神風・愛の劇場スレッド 第143話『滲み』(8/31付) 書いた人:佐々木英朗さん
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From: hidero@po.iijnet.or.jp
Newsgroups: japan.anime.pretty,fj.rec.animation
Subject: Re: Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18)
Date: 31 Aug 2001 16:26:48 +0900
Organization: Infonex Corporation
Lines: 249
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<9m51ub$fmr@infonex.infonex.co.jp>
<9m9r5a$drh$1@news01bi.so-net.ne.jp>

佐々木@横浜市在住です。

<9m9r5a$drh$1@news01bi.so-net.ne.jp>の記事において
keitai@fa2.so-net.ne.jpさんは書きました。

>> 石崎です。

こんにちわ。

>>  このスレッドは、神風怪盗ジャンヌのアニメ版の設定を元にした妄想スレッド
>> です。そう言うのが好きな方だけに。

そんな訳でして。


>> > >> ★神風・愛の劇場 第140話『贈り物』(前編)

>> #実はまろんちゃんもアクセスも魔王様もみんな大好きなフィンちゃん(笑)。

# それはフィンを見ていれば大体判ります。(笑)

>>  もう一つはミストがチョコを溶かしている姿がどうしても想像できなかったが
>> 故(爆)。

確かにチョコに限らず料理している姿が唯一全然似合わない女。^^;;;

>> > アクセスの言おうとした神様の本心の部分とフィンが言おうとしなかった
>> > 魔王様の事…この2点のポイントが何を指しているか次第でしょうか。

この部分が封印話に与える影響というのははっきり言ってしまうと
フィンが魔界に身を置く理由がどの程度まで本人の意志か?って事なのです。
[帰りたいけど帰れない <---> そもそも帰る気無し]の線上のどの辺りに
フィンの気持ち(あるいは立場)があるのか。
# あくまでも洗脳云々の話は無しとして。
これって最終的な本シリーズのオチに関係してくるので
出しづらい(ちょっと躊躇してしまう)部分なのです。
今までのフィンの描写からすると、どちらとも取れる様に思えて。

>>  具体的に何かを書くと、封印されたストーリーをぶち壊してしまいかねないと
>> 思ったもので。
>> #一応、以前にもその設定らしきものが出していたような記憶が。
>> #多分、佐々木さん版の設定もそれに準拠している…とは思うのですが。

"具体的に何かを書いても「準拠している」はずなので問題は無いと
思われるが「準拠してない場合」、私(佐々木)が封印した部分に影響が
出そうなので表現をボカしている。"という理解で良いでしょうか。
# 行間を深読みすると別なニュアンスが浮いて出る様な気がしましたので
# 念の為に確認。

で、そうだとすると双方で"ズバリ"を遠慮しあっている事になって
話がオチる日が遠くなる気がしますが、どんなもんでしょうか。(笑)
必要に応じてそれぞれ「この話のオチ(あるいは設定)はこうだ!」と
思った通りに書いてしまって良いと思います。

# 今日現在、この妄想シリーズの最終的なオチ案は私と石崎さんの物では
# <強調>全然違う</強調>という確信に近い予感があります。
## 個人的には(当たり前ながら)自分のオチ案は判っているので
## 石崎さんのオチを読みたいのですが。(笑)

>> > ★神風・愛の劇場 第141話 『棲んでいる』
>>  魔界で飛んでみた時に、フィンが大きな後悔を残した理由は一体何なのか。
>>  魔界の成り立ちに関わるような重大な設定がさらりと描かれているようで。

さらりと書いてみたのにやはり目に止まってしまいますか。(笑)

>> #魔界は原作では宇宙空間にあるっぽいのですが。

# やっぱり恒星間宇宙船。(笑)

>> #天界で自由に飛べないのは「掟」とスペースコロニーみたいな閉鎖空間が故で
>> #すよね。

そういう設定だったはず…ですよね。^^;;;
# 質問に質問で返してどうする。
魔界の方で自由に飛べないのは「掟」では無い理由があるというつもり。
で、この話の冒頭の主旨は3つの世界の"自由"の意味がフィンにとっては
ちょっとずつ違うって辺りにあるのです。

# 差し当たり本筋には関係無いですが。(ぉぃ ^^;)
## でも今出すと多分前記した本筋の最終オチを縛る内容。(こらこら ^^;;;)
### だから気にしないでサラっと流して下さい。(爆)
#### 何か最近文章が矛盾だらけだ。^^;;;

>>  場面によって姿が可変なミストと言うのは、本スレッドでの独自設定な訳です
>> が、その真の姿を誰も知らなかったとは。
>>  してみると、真の姿を知っているのは魔王様だけなのかも。ひょっとして、ア
>> キコには真の姿が見えていたりするのかな?

