マルタ経由 1994.10.18
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今度乗り換えた航空機は、ジャンボジェット機よりもっと小型で、中も二人掛けが2列並ぶと幅は一杯になってしまう。離陸時に、翼が折れ曲がったりしなったりするのが、見ていて非常に怖い。窓際の席は、外の冷気が忍び込んできて、至極寒い。毛布を下ろしてきて、くるまる。通路の反対側の席にも日本の女の人がいたが、連れの人が話しに来て、「こっちの席に移ってもいい?」と尋ねて、空いている席を占めてしまう。うまいものである。これからはそうしたこともしなければならないんだな、とぼんやりながめて感心する。フライトアテンダントの人も、男女ともに愛想を全然振り向かず、ひたすら乗客の安全のみを配慮しているかのようにぴりぴりとしている。来るたびに、いつ落ちるか分からない空を飛んでいるという気にさせられる。運ばれてくる食事も、半分は凍り付いている。数時間後に、燃料補給のために、マルタ島に着陸。上空からは、イタリアのような石造りの整然とした街並みが見えた。生暖かいざんざん降りの雨のなかを、走って空港の入り口へと駆け寄る。湿気が多い。トランジット組だけ集められてカードを渡され、ロビーを歩き回ることを許される。マルタ島の土産物店の中も見てまわって時間をつぶす。細工ものが多い。時間が来たので、休憩を終了して、飛行機に戻る。窓からは、地中海の海原と、その先に陸地がくっきりと見える。その上空は高くまで、雲が覆っていて、距離の遠さを感じる。水平線は、斜めに、丸くなっている。機体が傾いているせいだ。着陸時に、毛布をばたばた叩いてほこりを落としたら、フライトアテンダントににらまれてしまった。入国時の書類を配るのであるが、足りないひとの分は配らない。それで取りに行くと、何度も聞き返されたが、結局粘ってもらってきてしまった。
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