神風・愛の劇場スレッド 第121話『目覚め』(5/12付) 書いた人:携帯@さん
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From: Keita Ishizaki <keitai@fa2.so-net.ne.jp>
Newsgroups: japan.anime.pretty,fj.rec.animation
Subject: Re: Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18)
Date: Sun, 13 May 2001 17:00:02 +0900
Organization: BIGLOBE dial-up user
Lines: 359
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石崎です。

hidero@po.iijnet.or.jpさんの<9cs6tr$nse@infonex.infonex.co.jp>から
>佐々木@横浜市在住です。

 こんにちわ。

 このスレッドは、神風怪盗ジャンヌのアニメ版に触発されて延々と続いている妄想
小説のスレッドですので、お好きな方のみ以下をどうぞ。



#本スレッドは、過去記事のアーカイブ及び設定資料があります。
#本スレッドの記事のアーカイブに関しては、
#hidero@po.iijnet.or.jpさんの<8cs0mq$enl@infonex.infonex.co.jp>参照。


>>> >>> ★神風・愛の劇場 第117話『告白(前編)』
>
># 野郎でも美形はおっけーなのかなぁ。(爆)

 病院の医師を美形で固めている海生ならば多分(笑)。

>>> >●次々回予告編
>
>ぎゃぁ〜っ。(謎の叫び・あげいん)
># 夜の部にサクサク突入してもらっても良かったのですが。^^;;;;;

 どこで地雷を踏んだのかと思いましたが、某所で予定を聞いて納得。

#次回予告で話している人物を見誤っていたらしい。

>>> ★神風・愛の劇場 第119話『求愛』
>
># 何となくお仕置きが楽しみでわざと独断専行している様な気も。*^^*

 実はあのシーンは「教育的指導」の後のシーンなので、それとはまた別の理由によ
るものです。
 
#先輩の着ている服もそれなりの服装だったりして(笑)

>まろんちゃんと稚空の再接近を手っ取り早く邪魔する方法は…。

 たくさんネタがありすぎて、どれを選ぶか迷います(笑)。

>どうもミストは急速に消耗している印象ですが、大丈夫なのかな。
># 退場の話まではもってもらわないと。(ぉぃ)

 大丈夫です。退場までに死ぬ事はありません。

># ところで妄想独自キャラの名前は、ことごとく私のかな漢辞書には
># 入っていない綴りなのですが、何故なんでしょうか。(笑)

 読みを決めてから、阿波徳島産FEPの候補一覧から適当に決めているだけなので
すが(笑)。

>ふむふむ。ツグミさんお料理教室の今日のお題は天麩羅と。
>流石に揚げ物は(多めに必要になる油が特に)危険だろうと思ったので、
>避けていたメニューなのですが、まぁツグミさんなら何とか出来ますか。^^;

 ツグミさんの食事シーン(第21話)を書く際に普通に食べられるか調べたのです
が、天ぷらを揚げることも出来ると書いてあったのを読み、いつかはやろうかと。

>意外だった事はツグミさんが割と率直な言い方で自分の両親の事を話した事と、
>全くんの両親の事を根掘り葉掘り聞いている事。そんなに気になっていたとは。

 まろんちゃんと関わっていく中で、ツグミさんの自分の両親に対する見方が変わっ
て行ったという事だと思います。
 全君については、最初に泊まった時に少し聞いていますから、ずっと気になってい
たのでしょう。

>そして、どうやら今宵は御泊まりという事の様で。
># まぁ、この二人なら何も起こらないでしょうけど。(爆)

 このフォロー文に触発されて、今回の話が出来てしまいました(笑)。


>★神風・愛の劇場 第120話 『正餐』

 久々の妄想編らしい話でした(笑)。

 すっかり忘れ去られていたフィンの連れて来た悪魔達は、気配がしないと思ってい
たら地下深くに結界を張って隠れていましたか。
 これで残り全部なのか、まだ別働隊がいるのかは判りませんが。