どうやら、何も解説する必要は無い様です。^^b

>> #…と書いて、思い出せる人は佐々木さん以外居ないかも(汗)

# というより私はあの設定を忘れた事はありません。(ん? ^^;)
# ですので現在の妄想の裏設定にもあのテイストが少し入ってます。

>> ★神風・愛の劇場 第142話『手紙』

大会だけでなく練習風景の撮影にもちゃっかり復帰した三枝オヤヂ。
もうすっかり真性ストーカーです。^^;
# また、まろんちゃんの立場が悪くなる。

弥白様の方には前線復帰したアクセスが付いているのですね。
これである程度(笑)は安心という所でしょうか。
弥白様自身は人外の皆さんへの親和性が増してきている様で直接見える日も近い?
皆だんだん敏感になってきてますね。もう普通には戻れないのでしょう。^^;
# ここへ都ちゃんが押しかけたらどうなる事やら。^^;;;
## 今回の様子からすると大会までは会う事はなさそうですが。

そして稚空にクギを刺す佳奈子ちゃん。大暴れするタイプよりも
じわじわと締めてくるタイプの方が稚空には効くのでしょうね。
しかも握られているネタは半分ぐらい自業自得だし。(笑)

ノインのまろんちゃんを萎えさせる作戦ってのはエアメールですか。
はたしてどんな事が書いてあるやら。
時間的な制約からすると配達もノインがやったんでしょうね。
# ノイン、ご苦労さん。(笑)

# では次、行きます。

★神風・愛の劇場 第143話 『滲み』

●桃栗町郊外

夕食を済ませて食器を洗うツグミ。最後の皿を洗い流し籠に立て掛けると、
エプロンで濡れた手を拭います。そして捲り上げた袖を戻そうとした瞬間、
何か違和感を感じました。湿った肌に張り付いた産毛が乾くに従って徐々に
起き上がって行きます。ですが、起きた毛が何かに触れて途中で止まる様な
感触。濃い空気が肌の周りに満ちている、或いはとてもさらさらした液体に
触れた時と似ていました。途中で手を止めたツグミは暫くその感触に集中して
いましたが、違和感は徐々に薄れて行きます。気の所為…そう思って再び
袖を直しながらキッチンを離れようとした時に気付きました。
それは何か漠然とした物の存在感、人や物に触れなくとも近づいただけで
感じる空気を押し付けるような感覚と同じ物なのです。
それを何もないはずの部屋の真ん中で感じるとは。
今まで一度も感じたことの無い物という訳ではありませんでした。
ずっと以前にも何度か似た経験はありました。そんな時、よくイカロスも
普段見せない微妙に落ち着きの無い態度を示したものです。
今のツグミにはそんな風にしてこの感覚を共有する者は居ませんでした。
その事が何時に無くツグミを神経質にさせ、余計に敏感になっているのかも
知れません。自分でもその事を薄々判っているつもりでしたが、それでも
気の所為で済ませるにはあまりにも確かな何かを感じます。
似た様な感覚の中から何か上手く適合するものは無いかと考えていたツグミ。
強いて言うならば息を殺して誰かがそこに立っている、そんな感じかと思い
至ります。誰か居るという確信は無いものの、誰も居ないはずは無いという
漠然とした考えが浮かんできてしまい、それを消し去ることが出来ませんでした。
部屋の中を見回して耳をすませてみますが、勿論何も聞こえてはきません。
確かに独りのはずなのです。それでも……。
そっと玄関の扉を開いてもみましたが、わずかに聞こえるのは絶壁に打ち寄せる
波の音だけ。珍しく風が無く、木々のざわめきもありません。
しかし扉を開いた途端に幽かな存在感がより確かな物として感じられた気が
しました。当然、知っている人間の気配ではありません。そもそも気配なのか
どうかという点に関しても自信はありませんでしたが。

「あの…もし御用でしたら声を掛けていただかないと」

そう言いながらも少しづつ前に進んでみるツグミ。やがて気配からこの辺りで
あろうという所の傍まで行くと立ち止まり、そっと手を差し出してみます。

「私、見えないものですから」

返事は無く、そして差し出してゆっくりと動かしてみた手は宙を虚しく
泳ぐだけでした。初めは釈然としない気持ちでいたツグミですが、突然
ばかばかしくなってきました。

「…何やってるんだか…」

そう呟きながら室内へと戻るツグミ。ふと思い出して、念の為家中の戸締まりを
確認します。勿論、変わったことは何も無く開け放たれた窓も無ければ
引き忘れたカーテンもありません。普段と同じ冬の夜の室内でした。
その内に感じていた違和感もすっかり消えていき、安心したツグミは
リビングに戻ると何をするでもない時をのんびりと過ごすのでした。



