神風・愛の劇場スレッド 第141話『棲んでいる』(8/24付) 書いた人:佐々木英朗さん
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Subject: Re: Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18)
Date: 24 Aug 2001 17:06:35 +0900
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Lines: 328
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佐々木@横浜市在住です。

<9lq8qt$5u5$1@news01ci.so-net.ne.jp>の記事において
keitai@fa2.so-net.ne.jpさんは書きました。

>> 石崎です。

こんにちわ。

>>  このスレッドは、神風怪盗ジャンヌのアニメ版の設定を元にした妄想スレッド
>> です。そう言うのが好きな方だけに。

です。

>> >>> >>> >>> ★神風・愛の劇場 第134話『配慮』
>>  取り敢えず200話位までには終わせようとは思っています(笑)。

約6ヶ月程ですか。う〜ん。(笑)

>> >>> ★神風・愛の劇場 第138話『ついで』
>>  会うなと厳命されているからと言うのもありますが、全君自身、自分がツグミ
>> さんの家でしていた事に若干の罪悪感を感じていたということもあります。

全くんが内容を理解して行動しているとは意外。(笑)

>>  実はチョコ後渡しはわざとの積もりで書いてました。
>>  どうせ渡すなら、喜んで欲しいじゃないですか。
>>  最初に渡してから次に頼み事よりは、その逆の方が相手に印象に残して貰える
>> かと。

頭脳犯ですね>弥白様。^^;

>> >★神風・愛の劇場 第139話 『駆ける』
>>  最近顔の設定が出来た(謎)、桐嶋まなみちゃんのバレンタイン話ですか。

確かに設定されてました。^^v

>>  考えないでも無かったのですが、既に聖先生が学校でチョコをてんこ盛りで貰
>> っている描写があったので、何となく学校で渡していたのかと想像していました。

それこそ印象を薄くしたくないという乙女心に反してます。(笑)
# この際、"乙女"の定義には踏み込みません。(爆)

>> (笑)の二人ですが、まなみちゃんの様子からすると聖センセが本当に自分を愛
>> してくれているのかどうか、本当は不安で堪らない風に見えるのが可愛い。
>>  聖センセの方がどれだけ彼女を愛しているのかが謎なのですが。

多分全然愛してないのでは。(非道 ^^;)

>>  それからまなみちゃんが聖センセの家に辿り着いたのは、結界が弱まっていた
>> からでは無く、悪魔との肉体的接触(爆)により、まなみちゃんがより悪魔に近
>> い体質に変化していっているという事を現しているのでしょうか。

結界が実は弱まってはいないというのはその通りです。何故通れたのかは、
ある種のチカラをノインが甘く見ているから…とだけ明かしておきます。

>> ★神風・愛の劇場 第140話『贈り物』(前編)

フィンも女の子なんですね。いや、その事は意外では無いのですが、
チョコレートを用意しようとするという部分が意外だなと。
もっともツグミさんにチョコを貰ったので触発されたって事なのでしょうけれど。
しかしフィンの為とは言えども、まろんちゃんの特大チョコを分けてあげるとは
やっぱりツグミさんはドライです。(笑)
おまけにまろんちゃんの留守中にフィンと風呂に入ろうとする
ツグミさんでば…浮気者。^^;;;

フィンにとってもツグミさんの家は割と安らげる場所になっている様で、
何だかツグミさんの周囲は陰謀の渦中にありながら中立地帯の様相。^^;

誰にも見えないとは言っても、何となく公園の池で水浴びしているフィン
というのは萌えな絵面です。(爆)
# あれが単なる言い訳であっても妄想なので問題ナシ。

フィンとアクセスの密会は何だか戦場を挾んで逢い引きしている
カップルみたいです。(笑)
嫌いでは無いというフィンの言葉は本音なのでしょうけど、
ある意味ではアクセスを縛ってますね。
# 作戦だったら悪い娘過ぎ>フィン ^^;

フィンの要望とは言え、ミストの術が掛かった羽根が増産されています。
# どうなっても知らんぞ>フィン(謎)

そしてノインは使いっ走りとして魔界へ赴いた様で。
ミストからもプレゼントがあったとはこれまた意外ですが、その内容も
結構意味深です。キャンディの日は1ヶ月後なのに。(笑)
これは魔王様もミストも何となく性別がはっきりしない事の暗喩なのかな。(違)

>>  某所にてお聞きした、封印されている話と整合性が取れていると良いのですが。

アクセスの言おうとした神様の本心の部分とフィンが言おうとしなかった
魔王様の事…この2点のポイントが何を指しているか次第でしょうか。
# そもそもそのままでは整合しないからこその封印でもあるのですが。^^;
## レリーズする日は来るのか。

