From: Keita Ishizaki <keitai@fa2.so-net.ne.jp>
Newsgroups: japan.anime.pretty,fj.rec.animation
Subject: Re: Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18)
Date: Mon, 10 Jul 2000 06:50:42 +0900
Organization: So-net
Lines: 418
Message-ID: <8kas3s$bki$1@news01cd.so-net.ne.jp>
References: <8i2523$ag8@infonex.infonex.co.jp>
<8itc9t$g15$1@news01bi.so-net.ne.jp>
<8j72mg$an2@infonex.infonex.co.jp>
<8jncme$862$1@news01cc.so-net.ne.jp>
<8jphm0$d23@infonex.infonex.co.jp>
石崎です。
hidero@po.iijnet.or.jpさんの<8jphm0$d23@infonex.infonex.co.jp>から
>佐々木@横浜市在住です。
こんにちわ〜。
このスレッドは、神風怪盗ジャンヌのアニメ版の設定を元にした妄想スレッド
です。作品世界が壊れるのが嫌な人は、読まないで下さいね。
そう言えばこの愛の劇場スレッド、そろそろ半年が経過しているのでは…。
>誰に読ませるかが大問題。^^;
># スキャナ+OCR+読み上げソフトでイケるかな。^^;;;
来日予定のあの方(嘘爆)。
#殆どが洋書なんですよね。
># というか、実はもう後日談編の構想がいくつか…(爆)
>## その前に本編の着地が先だってば。^^;;;
本編の着地点をどうするのかも大問題。
これまでに伺ったお話ですと、途中退場が約二名(?)確定していますが、そ
れに加えて途中退場させようか迷っているキャラが約一名…。
># で、フィンはペットと。
その通りです(笑)。
>>> >★神風・愛の劇場 第58話 『関係の温度』
>
>いやはや、書いていて喋らせ過ぎたかなとも思ったのですが、
>隠し事が下手そうな気がしたので、そのままにしました。^^;;;
>紫界堂の名を出さないのが最後の良心です。(笑)
ヒヤヒヤしながら読んでいたのですが、聖先生の名前が出て来なかったので、
これなら問題ないかと思っていたのですが、やっぱり佐々木さんの良心だったの
ですね(笑)。
ちなみにシルクは自分の人間名の名字を忘れているという設定が(笑)。
>>> ツグミさんの超感覚と絡めて鬼畜なネタを一瞬予想していたのですが…
(汗)。
>
>男の子は守備範囲外だったのです。ツグミさん的には。(爆)
あ…シルクとの話ではなく、ツグミさんの在学中の頃の話です。
自分で書く予定は無いですが、あれ程の感覚の持ち主だと、「七瀬再び」的に
苦労も多いのかなと。
>>> ★神風・愛の劇場 第59話『天使の羽根』
>
>お互いに小さくはない秘密を持ちつつ、正直であろうとしている2人。
>何だか切ないです。心が楽になるのは何時の事やら。
秘密と言えば、都ちゃんの例の問題に関しては、まろんちゃんとの間では一応
の決着がついているのですが、実は稚空との間ではまだ問題が未解決なままとい
う問題が残っています。早い所何とかして上げないと…。
>しかし何ですね、羽根を見て何かを思うという部分は
>夫婦で相方の服にくっついてる髪の毛を見付けて云々という感じ。(激違)
ちなみに都ちゃんがまろんちゃんに羽根を見せているのは、わざと見せつけて
いるのです(笑)。
>そして、まろんちゃんのハイテク音痴がまた露呈。もっともフロッピーを
>知ってるなんて上出来でしょうね。授業で習ったのかな。
ワープロを知っている描写があったので、フロッピー位は知っているだろうと
思いこういう描写にしてみました。
ちなみにもちろん、まろんちゃんは「フォーマット」なんて言葉は知りません
(笑)。
#でも最近、フロッピーって殆ど使わないですよね…。
>★神風・愛の劇場 第60話 『暗くなるのをまって』
久々のアクション編ですね。佐々木さんの書かれるアクション編が読みたくな