 暫く絶食中だったミストの食事ですか。『正餐』というタイトルですが、ミストに
取ってはオードブル程度の分量だったようで。

#あの程度で満足して貰っては困りますが(笑)。
#すると、魔界で食事をして満腹しようとすると大虐殺の必要が…(笑)。

 正統悪魔族にしろ堕天使にしろ、魔界では異端な存在であるようで。
 これまで語ってきた設定にばっちり合っています。

 力で押さえつけているものの、決して好かれている所か隙あらば倒してしまおうと
雑魚悪魔達は考えているようで。
 望んで堕天使になったフィンは兎も角、元々魔界の住人であるミストは、実のとこ
ろかなり辛いのでは無いかなと感じさせる話でした。アキコに対して愛情を注ぐの
は、自分の事を素直に頼り愛して(?)くれるからなのかな。

 ミストをみんなで襲おうとする悪魔達の卑猥な会話や、悪魔達を誘うミストの描写
は、相変わらず妄想を掻き立てる出来です(笑)。

 今回のミストはいつもより少し大きな少女バージョンなのでしょうか。
 それと、ずいぶんと涼しげな格好であるらしいのも妄想を誘います(笑)。

 では、本編へと続きます。

#番外編っぽい話(笑)


★神風・愛の劇場 第121話『目覚め』

●桃栗町郊外 ツグミの家

 全を家に泊める事にしたツグミ。
 日が暮れてからも全と話をしていました。
 その一方で、電話が鳴らないか耳を澄ませていましたが、電話が鳴ることはありま
せんでした。
 夜も更けた頃、予め用意してあったお風呂を全に勧めました。

「僕、後からで良いでぃす。ツグミお姉さんこそお先に」
「お客様に残り湯なんて使わせられないわ」
「お姉さんに残り湯を使わせる方が失礼でぃす」

 何故か強硬に、ツグミに先に入るように言うのでした。
 以前泊めた時には、特に遠慮はしていなかったのに。
 ひょっとして、後でお父様に何か言われたのかしら。

 そこまで考えてふと、その時に背中を流しに後から入った時の事を思い出しました。
 まさか、あの時みたいになる事を恐れている?
 成る程ね。恥ずかしがる年頃なんだ。
 そう感じたツグミは、少し意地悪をしてみました。

「だったら一緒に入ろうか? 家のお風呂は大きいし、二人で入れるよ」
「えっ!?」

 全が動揺するのが判り、笑いそうになるのを必死で堪えました。
 しかし、続く全の反応は予想とは異なっていました。

「そうでぃすね。じゃあ、僕がお姉さんの背中を流してあげます」
「え!?」

 今度は、ツグミの方が動揺する番でした。

「僕、お父さんの背中を良く流してあげているんでぃすよ」
「そ、そうなの」
「ツグミお姉さんの背中も流してあげたいでぃす」

 馬鹿ね。冗談よ。
 その言葉が、口をついて出かけ、そして消えました。
 それを言うと、全を傷つける気がしたからです。
 まだ子供の全君をからかおうとした罰ね。

「判ったわ。一緒に入りましょ」



 着替えを用意するからと、全を先に脱衣所に入らせ、寝室へ向かいました。
 寝室に入り、自分の寝間着と下着、そして全のためにTシャツを用意します。
 着替えを手にし、戻ろうとした時に、羽の音が聞こえました。
 この辺りに棲息するどんな鳥とも違う羽音。
 海を見下ろすバルコニーに出ると、果たしてそこに彼女は居ました。

