神風・愛の劇場スレッド 第60話『暗くなるのをまって』(7/3付) 書いた人:佐々木英朗さん
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From: hidero@po.iijnet.or.jp
Newsgroups: japan.anime.pretty,fj.rec.animation
Subject: Re: Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18)
Date: 3 Jul 2000 17:08:32 +0900
Organization: Infonex Corporation
Lines: 458
Sender: nnposting@infonex.co.jp
Message-ID: <8jphm0$d23@infonex.infonex.co.jp>
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<8i08qt$rsa$1@news01de.so-net.ne.jp>
<8i2523$ag8@infonex.infonex.co.jp>
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<8j72mg$an2@infonex.infonex.co.jp>
<8jncme$862$1@news01cc.so-net.ne.jp>

佐々木@横浜市在住です。

<8jncme$862$1@news01cc.so-net.ne.jp>の記事において
keitai@fa2.so-net.ne.jpさんは書きました。

>> 石崎です。

こんにちわ。
# 帰ったらメール読みます。(笑)

>>  このスレッドは、神風怪盗ジャンヌのアニメ版の設定を元にした妄想スレッド
>> です。作品世界が壊れるのが嫌な人は、読まないで下さいね。

です。


>>  人外の者には黒魔術で対抗とか(違)。

誰に読ませるかが大問題。^^;
# スキャナ+OCR+読み上げソフトでイケるかな。^^;;;

>>  いえ、実は最終話で月日が流れ…のパターンでした(笑)。

あ、それ戴いておきましょうか。(笑)

# というか、実はもう後日談編の構想がいくつか…(爆)
## その前に本編の着地が先だってば。^^;;;

>> ># 2人の仲は都ちゃん公認と。φ・・m
>>  愛人三号位として認めても良いかなと(違)。
>> #二号は稚空(爆)。

都ちゃんが正妻(笑)ですか。^^;;;
# で、フィンはペットと。

>> >★神風・愛の劇場 第58話 『関係の温度』
>>  あらら、秘密をあっさり口にして、使い魔としては役立たずですね、シルク
>> (笑)。
>>  でも実は、シルクの私的設定もそんな感じなのですが(笑)。

いやはや、書いていて喋らせ過ぎたかなとも思ったのですが、
隠し事が下手そうな気がしたので、そのままにしました。^^;;;
紫界堂の名を出さないのが最後の良心です。(笑)

>>  ツグミさんは飛び級だったんですか。大検でも受けるのかと思ってました。

どっち(卒業済 or 大検合格済)にするか迷ったのですが、
一時期学校にも行っていたという事にしたかったので前者に。

>>  ツグミさんの超感覚と絡めて鬼畜なネタを一瞬予想していたのですが…(汗)。

男の子は守備範囲外だったのです。ツグミさん的には。(爆)

>>  「色々あって」の部分が気になるところ。

また追々語ってもらう予定です。

>> ★神風・愛の劇場 第59話『天使の羽根』

お互いに小さくはない秘密を持ちつつ、正直であろうとしている2人。
何だか切ないです。心が楽になるのは何時の事やら。
# って責任者の一人が言うな。>自分 ^^;;;
しかし何ですね、羽根を見て何かを思うという部分は
夫婦で相方の服にくっついてる髪の毛を見付けて云々という感じ。(激違)

で、正妻としては相方の肌のチェックにも余念がない訳で…。(笑)

そして、まろんちゃんのハイテク音痴がまた露呈。もっともフロッピーを
知ってるなんて上出来でしょうね。授業で習ったのかな。

聖センセも大暴走中。妄想初期に冷遇されていたので
色々と溜まってたのでしょうか。(爆)

>> (第59話:完)

え〜と、このヒキ方は夜の方を書けという託宣でしょうか。(笑)
そうですか、そうなんですか、ふむふむ、成程。
# 私が続けると、どうなっても知りませんよ〜。^^;;;
# アニメで60話といえば長寿番組との声もちらほらな時期。^^;
# では、いきまぁす。


★神風・愛の劇場 第60話 『暗くなるのをまって』

●桃栗学園

既に薄暗くなり始めた校舎の中。生徒指導室の扉が開き、一人の女生徒が
廊下に出てきました。ぼんやりした目つきで、制服のリボンを直しています。
彼女の足下にカードが2枚、ひらひらと落ちていきました。
どうやら扉に挟んであった様です。
女生徒は気付かずに廊下に出てしまいましたが、
後ろから出てきた紫界堂聖は見逃すはずはありません。
そのカードを拾い上げると、さっと目を通しました。