ったので、わざと夜の前で終わらせました(笑)。
自分でも対決編を考えていたのですが、DATテープのレオタードまでは考え
つかなかった(笑)。久々に妄想小説っぽいネタとなりました。
聖先生と女生徒が何をしているのかは本当に設定を考えていなかったのですが、
どうやら鳳暁生な事をしていたようで>聖先生(嘘)。
今回は悪魔封印後に消えるレオタードも良いですが、その後でその子の裸を見
て悪い癖が出かかるジャンヌ(まろんちゃん)がポイントですね。
身体が良ければ誰でも良いのか(嘘)。
ちなみにこの子、前回の話で「スレンダー」と書こうとして、削った経緯があ
りますが、佐々木さん的絵ではどんな感じでしたでしょうか(笑)。
># ノインが死ななくて、OA教室ぶっ壊さなければ何でもいいんですよね。
(笑)
今回、悪魔が封印されるのは予定通り。その理由は…今回参照(笑)。いや多
分、判ってて乗って下さったのだと思っています。
では、本編。
★神風・愛の劇場第61話『合い鍵』
■東大寺都編
●東大寺家
都はその日、部活が終わると一人で家に帰りました。
まろんは用事があると部活をさぼっていて、待ってくれている事の多い帰宅部
の稚空も今日は先に帰ってしまっていたからです。
「都、これをまろんちゃんと稚空君の所に持って行ってくれないかしら」
「はぁい」
夕食前のリビングルーム。都は桜にそう頼まれました。
リビングに隣接するダイニングのテーブルの上に、ラップがかけられた皿が二
つ、トレーの上に置いてあります。ちなみに料理は桜の得意料理、ビーフシチ
ューです。
桜は、一人暮らしのまろんと稚空の事を心配して、時々こうしておかずをお裾
分けしたり、時には食事に招いたりしているのでした。
「そうか…。丁度良いわね」
トレーを持って、玄関に向かおうとした都ですが、途中で何かに気がつくと、
トレーを下駄箱の上に置いて自分の部屋に入ります。
●オルレアン 7階廊下
ピンポーン
都はまず稚空の部屋のチャイムを鳴らしました。
しかし、返事はありませんでした。
「留守かしら…」
一応念のため何度か鳴らしてみましたが、やはり返事はありません。
「良い機会だと思ったんだけどな…」
都は、手に提げた紙袋を見ながら、そう呟きました。
その中に入っていたのは、いつか都が知らない間に身につけていた、稚空の物
と思われるシャツでした。洗濯してアイロン掛けまでしたものの、この一週間返
すきっかけを掴めないままでいたのです。
「しかたないわね…」
今度は隣のまろんの部屋のチャイムを鳴らします。
しかし、何度鳴らしても、こちらも返事がありませんでした。
「二人とも留守なのかな? どうしようかな、これ…」
手にしたトレーを見ながら、都は考えます。
玄関の前に置こうかと一瞬考えましたが、流石にそれは躊躇われました。
「そうだわ」
都はポケットの中から鍵を取り出しました。
***
東大寺家では、まろんの家の合い鍵を持っています。
この鍵が作られたのは、まろんを一人残して、まろんの母ころんが外国へと旅
立つ時の事。その時まろんはまだ十歳でした。
最初は、まろんの父、匠が海外に数ヶ月の予定で仕事に出かけ、その予定がそ
ろそろ終わろうとする時期に、ころんも海外へとやはり仕事で出て行ったのです。
もうすぐ父が迎えに来るから、それまで一人で待っていてと…。
しかし、一週間待っても一ヶ月待っても、更に一年待っても、二人とも迎えに
も来なければ帰って来ることもありませんでした。
流石に桜は心配して、まろんにどうしたのか聞きました。
「パパもママも、向こうでお仕事を頼まれて、もう暫く帰れないって言ってまし
た。…あ、私なら大丈夫です。居場所は分かってますし、連絡も取り合ってます
から…。お金もちゃんと振り込んでくれるし、家の事なら何でも出来ますから
…」
だから、心配しないで下さい。そうまろんは明るく答えたそうです。
その言葉通り、まろんの家をいつ訪れても、部屋はきちんと片づけられており、
まろんの家にお泊まりに行った時には、都の母にも負けないほど美味しい料理で
もてなしてくれました。
ただ、身元保証人がいない状態であったので、そう言う時には桜や氷室が身元
保証人となっていました。
まろんは本当にいつも明るく振る舞っており、逆にこの頃になっても、学校で