「こんばんわ。フィン」
「こんばんわ。こんな夜更けにごめんなさい」

 声の方向から、フィンはバルコニーの手すりの上に立っているのだと知れました。

「気にすること無いわよ。立ち話も何だから、中に入ってお茶でも…」
「結構よ。ちょっと寄っただけだから」
「そうなの」
「これからお風呂?」
「ええ」
「誰か来てるの?」
「判るの?」
「そのTシャツよ」
「知り合いの男の子よ。全君って言うの」
「知ってる。まろんとも知り合いみたいだから」
「気になる?」
「少しね」
「まだ子供よ」
「確かに…ね。でも忠告しておくわ。彼には、気をつけなさい」
「どういう事?」
「それは言えない。だけど、決して心を許しては駄目よ」
「どうして?」
「どうしても。今日はツグミにそれだけ言いに来たの」

 そう言うと、その言葉を裏付けるようにフィンは飛び去って行くのでした。

「(気をつけろって言われても…。全君がまさか、ねぇ?)」

 フィンの言う事とはいえ、流石にツグミも本気には出来ないのでした。



 着替えを持って脱衣所に戻ると、予想通り全は浴室に入った後でした。
 以前はTシャツとショートパンツでしたが、今回は一緒に入ると言った以上、服を
脱がなくてはいけません。
 少し考えて、浴室の曇り硝子からは見えないであろう場所で服を脱ぎ、しっかりと
バスタオルを巻き付け、浴室に入りました。

「お待たせ」
「待ちくたびれたでぃす」
「ごめんなさい」

 浴槽に蓋がしたままで、シャワーを使った様子もありません。
 全は、自分をじっと待っていたのだとツグミは感じました。

「じゃあ、背中を流してあげるわね」

 以前はここで恥ずかしがる全とのシャワーの争奪戦があったのですが、今日は素直
に全はツグミにされるがままになっていました。
 もちろん、以前全がツグミに触らせなかった場所は、自分で洗いました。
 全をすっかり綺麗にして、ボディソープを洗い流したところで全は言いました。

「じゃあ、今度は僕がお姉さんの背中、流してあげます」
「わ、私は良いわよ」
「僕だけ流して貰う訳にはいかないでぃすから」

 全はツグミの手を取って、意外な程強い力でツグミを椅子に座らせました。

「バスタオルをしていたら、背中流せないでぃす」

 そう言うので仕方無く、バスタオルを外しました。
 もちろん前はバスタオルを押さえて隠しています。

 背中を流して貰っている間、ツグミも全も、一言も発しませんでした。
 浴室の中に、全がスポンジでツグミの背中を擦る音だけが響きます。
 以前の反応からすると意外でしたが、全の呼吸は平静を保っていました。

 こうして全に身を委ねていると、まろんがいた頃の事を思い出します。
 自分で擦るよりもやや強めの力で、時には痛い位。
 だけどそれが心地良い。
 そして、お風呂から上がったら、それから…。

 全と一緒にいる事を思い出し、ツグミは邪念を頭の中から振り払いました。

「前も洗いますからタオルどけて下さい」
「前は自分で洗うから良いわよ」
「そうでぃすか」

 案外素直に、全は引き下がりました。
 しかし、その場でじっと動く様子がありません。

「全君?」
「はい?」
「その…。先に入ってて」
「ツグミお姉さんと一緒に入ります」
「そこにじっとしていられると、何だか恥ずかしいじゃない」
「はぁい」

 素直に全がお湯に浸かると、ツグミは安堵のため息をつきました。
 そして、全に背中を向け、身体を縮めて身体と髪を洗いました。
 その間、全は鼻歌を歌いながらお湯に浸かっているようでした。
 こちらの方を見ているのかどうかは、音が浴室の中で響くので良く判りません。
 子供の事だから、変な目で見てはいないだろうという確信はありましたが、やはり
落ち着きませんでした。
 何とか身体を洗い終えてから、浴槽へ入ろうとしました。

「きゃっ」

 前をタオルで隠しつつ、全を踏まないようにそろりと浴槽に入ろうとしたのです
が、足を滑らせてしまいました。
 慌てて壁に手をつき支えようとしましたが届かず、そのまま全の上に倒れ込む格
好となりました。