「さても仲のよろしい事で」

2枚のカードを交互に見比べて、紫界堂は呟きます。
その様子を黙って見詰めている女生徒。瞳には生気がありません。
カードから目を上げた紫界堂は彼女に向かって微笑みます。それから。

「今日はもう少し居残ってもらいましょうか」
「はい、先生…」

紫界堂と女生徒は何処かへと歩き去って行きました。

●オルレアン

まろんは、ベランダに出て暮れていく街を見下ろしていました。
身を乗り出すと、隣に同じようにベランダに出ている稚空が見えます。

「こうしているとさ」

まろんが声を掛けました。

「ん?」
「こうしていると、子供の頃、花火をするのに
 早く夜にならないかなって待ち兼ねていた事を思い出さない?」
「待ち遠しいのかよ、夜が?」
「夜自体じゃなくて」
「仕事がか」
「都が苦しんでる問題を取り除ける事がよ」
「俺はまろんと出かけるってトコが楽しみだぜ」
「あくまでもお仕事ですからね、お・仕・事」
「へいへい」

そんな風に、取り留めの無い話をしている間にも、
辺りはますます暗くなっていきました。
曇っている事もあってか、夜が更に早くやってきます。

「そろそろ行こう」
「ああ」

二人の姿がベランダから消えて、代わりに家々の屋根の上を飛び交う
二つの影が奔って行きました。

●桃栗学園

既に生徒も教師も全て下校してしまった学園内。
足音もさせずに正面ホールに現れたのはジャンヌとシンドバッドです。
ジャンヌの手元を覗き込んで、シンドバッドが聞きました。

「どうだ?」
「うん。何かある。追えそう」

ジャンヌはプティクレアをあちこちに向けて反応を確かめます。

「つまり挑戦を受けるって合図かな」
「でしょうね」

更に方向を確かめるジャンヌ。

「こっちだわ」

それから二人は校舎の中を進んで行きました。
何度か行きつ戻りつを繰り返しながら、最後に辿り着いたのは体育館。
何故か、或いは当然というべきか、鍵は開いていました。
扉を開けて中へ入ります。思わず口を押さえる二人。
中には生臭い臭いが充満していました。
そして予想に反して人の気配があります。
体育館の中央辺りから床の上で何かが動き、擦れる音が聞こえます。

「何、かしら」
「ブっ倒してみれば判るさ」

言うが早いか、音のする先にブーメランを放つシンドバッド。
闇に吸い込まれたブーメランは鈍い音を発しました。
注意深く近寄った二人は、そこに予想外の物を見付けて困惑しました。

「バカ!何て事すんのよ!」
「ま、まさか今頃…」

そこに倒れていたのは黒いレオタード姿の女生徒でした。
薄暗いのではっきりはしませんが、ジャンヌはその生徒の
顔を知っている様に思いました。そして彼女を抱き起こして
その思いが確信に変わります。

「先輩っ、しっかり」

身体を揺すりますが反応がありません。
どうやら息はしている様子ですが、ぐったりしています。

「あ〜らら、マズいぜシンドバッド〜」

何時の間にか現れたアクセスが、からかう様に言います。
ですがシンドバッドには軽口を返す余裕はありませんでした。

「どうしたらいいんだ…」
「取りあえず保健室に連れていって」
「ああ、判った…」

シンドバッドは彼女を背負うと、扉に向かって歩きだしました。
その場に留まって辺りを探るジャンヌ。すると。

「うっ!」
「シンドバッド?」

一瞬の呻き声がしてそれからドスンと大きな音が響きます。
ジャンヌが慌てて後を追うと、入り口近くにシンドバッドが
倒れていました。仰向けに起こそうとした拍子にシンドバッドの
身体の下からアクセスがもぞもぞと這い出て来ます。

「重いぜちくしょう…」
「何があったの?」
「判んねぇよ、シンドバッドが唸っていきなりオイラの上に」
「先輩は?」
「居ないのかい?」
「ええ」

気が付いて帰った…はずは無さそうです。
ジャンヌはシンドバッドを見ている様にアクセスに言うと
体育館の中央側へと、とって返しました。
再び先ほどと同じ音がしています。
慎重に先へ進むジャンヌ。
やがて音の正体が判りました。
女生徒が新体操のボールのレッスンをしているのです。