もしかしたら顔ぐらいは出すのではないか。まろんの訪問を全く期待して
いなかった訳ではありませんでした。もっとも流石に午後9時を回ろうか
という時間になっては今夜の来訪はなさそうです。
別に電話してみても構わなかったのですが、きっと大会直前の猛練習で疲れ
既に寝てしまっているのではと思い付いて止めておきました。
そう結論づけてしまうとツグミ自身起きている理由も無く、入浴して
寝てしまう事にしました。脱いだ服をたたんで浴室に入ると先ず身体を軽く
洗い流し、それから湯船に身体を沈めます。バスタブの縁に片腕を掛けて
仰向けに身体を伸ばし、別の縁に頭を乗せました。その格好のままで
身体から力を抜くとわずかですが浮き上がる感じがします。
ツグミはそのままじっとしていました。自分の息遣いが辛うじて耳に届くだけで
音は何も聞こえません。どのくらいそうしていたのか自分でも判らなくなった頃、
なにやら生温いものが身体全体を覆うような感覚が拡がってきています。
それが何なのか確かめようとしても手応えがありません。
触れることが出来ないもの。そもそも触れようとしても身体が動かない事に
気付きました。そんな状態にあっても何故か心は平静なまま、ただ静かに耳を
すませている自分がいるのです。生温い何かは足下からゆっくりと滑る様に
身体を伝い、下半身を覆いつくして腿から腹へ、そして胸を通って今は首筋の
辺りでわだかまっています。やがてそれが耳を覆うと先程以上に色々な物音が
頭の奥へ伝わってきます。それはガサガサゴソゴソといった不明瞭な雑音で
あったり、遠くで数人が何事かを話し合っている声の様であったりしました。
話し声であると感じるのに、しかし話している内容はさっぱり聞き取れません。
聞こうとして意識を向けると余計にそれは人の声の体裁をなさなくなって
いく様でした。やがてツグミは諦めて意識を逸らします。すると今まで
聞こえていた雑音がすっと引いていき、代わってだた一つの音だけが耳に
届くようになったのです。それは何かの意志を感じさせる音でした。音であるのに
温度があり湿度があります。冷たく、湿っていて、暗い音。暫くしてツグミは
それが足音なのだと理解しました。濡れた、それでいて柔らかくは無い物の
上を裸足で踏む音。ひた…ひた…ひた…ひた…ひた。音は右の耳に届き、
遠ざかり、そして左の耳に届いて遠ざかり再び右へと繰り返します。
足音はツグミの周りを回っているのでした。ただ何もせずぐるぐると。
足音の主が自分を見ている感じはありました。それがどんな意図を
含んでいるのかまでは判りませんでしたが。そうしている内にツグミは
ある事に気付きました。バスタブは長い縁の一方を浴室の壁に接しています。
ですから浴室のタイルを踏んでツグミの周りを誰かが回れるはずは無いの
でした。それが人以外の者では無い限りは。その事に思い至った途端、
湯の中にあるはずの身体には一気に震えが走りました。人では無い者との
接触の経験が無い訳でもないツグミでしたが、今の無防備な格好でしかも
誰とも知れない者が傍に居る感覚。そこから沸き上がる感情、そして欲求は
一つだけしかありません。逃げ出したい。ですが身体は言うことを聞きません。
必死になって身体に力を入れますが、まるで四肢が切り放されているかの様に
動こうとはしませんでした。心の中では必死にもがき大暴れをしているつもり
ですが、実際はバスタブの中の湯に波を立てる事すら出来てはいません。
ツグミはとにかく腕一本でも動かそうとし、意識を集中させるために力を
一旦抜きました。と、突然身体が足下の方に向かって吸い込まれる様な感覚が
襲ってきました。寝ているはずなのに落ちていく感覚、そして息が出来ない…。
再び混乱の中でツグミの意識が出した指令は予想に反して手足に届いていました。
バタバタと動かした足が湯の上に飛びだして浴室の湿った空気を掻き混ぜます。
伸ばした手の一方が浴室の壁面に触れて冷たさが伝わり、もう片方の手が
バスタブの縁をしっかり掴んだ段階でツグミは身体を反らすと上体を一気に
持ち上げました。そして転がるように浴室の床に逃れると、四つん這いの
格好のままで気管に入った湯水を吐き出しました。激しく咳き込み、上下した
胸が引きつったような痛みを訴えた頃になって漸く気分が落ち着きました。
そのまま身体を起こしてタイルの上にぺたんと座り込むと耳をすませました。
何も聞こえません。足音も囁きも。やがてツグミは、はぁっと溜息をつき、
ひと呼吸置いてからクスクスと笑い始めました。それから身体がすっかり
冷えた事に気付いて、もう一度湯船に身体を沈めます。今度は身体を横たえず
バスタブの中で膝を抱えてじっとしているツグミ。湯は少しぬるくなって
いましたが沸かし直しはせず、少し長めにつかってから上がりました。
脱衣場に出たツグミは濡れた身体を拭くと髪にブラシを入れ始めます。
すべて手探りで済んでしまうツグミでしたが、それでも髪をとかす際には
鏡の前に立ちます。鏡に実際何が映っていても関係はありません。たとえ
そこに映っているのが自分一人では無かったとしても。

(第143話・完)

# 文章にすると構想の8割ぐらいしか表現出来ない。^^;;;
## 2月15日のツグミさん。

では、また。

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■■■■■■ 佐々木 英朗 ■■■■■■■
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