上手くやっていけずに孤独だった都が励まされる事がしばしばであったので、都
は暫く気付きませんでした。
──まろんの孤独に──
それに気付いたのは、中学校に入学して暫く経ってからの事です。
都は、まろんがメールボックスの中を毎日覗いては、ため息をついている事に
気付いていました。
最初は、その意味が判りませんでした。
しかしある日、都に用事があって別々に帰った日、後から帰って来た都は見て
しまったのです。
──涙…
それは、5月30日。まろんの誕生日の出来事でした。
都は気付きました。まろんがどうして毎日メールボックスを気にしているのか
を。
そして、まろんの嘘にも気付きました。
両親といつも連絡を取り合っているという嘘に。
その日から、都は決意したのです。
まろんには、自分の弱さを見せまいと。
●まろんの部屋
「まろん? いないの? 入るわよ」
鍵を開けてドアを開けると、部屋の中には灯りがついていました。
「お風呂にでも入ってるのかしら?」
かつて留守かと思っていたらお風呂に入っていただけという事があったので、
浴室の様子を伺いましたが、中には誰もいませんでした。
続いてリビングルームに入ります。
今日の夕刊がテーブルの上に置いてあり、どうやら帰って来てはいるようです。
しかし、夕食の準備をしている様子が無いので、どこかに買い物にでも出てい
るのだろうと想像しました。
「まさか…寝てるなんて事は…」
実はこれも一度ありました。新体操の練習で疲れたのか、家に帰って制服を脱
ぎ捨てた状態でベットに仰向けになって寝ていた事があったのです。
「あれ?」
ダイニングテーブルにトレーを置いた都は、まろんの部屋に入りましたが、ま
ろんはいませんでした。
ただし灯りがついており、鞄も置いてあったので先ほどまでここにいた事は確
か。
部屋の中が妙に寒い気がしたので見てみると、バルコニーへと続く部屋の窓が
開いています。
「まろん?」
都は、ベランダにでも出ているのかと思い、外に出てみます。
しかし、まろんはここにもいませんでした。
クスクスクス…
「え!?」
都の耳に少女の笑い声が聞こえたのは、部屋の中に戻ろうとした時でした。
「誰!?」
都が声のした方向を見ると、誰かがベランダの手すりに座っていました。
それは、小学生位の少女。
都はその少女をどこかで見たような気がしましたが、思い出せませんでした。
「あなたは…」
「へぇ、驚いた。まぁ、これだけ交われば、無理も無いかしらね…」
そう言うと、その少女は空中に浮かび、霧のように姿を消しました。
「な、何よ今の…」
都は暫くの間、その少女が消えた空間を見続けていました。
■堕天使フィン・フィッシュ編
●桃栗動物病院
「どうしたの? 苦しいの? かわいそうに…」
真っ暗な病室の中、フィンは横たわるイカロスを撫でていました。
撫でられる度に、イカロスの身体は電撃でも走ったかのように、ビクリ、と震
えます。
その表情は苦しそうでしたが、鳴き声一つ上げません。
その様に訓練されている犬だから。
でもひょっとしたら、鳴き声を上げる気力さえも無くなっているのかもしれま
せん。
「あんたもかわいそうに…こんな病室に独りぼっちで…。今日もあの子は知らな
い男の子を家に連れ込んでいたわ。もうあの子、あんたの事は必要としていない
のかもね…」
フィンはなおもイカロスを撫で続け、イカロスはその度に震えます。
「私も…独りぼっち…」
フィンの目から涙が一筋、つうと流れて行きました。
■名古屋稚空編
●オルレアン 稚空の部屋
「ああ痛ぇ…」
DATテープに取り憑いた悪魔を封印した後に、稚空はアクセスと共に家に帰
って来ました。ジャンヌに張り飛ばされた所為で、身体のあちこちが痛みます。
「早く風呂入って寝ようぜ、アクセス」
「そうだな」
***
予め帰ったら入ろうと風呂の浴槽にはお湯を満たしてありました。
稚空とアクセスは、一緒にお風呂に入ります。
アクセスは、マグカップが浴槽代わりです。
「なぁアクセス、気になっている事があるんだが」
「何だ稚空」
「聖の奴、悪魔の取り憑いたテープを手に持っていたと言ったな」
「ああ」
「その時、アクセスはどの位の距離から見ていた?」
「アイツには近寄りたくなかったから…2、30メートルは離れていたかな。木
の上から隠れて見てたんだ」
「やはりな。それでどうして聖がテープを持っていると判った?」