「先、輩、?」

影に向けて声をかけますが、返事はありません。
全く耳に入らない様子で練習を続けています。

「(おかしい。絶対に変だよ)」

もう一度声を掛けようと数歩前進したとき、女生徒の手を離れた
ボールがジャンヌの足下に転がってきました。
ボールを手にしたジャンヌは再び歩きだします。
女生徒の声がしました。

「誰なの?部外者の方は出ていって下さい」

私は、と言い掛けて、確かに今は部外者なのだとジャンヌは思いました。
ですが、やはり変です。先輩、もっと驚いてもいいはずなのに。
それに声がとても近くから聞こえる…。

「きゃっ!」

薄明かりにかざして手元を良く見たジャンヌは
思わずボールを投げ棄てました。
ボールには目鼻があって、口が動いていたから。
それはよく見知った先輩の首でした。

後退るジャンヌを追う様に、闇の奥から女生徒がゆっくりと
近寄ってきます。おぼつかない足取り、両手を前に突き出して
手探りで歩いてきます。首は付いていませんでした。

「こっち来ないで」

ふらふらと歩いてきた女生徒は、一度自分の首を蹴飛ばすと
何とかそれを手に取り、元あった場所に乗せました。
そして、ぼぞぼそと独り言を言いました。

「嫌だわ。練習していたら何かが飛んできて
 首がもげちゃったじゃない…」
「嘘よ、さっきはちゃんとつながってたわ」

言ってから、慌てて口を押さえるジャンヌ。
女生徒がゆっくりと振り向きました。

「まだ居たのね…」

女生徒の目が真っ赤に光りました。
そしてプティクレアの反応がにわかに強まります。

「そんな…」

稚空=シンドバッドは今夜の獲物は小さなコンピュータ用のテープだと
ジャンヌに告げていました。しかし、目の前の女生徒はそんな物を
持っている様子はありません。ですが確かに彼女から反応があります。
人間に直接チェックメイトを仕掛けるのは抵抗がありました。
もし、命を奪うような事が。でも、あの時は…。
プティクレアの音が激しさを増しています。
気が付くと目の前に女生徒が迫っていました。

「練習用のボールが無いわ。あなたのボールを頂戴」

女生徒の手がぬぅっと伸びてきました。
ジャンプして女生徒との距離を一気に広げたジャンヌ。
もう躊躇している精神的な余裕は失われていました。

「この反応の強さ、先輩じゃない。悪魔の化身だわ!」

女生徒に向けてリボンを振るうジャンヌ。
先が幾筋にも別れて相手を囲むように伸びて行きます。
ですが、そのリボンは女生徒に届く前に空中で止まってしまいました。
リボンを引き戻そうとしたジャンヌは、それぞれのリボンの先に
もっと細い黒いリボンが巻き付いている事に気付きます。
それは女生徒のレオタードから生えているのでした。
恐ろしい力で引きつけてくる黒いリボン。
更に数本が新たに生え出し、ジャンヌの四肢に直接巻き付きました。

「くっ!」

身体に巻き付いてみると、それは表面に濡れたような艶があります。
そしてその細さゆえに肌に食い込むのでした。
抵抗する力のバランスを少しでも崩してしまうと、
斜めになったリボンが身体に触れます。するとそこが一瞬緑色の光を放ち
そして肌がスパっと切れてしまいます。手足に小さな傷が出来るジャンヌ。

「強い。障壁ごと切り裂いてくるなんて…」

じりじりと距離がつまって行きます。
ジャンヌは必死に踏み止まっているのですが、女生徒が
リボンの張りを維持しながら、少しずつにじり寄っているのです。
と、その刹那。闇を抜けて飛来したブーメランがリボンを切り裂きました。
力が抜けてジャンヌと女生徒の双方が尻餅を突くように倒れます。

