石原裕次郎主演の傑作ロードムービー。実はこの映画、真の愛のあり方を問うストーリーはさることながら、1960年代前半、高度経済成長初期の日本の風景がフルカラーのシネマスコープサイズでよみがえるところに記録的な価値がある。ジャガーXK120、ジープCJ3B-J3(J10)というカーマニアにとってはたまらなくカルトなクルマが、新幹線も高速道路もない時代の、東京~箱根~静岡駅前~名古屋テレビ塔~京都二条大橋~大阪梅田駅前~尾道~広島原爆ドーム~関門トンネル~福岡中州を走り抜ける。街の中心地を通る国道、海際を走る国道、未舗装の国道は雨で泥々。きっと映画のスポンサーなのだろう給油は必ず出光(アポロ)、当時のガソリンスタンドの風情もいい。そしてゴールは九州の山奥、楢山節考もびっくりの山村だ。60年代を記憶に留める人であれば懐かしさに心震えることだろう。映画もテレビもまだ白黒が当たり前、自分自身の60年代の記憶もなぜかモノクロームだったりするので、個人的には当時のカラー映像が新鮮だった。テレビといえば主人公がテレビタレントという設定、当時のテレビスタジオやサブコントロールルームが画面に登場したりもする。60年代の日本の風景がふんだんに詰まった記録映画としてみるのが楽しい。・・・といいつつ、22歳の浅丘ルリ子ってふっくらしていて可愛かったのね~と妙に嬉しくなったりもする。70年代以降のスリムで美しい浅丘ルリ子しか知らん世代にとってはこれも驚きのひとつかも知れない。それとなぜか桑田圭祐がテレビディレクター役で出演している・・・もちろん嘘。

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