神風・愛の劇場スレッド 第132話『主従と友情と』(7/8付) 書いた人:携帯@さん
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From: Keita Ishizaki <keitai@fa2.so-net.ne.jp>
Newsgroups: japan.anime.pretty,fj.rec.animation
Subject: Re: Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18)
Date: Sun, 08 Jul 2001 21:18:02 +0900
Organization: So-net
Lines: 433
Message-ID: <9i9j1t$qsc$1@news01dg.so-net.ne.jp>
References: <9gupha$s9d@infonex.infonex.co.jp>
<9h7fs5$3f7$1@news01db.so-net.ne.jp>
<9hhf8m$ltl@infonex.infonex.co.jp>
<9hna1u$s17$1@bgsv5905.tk.mesh.ad.jp>
<9i3qmd$clk@infonex.infonex.co.jp>

石崎です。

hidero@po.iijnet.or.jpさんの<9i3qmd$clk@infonex.infonex.co.jp>から
>佐々木@横浜市在住です。

 こんにちわ。
 このスレッドは、神風怪盗ジャンヌのアニメ版の設定をもとにした妄想スレッ
ドです。そう言うのが好きな人だけに。



>>> >>> >★神風・愛の劇場 第127話 『雨のあと』
>
># でも、その話し合いをリビングでやったとは限らない …(爆)

 例えリビングで話し合ったからといって、健全だとは限らない…(誘爆)。

#あくまで低い考えしか出来ないらしい(笑)。

>>> >>> ★神風・愛の劇場 第128話『処分』
>
>はぐらかされた様な気がしますが、気の所為でしょうか。(笑)

 一応元々の予定でしたので。

>>> >★神風・愛の劇場 第129話 『誰の為に』

># 暗に妄想を誘っている様にも見えますが。(笑)

 N県辺りに…(違)。

>>> ★神風・愛の劇場 第130話『帰還』
>
># 逆に言うと直接描写しないので解釈の余地がゴッソリ残ってますけれど。

 解釈の余地を残す事を目的とした構成ですので狙い通り(笑)。

>何となく謁見の間には寝床があった様な気がして仕方有りませんが。(爆)
># きっとコレも気の所為なんでしょう。^^;;;

 謁見の間=生活の場なのでは無いかという気が時々(笑)。

># もっと気になるのはキャラを使い切れるのかという問題。(笑)

 実はまさにキャラの有効活用の為の展開です。

#殆どネタバレしている気がしますが。

>ところで「三日」というのは神様と一緒に居た時間…ですよね。
>それでフラフラって事はやっぱり…あんな事や…こんな事まで…(爆)

 掃除とか洗濯とか料理とか、色々とこき使われていたのでしょう。
 きっと小姑並にうるさいに違い有りません。

># しかもリル様は1ヶ月!凄い体力。
>## どうも思考が低い方から離れないらしい。^^;

#一応とある小説の制度が元ネタ(…という程でも無いですが)になっています。

>そしてアクセスの帰還を感じたフィン。
>これで元気100倍で悪事に励める事でしょう。(笑)

 リクリエーションタイム(笑)。


>★神風・愛の劇場 第131話 『よしみ』

 何となく、ツグミさんの夢に出て来た昔会った人の正体が判った気がします。
 一見何の関係も無いキャラクターに、実は昔関係があって…というある意味お
約束なパターンを(多分)殆ど確信犯的に行っている本シリーズですが、これも
その一例という事なのでしょうか。
 もしも彼女の正体が私の想定通りであれば、確かに世界中を飛び回っていそう
で、しかも犬の事が好きそうですが、すると彼女はこの出会いの後に犬を飼って
いたのかな?

 時々、ツグミさんが視覚障害者である事を忘れそうになるのですが(ツグミさ
んのシーンで勢い余って「見る」と書いてしまいそうになった事が何度か(滝
汗))、ここは、彼女のハンデを上手く利用していると思います。

#…と自信たっぷりに書いておいて外したらゴメンなさい。

 公園の様子が微妙に違っていると言うのは、ひょっとしてツグミさん二号と…
という現実に起こった事象を夢に見たという事なのでしょうか。
 そう言えば以前も話題になった視覚障害者の見る夢ってどんなものなのだろう。
 最近何度かツグミさんが夢を見るシーンがあったのに、深く気にしていなかっ
たですが、やはり視覚以外の感覚で感じるものなのでしょうか。

#それにしてもまろんちゃん、夢の中で激しいよりも現実で激しい方が良いので
#は。
#それとも、現実で激しい後なので、もうお疲れという事かな(大違)。

#やはり低い考えしか出来ないようだ。

># そろ〜りと次の展開に向けて始動。
>## 2月12日やっと終り(笑)

 そろそろ…の展開かな?