「大丈夫か!」
「遅いっ!」

シンドバッドがジャンヌの前に立ちはだかります。
ジャンヌがその後ろで立ち上がり、やや遅れて女生徒も立ち上がりました。

「してやられたぜ」
「手強いよ」

間髪入れずに襲い来る黒いリボン。シンドバッドは次々に切って落とします。
しかし、攻撃は際限無く続きました。

「きりが無いな」
「何とかチェックメイトしないと…」
「本体は何処だ」
「判らないのよ」

防御の手を休めずに女生徒の様子をつぶさに観察したシンドバッド。
叩き切ったリボンの断片を手に取って、頷きました。

「ジャンヌ、もう一度君がチェックメイトするんだ」
「でも、また…」
「早く!」

再びジャンヌがリボンを放ちます。それを受け止める黒いリボンの群。
その隙を突いてシンドバッドのピンが飛びました。

「チェックメイト!」

ピンが刺さったのは女生徒の左手首のわずかな膨らみ。
身体全体から生えている様に見えたテープが、実際は女生徒の手首から
生えて身体の上を覆っている事を看破したのです。
断末魔の声が上がり悪魔が一瞬だけ本来の姿を露にしましたが
すぐにピンの中心に吸い込まれてしまいました。
そして体育館の床に固い小さな物が落ちる音がすると
辺りは静寂だけが支配するあるべき状態へと戻って行きます。
やがて一つ溜息をついてからジャンヌが聞きました。

「何、だったの?」
「言っただろ、テープだよ。DAT」
「え?」
「DATの中身さ。ジャンヌを縛っていたのは」
「そうだったんだ…」
「悪魔はテープのケースに憑いていたらしいな。
 テープが彼女の身体の上を這っている様に見えたんで
 その出所を探ったのさ」
「う〜ん。ほんのちょっと見直したわ」
「ちょっとかよ」
「そ。大チョンボもあるしね」
「う…」
「でも、最初から悪魔が化けてたみたいだし。ま、いっか」
「そんな事ないだろ、わざわざケースだけ狙ったんだぜ」
「えぇ?」
「だから、それで倒せたって事は中身は本物の女の子だろ?」
「えええぇっ?」

慌てて暗闇の先へと急ぐジャンヌとシンドバッド。そこには。

「おおっ!」
「見るな変態!」

ジャンヌはシンドバッドを思いっきり張り飛ばしました。
遥彼方へと跳んで行くシンドバッド。
ジャンヌの足元には女生徒が裸で横たわっていました。

「レオタードも全部テープだったのね」

どうしようか迷った末に、ジャンヌは彼女を新体操部の
部室へ連れて行きました。
ベンチに寝かせてから彼女のロッカーを探しました。
幸いな事に、ここで脱いでいたらしく、着替えは揃っている様です。

「やっぱり着させてあげないとマズいよね…」

でも。思わず見とれてしまうジャンヌ。悪い癖が出かかっています。

「性格は兎も角、お身体の方は結構イイかなぁ」

そんな事を呟きながら顔を覗き込んでいた時です。

「あ…」「へっ?」

女生徒の目がぱっちりと開きました。そして上体を起こしてしまいます。
結果として、彼女の肩に手を乗せてしまうジャンヌ。
見詰め合う二人。流れる沈黙の時間。やがて自分の姿に気付く女生徒。

「きゃぁ〜」

上がる叫び。しかしそれは一瞬だけでした。
何故なら叫んだ途端にジャンヌが新体操の棍棒で殴ったから。

「あ、やっちゃった」

再び気絶した先輩にそそくさと服を身に付けさせて
ジャンヌはその場から逃げ去りました。



どのくらいの時間が経ったでしょうか。
くしゃみ一つで目を醒ました女生徒。
何故か部室のロッカーの前で寝ています。

「あれ、私…」

周りには誰も居ません。ハッとなって服装を確認しますが
ちゃんと身に着けていました。特に変わったところは無い様です。

「夢…だったの…」

帰り道、彼女は一瞬見た様な気がした女の子と自分の事を考えていました。
目の前に居た女の子は新聞で見た怪盗ジャンヌに似ていた様な気がします。
でも、学校に居るはずがないと思いました。
それに自分が裸だったのも変です。散々考えた結論はこうでした。

「変な噂話ばっかりしてたから、あんな夢見たんだ…」

女生徒は噂話を程々にしようと思うのでした。

●桃栗学園屋上

一部始終を眺めていたノイン。女生徒が校門を抜けた事を見届けてから
彼もまた姿を消しました。

「人間にしては、良く戦ったという所でしょうか」

ノインの去り際の言葉でした。

●体育館

「おい、シンドバッド、帰るぜ」
「ぅぅぅぅっ…」
「だらしねぇなぁ。早く起きろって」
「…お前、まろんのパンチを知らないからそういう事が言えるんだ」
「ふぅ(先が思いやられるなぁ)」
「でも惜しかったな」
「何が?」
「もう少しこの中が明るかったら」
「言えてる」

二人はとっても素敵なものが横たわっていた辺りを
物欲しそうに眺めていました。

(第60話・完)

# ノインが死ななくて、OA教室ぶっ壊さなければ何でもいいんですよね。(笑)

では、また。

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