「ご、ごめんなさい。大丈夫?」
「だ、大丈夫でぃす」

 くぐもった声で、全が返事を返します。
 自分の肌に直接、人肌の温もりを感じました。
 気がつくと、全の頭は丁度自分の胸の辺りに来ていました。
 思わず悲鳴を上げそうになり、それを何とか抑えました。
 そして改めて、浴槽に身体を横たえました。
 お湯には、まろんが持って来ていた入浴剤を入れてありました。
 まろんが言うには乳白色で、身体は見えない筈でしたが、念のためタオルで前を隠
しました。

「(全君にしっかり見られちゃった…よね)」

 そう思いましたが、全の様子に変化は感じられませんでした。

「ごめんね。どこか痛くなかった?」
「僕は大丈夫でぃす。ツグミお姉さんこそ、大丈夫でぃすか?」
「私も平気よ」

 全の口振りには、動揺は感じられませんでした。
 やっぱり、まだまだ子供なのかな。
 まさか、見飽きてるという訳でも無いだろうし。
 ツグミの頭の片隅で、先程のフィンの警告が蘇り、すぐに消えました。

 うん。全君はまだ子供なのよ。
 そう結論づけると、ツグミはタオルを握りしめていた両手を伸ばし、浴室に入って
から始めてリラックスするのでした。



「それじゃあそろそろ休みましょうか」
「はいっ」

 お風呂から上がり、着替えてから一休みした後に、ツグミは全を寝室へと連れて行
きました。
 一緒のベットを勧められても、この前もそうだったからか、特に全は驚きはしませ
んでした。
 ベットに並んで横になると、疲れたのか全はすぐに寝息を立て始めました。

 ツグミは以前、ここで全の家族の話をした事を思い出しました。
 その日以来、ずっと全の事が気になっていました。
 恐らく母のいない彼のために出来ることがしたい。
 そして今日。全が母親の愛情を全く知らずに育った事を知り、ますますその思いは
強くなっていきました。

 ツグミは、全にそっと手を伸ばしました。

 この前もそうだったのですが、ツグミに背中を向け、身体を丸めている様子なの
は、やはり恥ずかしいのでしょうか。
 お風呂場では恥ずかしがっていなかったのにねと、ツグミはクスリと笑います。

「(私で良かったら…)」

 背中に顔を付け、耳を当ててみると、今日も小さな鼓動が早鐘を打っていました。
 ひょっとしてまだ起きているのかと思い、ツグミは起き上がりました。

「起きてるの?」

 ツグミの問いかけに返事はありません。
 ただ、全の寝息だけが聞こえていました。
 ツグミはため息をつくと、再びベットに横たわりました。

「おやすみ。全君」

 そう言うと、ツグミは全を背中から抱きしめ、彼の体温を感じながら眠りへと落ち
ていくのでした。



 ツグミが寝息を立て始めた頃。
 全は目を見開きました。
 暗闇の中だと言うのに、その目は光っているのでした。
 全は、身体を起こしてツグミの寝顔をじっと見ました。
 抱きしめていた全がいなくなり、何かを捜すようにツグミの手が動きます。
 やがてその手は、自分で自分を抱きしめる形で止まりました。
 その様子を飽かず全は眺めていましたが、やがてツグミの頬に手を触れました。

 そこから手を動かそうとして、暫し躊躇ってから引っ込めました。
 再び身体を丸め、ツグミに背中を向け、全は目を閉じました。
 それから暫くして、全の口から今度こそ本当の寝息が漏れてくるのでした。

(第121話 完)

 何かが起きたような起きないような一夜でした(笑)。

#また予告と関係無い脱線話になった気がするのは気の所為です(汗)。
#佐々木さんパートの展開を縛らないように予告は休止(笑)。

 では、また。

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Keita Ishizaki (E-mail:keitai@fa2.so-net.ne.jp)
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