 では、本編です。


★神風・愛の劇場 第132話『主従と友情と』

●枇杷町

「(来ちゃった…)」

 来週土曜に大会を控え、土曜日にも関わらず今日は練習日でした。
 練習は午前中で終わったのでまろんをお茶に誘ったのですが、用があると振ら
れてしまいました。
 一度家に戻るまろんと一緒に素直に帰宅しても良かったのですが、買い物に行
くとまろんに嘘をついて、桃栗町中心部へと向かいました。
 その途中で忘れ物に気付いた都は、舌打ちすると一度オルレアンへと戻ります。
 戻る途中で、雨にも関わらずどこかへ向かって慌ただしく駆けて行くまろんを
目撃しました。
 その様子も気になりましたが、今は別件の方が重要でした。

 家に戻ったついでに私服に着替えた都は、今度こそ街の中心部にある私鉄の駅
へと向かいました。

 そのまま私鉄の各駅停車に乗り込み、隣町の枇杷駅で下車。
 いつもならば電車で通り過ぎるだけの駅ですが、今日の都はここに用があるの
でした。

 昨日の晩、都宛にツグミの名を騙り送られて来た一通のメール。
 真偽を確かめなければなりませんでした。
 そうと決めたら行動は一つ。
 都はいつでもそうして来たのです。
 もっともその行動原理には若干の例外もあるのでしたが。



 彼女の家には「仕事」で一度行った事がありました。
 だから直接乗り込んでも良かったのですが、まずは彼女の通う高校へ向かうバ
スに乗り込みました。
 彼女も都と同じ部活なのです。大会の為に練習している筈でした。

「休み?」

 彼女の通う枇杷高校。
 都の予想通り新体操部は大会に向けて練習を行っているようでしたが、肝心の
彼女の姿はありませんでした。
 丁度そこに、前の大会で知り合った一年生の部員の姿が見えたので声をかける
と、彼女も都の事を覚えていた様子で、彼女──山茶花弥白──が部活を休んで
いる事を教えてくれました。

「山茶花さん、最近休みが多いんですよ。それに最近、何だかやつれているみた
いで…」

 そうも、教えてくれました。
 それを聞いて、稚空から聞いた弥白が精神的に落ち込んでいる話を思い出しま
した。

「(弥白に何があったんだろう…)」

 ふと、昨日のメールの件と何か関係があるのではと思いました。
 メールを見た瞬間は決めつけてしまいましたが、良く考えてみれば、昨日見た
あれを公開する事は、弥白をも傷つける筈でした。
 もし、何者かが弥白を陥れようとあのような真似をしたのだとしたら。

「(兎に角、確かめるのが先よ。うん)」

 都の脳裏に一瞬弥白への同情心が浮かびましたが、それまでに受けた仕打ちに
対する憎悪がそれを上回りました。

 あれに載っていた写真自体は弥白が撮影したもの。
 写真の一枚は撮影現場を都自身が見ているのだから間違いはありませんでした。
 それをネタに都達を脅迫したのだから、それだけでも許し難い事でした。

 それに、以前の大会の時に事故で怪我をして出られなくなったのは弥白の差し
金だと今でも信じています。
 弥白を信じ、彼女の事を庇った稚空の手前、その事は二度と口にする事はあり
ませんでしたが。



「それにしてもでかいお屋敷よね」

 枇杷町を見下ろす丘の斜面にある広大な山茶花本邸の門前で、都はため息をつ
きました。
 そんな屋敷の呼び鈴を押すのには、流石の都も一瞬の躊躇がありましたが、や
がて意を決しました。

「弥白お嬢様はお出かけになられました」

 大会を前にして部活を休む位だから、当然屋敷で静養している筈。
 そう思った都でしたが、その想像は執事によって否定されました。
 ならば明日又出直そうと思った都でしたが、すぐに戻って来る筈との執事の言
葉を信じて応接間で弥白の帰りを待つ事にしました。



「お紅茶、お代わりをお持ちしましょうか?」

 執事の言葉とは裏腹に、弥白はなかなか戻っては来ませんでした。
 山茶花邸の豪奢な応接間で、都は落ち着かない時を過ごしていました。
 応接間の時計が時報を打ち、都がここに来てから1時間近くが経過した事を告
げる頃、最初に紅茶を持って来たメイドが再びやって来て、お茶のお代わりを薦
めました。
 映画かドラマでしか見ないような古典的な制服を着たそのメイドは、見た目に
うら若く、都と同じ位の歳に見えました。

