カサブランカ 1994.10.18

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カサブランカ空港に到着したのは、15:30だった。空を、ひつじ雲が速く走り過ぎていく。秋である。入国管理の係りの人は、日本国籍と分かると、にこにこと通してくれた。同じくモロッコに旅行に来ている人達が、とりあえず、誰からということもなく集まる。Hさんと、Yさんと、それから飛行機の中で座席を交換していた、蛍光色に荷物と身をかためた二人組。不思議なことに、全員、女の人である。モロッコの通貨に両替する。タクシーもあったが、値段を交渉しても足元を見られているので、17:00のバスを待つことにして、喫茶店でお茶を飲む。ミントティーだった。蛍光色の二人は即、ラバトの方面に行く、というので、それで別れる。

バスがカサブランカ市内に着いたのは19:00だった。YさんとHさんと三人で、泊まるところを求めてさまよい歩く。ガイドブックに載っているとあるホテルにしようというところまでは決まっているのだが、今いる通りがどこなのかよく分からない。通りかかったスーツ姿のビジネスマンをつかまえて道を訊くと、忙しそうにしながらも教えてくれた。チェックインしてから、夕食を食べにでかける。道端から野次が飛んできて、なかなかスリルがある。Yさんなどは元気良く返事をしてしまっている。ホテル・ハイアット・リージェンシーの中の、その名も「バー・カサブランカ」というところに物見遊山に出かける。バーの前で写真を撮ってしまった。私は映画を見ていないので、あまり感慨は湧かないのだけれど。しかし、カジュアルなジーパンによれよれのブラウスにリュックサックでは、どうしても場が浮いてしまい、超一流ホテルの雰囲気に溶け込んでいない。カサブランカの港の方の駅で、ヨットで世界一周旅行をしている夫婦連れと会う。見掛けが日焼けしていて、本人達も、「ベトナム人と間違えられる」と言って楽しそうに笑っていた。スーダンにも回ってきた、という。スペインで豪奢に生活している日本人の話も、聞く。それにしても、国外に出てくる人達って、なんて個性的で気ままに生きているのだろう。歩き回った末に、もう閉店間近のレストランを見つけて、二階に上がり込み、吹き抜けになっている一階を見下ろす席を確保して、フライドポテトなどを出してもらう。お湯がほしいのであるが、意を通じるのに皆して苦労した。真夜中に、Yさんがマラケシュ行きの列車に乗るというので、見送りに行く。



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