エルラシディア−ワルザザート 1994.10.29
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次の朝食は宿の食堂でとった。ジャムとパンとカフェオレの熱したミルクがとても貴重である。チェックアウトすると、たぶん24Hを超えたので、超過料金を取られる。荷物を背負いながら広場の前を通りかかると、昨日の遊牧の人が、「ありがとう!」と言って手を振っている。やはり昨日の二人は何か払ったのだろうか。CTMのバスは朝6時半に出ていってしまったので、民営のバスに乗ってしまった。バスはぼこぼこ道を走り続ける。昼頃、休憩所に止まって、そこから乗り込んできたのが上流らしき地元のおばさまであった。パステルな上下のスーツにアクセサリーをつけて髪は曲げ結い。金きらきん!ティネリールに降りるつもりでいたのだが、途中停車するたびに、地名が分からない。まごまごしているうちに、日は傾き、バスは走り続ける。次第に不安になってきて、聞いてみると、そのおばさまが「もうティネリールは過ぎちゃったわよ」と言う。そんなぁ。仕方がないので、ワルザザートまで直行することにする。予定が変更になってしまった。
夕方18:00、バスは広場のようなところに到着する。皆、降りる。さきほどのおばさまも、後ろの席の少女にも、さよなら、とあいさつをする。地図を見て、少し通りを歩き回ってみるが、泊まるところがどこにあるのか分からない。とりあえず、ガイドブックと照らし合わせて現在地を確認し、大通りを見つけ出す。とにかくまず、どこでもいいからホテルを探し出さないと。土産物屋のお兄さんに道をたずねる。「教えてあげるから、後で買いに来てね」と言われたので、「オッケー!」と言って教えられた方向に歩いていく。林の間を歩いて行く道で、ある程度広いことは広いが、なにぶん、真っ暗に近いくらいなので、多少心細い。十分程進む。右手に脇道がそれているので、標識を見ると、ホテル名が書いてある。灯りも見えるので、そちらの方に歩いていく。4つ星ではあるが、この際、安いところなんて考えているより、とにかく泊まれるところが先だ。目的のホテルにたどり着いて一段落ついてから、夕食を取りに出かける。夕ご飯は、ガイドブックに載っている、おすすめのレストランに行ってみた。土鍋のような蓋付きの合わせ皿にトマトや鶏肉をとり合わせた煮込み料理が出てくる。もちろん絞り立てのオレンジジュースを注文して。久しぶりのビタミンCなので、しみわたるほど美味しい。その帰りに、さきほどの土産物屋の前を通りかかる。律義にも、何か買わねばと思い、外に陳列してあった絵葉書の中から10枚前後、気に入ったのを選んで、もっていく。おりしも、店内は商談中で、店員はドイツ語とフランス語とその他4〜5ヶ国語を使い分けて、欧米の女性に応対していた。商談が成立すると、「お茶しましょうよ?」と店員が愛想を振りまき、その女性は真っ赤になって出ていってしまう。私が絵葉書の束を見せると、種類によって単価が違う、という。絵葉書そのものがほしいというのもないではないけれど、教えてくれたお礼を何らかの形で示したいだけなので、よさそうなのをさらに選り分けて、10DH分に収め、金額を置いてそっと出てくる。後で気が付いたのか、店員のお兄さんは外まで出て来て、例によって「これからお茶しない?」と言う。あのな。「今忙しくて、それどころじゃないんだけど。」と怒って言うと、慌てて引き下がって中に戻って行った。それにしても時計を見ると、もう夜8時過ぎである。いいかげんホテルに帰って次の日の荷造りをして、眠る。
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