「有り難う。お茶はもう良いわ。それより、頼みがあるんだけど」
「何でしょうか」
「弥白が帰って来るまで暇だから、話し相手になってくれないかしら」



「バイト?」

 一旦応接間を出たメイドは許可を貰うと再び応接間に戻って来て話し相手にな
ってくれました。
 彼女は都が感じた通り、未だ高校生。
 メイドの仕事はバイトでやっているとの事でした。

「メイドのバイトなんてあるんだ」

「メイドさんを派遣する会社にはいるかもしれません」
「それじゃあ貴方も派遣されたの?」
「山茶花家では身元のはっきりしていない人は雇いませんから、派遣会社には頼
んでいないらしいです。正確には、山茶花家に代々使えている使用人と、足りな
い部分は山茶花グループの人材派遣会社の人材から選りすぐった契約社員を直接
雇用しているとか」
「それじゃあ貴方も選ばれたんだ」
「いいえ。私は本当に只のアルバイト。もっとも、みっちり後で教育されました
けど。でもプロの皆さんに比べると失敗ばかりで…。あ、私以外にも何人かいま
すよ。バイトの娘」
「他にもいるんだ」
「はい。みんな私と同じ位の歳なんですよ」
「見たところ、このお屋敷には他にも使用人が沢山いるようだけど」
「はい。百人以上はいるかと思います」
「それじゃあ…」

 続きの言葉を都は飲み込みました。
 山茶花グループの人材派遣会社ともなれば、それこそ人材には不自由はしない
筈で、バイトなど雇う必要なんか無い筈。
 ひょっとして、何か訳有りなのかも。
 そう思った都でしたが、これ以上彼女やこの屋敷の事情を根ほり葉ほり尋ねる
事が不謹慎に思えました。

「…私達バイト組は、特別なんです」
「特別?」

 都が聞きたかった事を察したのか、メイドは自分から話し始めました。

「私…いえ、私達はこの家に大恩があるのです」
「…」
「事情は人それぞれなのですが、私の場合は山茶花グループのある会社で働いて
いた父を仕事中の事故で亡くし、天涯孤独の身となった私をこのお屋敷で雇って
下さったのです」
「あ…ゴメン。辛い事思い出させちゃったかな」
「良いんです。ここでの生活は楽しいですし、十分すぎる程のお給金を頂いてい
ますから」
「そうなんだ」
「それともう一つ」
「何?」
「私達、弥白様のお相手をするために雇われているのだと思います」
「弥白の?」
「はい。このお屋敷に来た時に、ご主人様にそんな風な事を言われましたので」
「弥白のお父さんに?」
「正確には、お母様ですが」
「ああ、成る程ね。聞いた事ある」

 山茶花家は女系一族だとテレビか何かで聞いた事がありました。
 今の当主も婿養子なのだとか。

「弥白様のご両親は、弥白様が幼い頃から仕事で家を空ける事が多かったそうで
す。だから今も、弥白様がお屋敷で寂しい思いをしないように色々と気を使われ
ているのだと思います」
「そうなんだ」

 何故か、まろんの事を脳裏に浮かべてしまいました。

「お客様は、弥白様のお友達なのですよね?」
「友達って言うかその…ライバルみたいなものね」

 どう答えるか一瞬悩んだ後で、そう答えました。

「弥白様のお友達がこのお屋敷まで訪ねて来るのは珍しい事なんですよ」
「そうなの?」
「このお屋敷はこの大きさなものですから、お友達が遠慮して来ないのかもしれ
ません」
「そんなものかしら」
「婚約者の名古屋様は良く来て下さるのですが」

 「元」と訂正してやりたかったのですが、話の腰を折りそうなので止めにしま
した。

「要するに、貴方達は弥白のお友達役って訳なのかしら?」
「良く判りません」
「判らないって?」
「私達はこのお屋敷で雇われている者。だから、弥白様とどう接して良いのか私
達、良く判らなくて。それに…」
「それに?」
「最近、弥白様は余り使用人を側に近づけません」
「どうして?」
「それは…」

 言い淀んだその様子から、その理由が何となく想像出来ました。
 きっと、稚空と一緒にいる所を邪魔されたく無かったのでしょう。

「ま、弥白にも色々事情があるのよ。そうでしょ?」
「はい」



「…ねえ貴方、弥白の事、嫌い?」

 暫くの沈黙の後。
 余計な事だと思いつつ、都はこう切り出しました。
 お節介をしてみたのはつい先程、弥白の境遇について聞かされた所為かもしれ
ません。

「そんな事ありません」
「なら好き?」
「…弥白様は素敵なお方です」

 気の所為か、メイドの頬が染まったように見えました。
 先程までの様子からそう感じてはいたのですが、その表情の変化を見て、この
娘も本当は弥白と友達になりたいんだと感じました。
 ならば言うべき事は一つ。

