マラケシュ 1994.11.4
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朝早く目が覚める。アザーンの高い声が響いてくる。細く遠くから響いていて、意外な音変化をする。聴いていると心にしみわたるようで、この妙なる声を毎朝枕元で聴くのが楽しみで、ついマラケシュには長居をしてしまった。やはり都会のほうが気楽である。大自然や砂漠には向かないな、と通りを歩きながら思う。PTT(郵便電話局)でテレフォンカードを買う。少し分厚めの白地に薄青い文字が入っている。母に電話をして、マラケシュの鉄道のほうの駅まで歩いていって場所を確かめ、それから旧市街の方に歩いていく。ジャマー・エル・フナー広場から行ける食堂街で、クスクスを食べた。山盛りにしてくれて、床を猫がそろりそろりと這い回っている。足元にもやって来てすりよる。旧市街の大通り付近に、伝統工芸館がある。タイル貼りの製作場や、刺繍、やはり絨毯などが展示されている。銀細工などで、きめの細かい作品などもあった。ウードの実演製作所があって、4畳半より狭い部屋の中で、職人の人が数名、作業をしている。机に造りかけの板を張っていない胴やものさしが置いてある。見ている前で、白い木の板を切っていく。旧市街の中央部、広場から行ける程度の範囲の商店街を、ウードを扱っている店とどんなものがあるのか見てまわる。小さめの単弦のものと、大きめの複弦のものがあるらしい。350DH〜2000DH。かなり幅がある。さきほどの工房に戻って値段をきいて、それなら明日には用意できるかな、と思って次の日に行くと、もう前の日のそれはなくなってしまったと言われてがっくりする。
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