# では次です。

★神風・愛の劇場 第141話 『棲んでいる』

●桃栗町内某所

高みから見下ろす風景。考えてみれば如何に高く飛ぼうともここでは自由
なのです。人間界では誰もそれを妨げず、誰も咎めはしません。
そう言えば、とフィンは一度だけ飛んでみた魔界の空の事を思い出します。
ちょっとした好奇心と大きな後悔を残した出来事。まるでそんな思いに
引き寄せられる様に魔界の香りを運んでくる者がありました。
あまりのタイミングの良さにフィンは苦笑しながら彼を迎えます。

「ご苦労様。悪かったわね、個人的な用まで頼んでしまって」

珍しく笑顔で迎えられたノインは訝しげに片方の眉を動かしていましたが、
フィンの言葉に裏表は無いと感じると警戒を解きました。

「ついでですから。しかし」
「何?」
「ご自分で渡した方が良かったのではありませんか」

フィンは何も見えないはずの空の彼方を見詰めながら呟く様に応えます。

「役目を果たすまでは魔界へは帰らない」
「そうですか」

ノインは想像した通りの答を得たとみえ、ゆっくりと頷きます。
それから少々皮肉めいた笑みを浮かべながら言います。

「それにしても不思議な風習が世界の壁を越えて拡がっていますね」

やや苛立ちを滲ませたフィンの瞳が視界の端でノインを捉えます。

「好きなだけ笑いなさい。人間を棄てたあんたには判らない問題よ」
「私が人であった頃には無い風習でしたし」
「つまらないわね」
「そのくせ今はうんざりする程その風習にさらされていますが」
「何?自慢したい訳?」

顔を向けたフィンの口の端にはノインのそれと同じ様な笑み。
少々バツが悪くなったのか言い訳がましくノインが続けます。

「私が言いたいのは少々子供っぽい風俗ではという事ですよ」
「ノイン」
「は?」

フィンは呆れたと言ったぐあいに両手を開いてから言いました。

「あんたの人間観察も対した事は無いわね」
「と言いますと」
「あの風習の中心はそこそこ上の世代が熱心でしょうに。ま、それを
 真似ている私なんかが子供っぽいって言うのなら否定はしないけどね」
「そうですか。いや、寧ろ本当の歳は兎も角としてミストくらいの
 子供達の行事かと思っていたのですが」
「そうよ。だからミストくらいの見かけの世代が一番大騒ぎしているでしょう?」

黙って互いの顔色を伺う二人。暫く無言で見詰め合った後、先に唸る様に
声を発したのはノインの方でした。

「どうも、話が噛み合いませんね」
「その様ね」
「私は人間界に私と共に来たあの"ミスト"を引き合いに出したつもりなのですが」
「私もあんたと一緒に来ている"ミスト"の事を言っているのだけど」

再び短い沈黙。やがて全て理解したとでも言う様に大きく頷くノイン。
そしてフィンに問いました。

「クィーン、ミストの姿を言葉で描写してみて下さいませんか」
「何ですって?」
「私にミストの特徴を教えてください」

今一つノインの真意は判らない様子ながらフィンは言われた通りに応えます。

「見た目の話ね?」
「そうです」
「歳は…そうね、10代後半って所かしら。背は私より少し高いくらい。
 腰骨くらいまでの長さの白銀の髪の毛。瞳は金色。死人みたいな青白い肌。
 まぁまぁのスリーサイズってとこかしら」

最後の部分には"不愉快な事に"と内心で付け加えるフィン。

「念の為お聞きしますが、服装はどの様な」
「会う度に違う気がするけど。暗い色の丈の長いドレスが多いかしら」

ノインは再度深々と頷くと小さくでしたが声を出して笑いました。

「何が可笑しいのよ」
「クィーンよ、貴女はミストにからかわれているのです」
「何ですって?」
「それはミストの得意技です。全く違う姿に見せかけるという」
「冗談じゃ無いわ。最初に会った時からミストは同じ姿よ。まぁ本当に最初に
 見た時は東大寺都の姿と重なって見えたけど、それ以後はずっと同じ」
「ですからそれは延々と同じ術中に嵌まっているのです」
「そういうノインにはどんな姿に見えているのよ」

ノインは自信満々でミストの姿を語って聞かせました。それは誰が聞いても
小学生くらいの少女の特徴の事を言っている様にしか聞こえない内容でした。

「瞳の色以外は見事に違うわね」
「当然です。そして私が見ているのがミストの正体」
「どうしてそうだと判るの?」
「私は魔界でミストに会っていますから」
「それが何の証になるのよ。魔界でミストが術を使わないって保証でもあるの?
 あんただってずっと引っかかっているんじゃ無いの?ミストの術とやらに?」