「友達になりたいと思う?」
「……それが出来るのであれば」
「なら、話は簡単じゃない」
「簡単…ですか」
「なれば良いじゃない。友達にさ」
「ですが…」
「弥白が主人で貴方が使用人だから? そりゃあ仕事ではそうかも知れないけど
…」

 弥白の為になんでこんな事を。
 そんな思いが一瞬頭を過ぎりましたが、すぐに頭の片隅に追いやりました。

「だからってお友達になれないって訳じゃないと思うんだけど」
「そんなものでしょうか」
「まずは、友達になろうと努力してみなよ。全てはそれから」

 らしくない事を言っているのは判っていました。
 自分自身が友達作りが下手なのですから。
 それでも、努力をしなかった訳ではありません。
 そうで無ければ、今の都の周りにいる人は存在しなかったでしょうから。

「…そうですね。お客様の言う通りかもしれません」
「そうしなよ。普通友達になろうって言われて、嬉しくない人はいないよ」

 まろんと友達になった日の事を都は思い出していました。



 それから暫く、この屋敷の事、弥白本人の事について色々と聞きました。
 その殆どは今まで知らなかった話で、弥白本人に対する都の今まで抱いてきた
印象とはまるで異なるものでした。
 逆にメイドの方も、新体操の大会などで出会った弥白の印象を話すと、意外そ
うな顔を見せていましたから、場所によって見せる顔を変えているのでしょう。

 気がつくと、日が落ちかける時刻。
 それでも未だ弥白は帰って来る様子がありませんでした。
 その頃になって漸く、恐縮した表情の執事が弥白に携帯電話で連絡を取ろうと
したが通じないと知らせてきましたので、都は今日弥白に会うのは諦める事にし
て、その事をメイドの少女に告げました。

「申し訳ありません。折角お待ち頂いたのに」
「貴方が悪いんじゃないわ。それに、色々お話出来て楽しかった」
「その事なのですが、出来れば…」

 と、執事の方を見ながら小声で、メイドの少女は言いました。

「判ってる。人に話さなければ良いのよね?」

 都も小声で返すと、黙ってメイドは肯きました。

「じゃあ、頑張りなよ」
「有り難うございます。ええと…」
「東大寺都。都で良いよ」
「では改めて。有り難うございます。都さん」

 そのメイドの名前を聞いていなかった事に都が気付いたのは、山茶花邸を出て、
駅に向かうバスの途中でした。



 駅についた頃には既に日はとっぷりと暮れた時刻。
 バスは駅から少し離れた場所にあるバス停に到着しました。
 バスを降りて、駅へと向かう途中で、一人の少女の姿が目に留まりました。

 小柄で眼鏡をかけた彼女は、小型のビデオカメラで何やら撮影していました。
 それも、立て看板の影に隠れるように。

 こんな所でこそこそと、何を撮影しているのだろう。
 都で無くとも、同じ事を考えたに違いありません。
 それで、彼女がカメラを向けている先の方に顔を向けました。

 最初は、何を撮影しているのか判りませんでした。
 近くには特に目に付く物は存在しなかったからです。
 しかし、視線を遠くに移すと、彼女が何を映そうとしているのか判りました。
 ひょっとしたら、彼女が撮影しているのは別のものだったのかもしれません。
 しかし、都が目にしたものは、彼女が撮影しているのがそれだと決めつけてし
まう程に重大なものでした。

 目にした光景に、一瞬固まっていた都。
 我に返り、弥白が少女の方を見ると既に彼女の姿は消えており、彼女の姿を追
い求める内に、撮影されていた方の二人もどこかへと消えてしまっていたのでし
た。

 仕方無く、駅へと向かって都は歩き出しました。
 駅から桃栗町の方へ向けて普通電車が走り出しました。

 彼はあの女の所へ行ったのだろうか。それとも、家に戻ったのだろうか。
 家に戻るにしてもきっと、あの電車に乗って行ってしまったのだろうと思い、
少しほっとしました。
 もしも今出会ってしまったら、どんな顔をして良いか判らないから。

 意外にも、彼に対しては怒りは沸きませんでした。
 しかし、彼女に対しては違いました。
 如何にそれまで、彼女の今の事情について聞かされていたとしても、それは都
に取っては受け容れがたい出来事なのでした。

「絶対に許さない。弥白…」

(第132話 完)


 2月12日(土)の夕方までの都ちゃんでした。
 …と言う訳で、ご要望に応じて(?)山茶花家のメイドさんです(笑)。

#「花右京メイド隊」を見ながら書いていた所為かもしれない(爆)。

#昨晩から、「最も長い一日」となっているような(笑)。

 では、また。

--
Keita Ishizaki mailto:keitai@fa2.so-net.ne.jp
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