「ああ、たまたま窓際にアイツが現れて、テープを手にしていたからさ。それで、
そこから悪魔の気配を感じたんだ」
「疑問点が二つある。第一に、どうして聖はわざわざ窓際にまで来て悪魔を取り
憑かせたテープを手にしていたのか。第二に、あいつ程の高級悪魔であれば悪魔
の気配を消すことは訳ないのに、どうしてその時に限って気配が漏れてきたの
か」
「それは…」
「お前の存在を気付かれていたのさ、アクセス。それでわざと判るように、取り
憑いた対象を見せた」
「一杯食わされたのか? 俺達…」
「お前の話を聞いた時、最初は何かの罠かと思った。しかし、悪魔はそれ程強い
物では無かった。俺のピン一本でチェックメイト出来た位だからな。して見ると、
可能性は一つ」
「何だ?」
「囮だな。囮をチェックメイトさせる事で、別の何かを守ろうとしたのかも知れ
ない」
「それって何だよ」
「知るかよ。まぁ明日学校に行ったら、調査して見ようぜ」
***
風呂から上がったアクセスと稚空は、寝る前にリビングで一休みしています。
「アクセス、一杯やるか?」
稚空は、冷蔵庫から出した缶ビールをアクセスに見せました。
「よ! この不良少年!」
「いらないのか?」
「いる!」
「そう来ると思ったぜ」
***
「ぷはーっ! やっぱ風呂上がりの一杯は美味いぜ!」
「アクセス、お前結構いける口だな。もう一杯どうだ?」
「良いねぇ」
稚空は小さいお猪口に泡もこぼさないように、慎重にビールを注ぎます。
小さなお猪口なので、注ぐ事が出来たのは本当に僅かな量でしたが、身長20
cmにも満たない天使に取って、それは大ジョッキ並みの量なのです。
それをアクセスは苦もなく何杯と飲み干します。
「天界でもやっぱりいける口だったのか?」
「いや、実はお酒は人間界で初めて飲んだんだ。そもそも天界にはお酒は無い。
食事だってそりゃあ人間界に比べれば質素なものさ」
「つまらない世界なんだな…」
「まぁ、食事も酒も、俺達天使には必要の無いものだからな。無くても困らない。
だけどよ…」
アクセスが何か言いかけた時です。
リビングルームが光に包まれました。
しかしそれは一瞬で、やがて部屋の中は元の明るさに戻ります。
後には、小さな巻物が一つ、テーブルの上に残されていました。
「なんだこれは?」
「天界からの通信だ…」
アクセスは巻物を広げます。
そこには、稚空の読めない文字で何事か記されていました。
「何て書いてあるんだ?」
「天界からの召喚状だ」
「召喚状? この大事な時にか?」
「だからさ。『今までの功績により、黒天使アクセス・タイムを準天使に昇格さ
せる』ってさ! イヤッホー! これでオイラも準天使だぜ!」
「本当かアクセス?」
「本当さ! 今まで俺の非力で苦労かけたけど、準天使にさえなればシンドバ
ットのパワーも今より強くなるぜ」
「良かったなアクセス!」
「有り難う稚空! これも稚空が協力してくれたお陰だぜ!」
喜んで手を握り会う二人でした。
「それで、準天使になるためには、一度天界に戻らなくちゃならないんだ」
「戻って、帰って来たら堕天使だったなんて事は無いだろうな。フィンみたい
に」
「そんな事無いって! 一日か二日で帰って来るから、その間の事は宜しくな」
「ああ、判った」
「それじゃあ俺、行くから」
「もうか? 明日でも良いんじゃないのか?」
「こう言うのは、一日でも早い方が良いからな。早く稚空を楽にさせてやりたい
しな」
「アクセス…。判った、行って来い。留守中の事は任せておけ」
そう言うと、稚空は窓を開けました。
「それじゃあ、行って来るぜ!」
「早く戻って来いよ!」
アクセスは光球に包まれ、空へと急速に上昇して行きました。
稚空はベランダでその光球が夜空の星と見分けがつかなくなるまで見送ってい
ました。
(第61話:完)
おめでとうアクセス! (注:原作でも準天使に昇進しています)
まろんの一人暮らしと天界の設定に関する、所謂「設定編」でした。
ちなみにまろんが一人暮らしに至る経緯は、アニメ第13話の夫婦喧嘩の描写
を元にしています。
そう言えば今日一日分のミストと弥白の描写がまだ無いぞ(汗)。
では、次回もあなたの心にチェックメイト! …だと良いですね。
--
Keita Ishizaki mailto:keitai@fa2.so-net.ne.jp
|