言葉につまるノイン。言われてみれば先に会っている事など何の証にも
ならない事に今更の様に気付きます。フィンとしてはしてやったり…のはず
でしたが、フィン自身が術中にあるかもしれないという可能性の否定には
なっていません。互いに釈然としないものが心の中に渦巻いていました。
やがてノインが言います。

「それではこうしましょう」
「何よ」
「もう一人に話を聞いて白黒をはっきりさせるのです」
「まさか聞く相手はミスト本人じゃ無いでしょうね」
「それが一番簡単なのですが、残念ながらミストに問い質しても大笑いされた
 挙げ句に結局は何も教えてはくれないでしょうから」
「でしょうね」
「取りあえず我家までご足労願えますか」

フィンは首を傾げながらもノインの申し出を承諾するのでした。

●桃栗町の外れ

ノインの屋敷を訪れたフィン。早速の様にシルクがお茶と茶菓子を出して
来ました。紅茶にお煎餅という組合せでしたが。紅茶を一口飲むフィン。

「あら、美味しいわ。ちょっとは上手くいれられる様になったのね」
「有難うございまぁす」

テーブルを挾んで向かい側ではノインが同じように茶をすすっていました。
静かな時間が流れる中、暫くしてフィンがテーブルを叩いて言います。

「和みに来てる訳じゃ無いのよ!」
「ああ、そうでした」

悪びれた風も無く言うとノインはシルクを手招きして尋ねます。

「ミストの事は知っていますね」
「はぁい。何度かお目にかかってまぁす」
「ミストはどんな姿をしているか話しなさい」
「…はぁ?」
「つまり…背丈とか髪の毛の色とか服装とかそういう事です」

何故そんな事を聞かれるのかという顔をしていたシルクですが、やがて
ぽつぽつと思い出しながら話し始めました。

「ええっと、僕よりも少し背が高くて」

と言ってシルクは片方の手のひらを自分の頭上に掲げます。

「僕よりも短い髪の毛は真っ赤でぇ」

この段階でフィンはすでに諦めて残りの紅茶に口を付けています。

「金色の瞳でぇ、おへそが見える服を着てまぁす。それと」

そこまででノインは手のひらをシルクの顔の前に突き出して制すると一言。

「もういいですよ」
「はぁい」

それからノインはフィンの方を向いて言いました。

「お笑いにならないので?」
「全然面白く無いわ」
「御意」

また黙り込んでしまうノインとフィン。ふとノインは何かに気付いた様に
顔を上げて言います。

「そう言えばミストの術は見る者の深層意識から姿を汲み上げるのだと
 聞いたことがあります」
「どういう意味?」
「つまりミストの姿が偽物であれば、逆にその姿には心当たりがあるはず」

少しだけ考えてからフィンが答えます。

「私にはあんな姿形の女に心当たりは無いわよ」

ノインも即答します。

「私にもあの様な子供に心当たりはありません」

フィンとノインは同時にシルクの方を向いて言いました。

「ミストは誰かに似ていますか?」
「どうなの?」
「ええっと、・・・様に似てまぁす」
「何だって?誰様?」

ノインがふぅと溜息をついてシルクの代わりに答えます。

「名前はシルクの発音が正確過ぎて普通の音にならないのです」
「そう、魔界の住人なのね。何者?」
「魔界での私の館の隣りに住んでいる竜族の娘の事です。まだ出来立て…
 生まれて間もない頃のシルクの子守をしてくれていましたので」
「何よ。初恋の相手?」
「取りあえずシルクの深層意識には住み着いて居るでしょうね」
「子供は単純で良いわね」
「全く」

讃めているのか怒られているのかも判らず、ただ二人の視線にさらされて
シルクはもじもじと立ち尽くしているのでした。

●オルレアン

アキコは何をするでも無くソファに座っていました。まっすぐに伸びた
姿勢はまるで人形の様です。しかし何かに気付いたのか俯き気味の顔を
上げて脇を振り返ります。そして首を反らせる様にしながら視線を
ぐっと持ち上げました。その先の顔をまじまじと見る為に。

「少し出かけてくる」

返事を期待している訳ではありませんが、ミストはひと呼吸おいてから
続けます。

「散歩に出ても構わんが、行く先は良く考えてな」

それだけ言うとミストは足音も立てずにアキコの前を横切って行き、
窓に辿り着く前に空気に溶け込む様に姿を消してしまうのでした。

(第141話・完)

# 2月15日(夜?)の人外の皆さんでした。
## そろそろこのネタを挾んでおかないと。(笑)

では、また。

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■■■■■■ 佐々木 英朗 ■■■■■■■
■■■■ hidero@po.iijnet.or.jp ■■■■
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