神風・愛の劇場スレッド 第108話『溢れ出す夜』(3/23付) 書いた人:佐々木英朗さん
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From: hidero@po.iijnet.or.jp
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Subject: Re: Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18)
Date: 23 Mar 2001 17:59:47 +0900
Organization: Infonex Corporation
Lines: 315
Message-ID: <99f3a3$bmq@infonex.infonex.co.jp>
References: <96ii2u$hn1@infonex.infonex.co.jp>
<96o98b$rjm$1@news01db.so-net.ne.jp>
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<996g46$bj0$1@news01de.so-net.ne.jp>
<996mh3$etb$1@news01dd.so-net.ne.jp>

佐々木@横浜市在住です。

<996ec3$d06$1@news01dg.so-net.ne.jp>の記事において
keitai@fa2.so-net.ne.jpさんは書きました。

>> 石崎です。

ども、こんにちわ。

>> #本当は全然お久しぶりでない気もしますが(笑)。

リミピッドチャネルが複数回線繋がっている所為でしょう。(笑)

>> これは神風怪盗ジャンヌのアニメに触発されて書き連ねられている
>> 妄想小説のスレッドですので、お好きな方のみ以下をどうぞ。

という事で宜しく。


>> >>> ★神風・愛の劇場 第105話『追求』

>>  実はその悪辣な手段に期待していたりして。
>>  いつぞやのワーム攻撃は効いた(笑)。

ほんの一瞬ですが、弥白様vsまなみ先輩の電脳合戦という妄想が頭を
よぎったのですが、どう考えても似非サイバーパンク小説なのでボツ。(笑)

# 頭をよぎりつつボツというネタは結構多数。大抵は鬼畜ネタですが。(爆)

>>  ただ、一応悪魔絡みの情報流出ですので、チェックメイトすれば消えてしまう
>> …というオチにしてしまう事も可能ではありますが。

その方が本編に近い感じ。^^;

>> #バリエーションとして、小さい頃「お医者さんごっこ」をしている稚空と弥白
>> #様というのもあります。病院から勝手に持ち出したあんな器具やこんな器具を
>> #実際に使って…(き、危険すぎるネタだ(爆))。

やはり子供に判る器具という事では注射器に勝る物は無いでしょう。
針は危ないので無しにして、後は何処に刺すか…(これ以上は止めておこう)

>>  取りあえずチェリー嬢が来日するまで本当のクライマックスは無いと思ってい

そうですか、そういうお考えであればさっさと来日させた方が良いのかな。
# 佐々木はチェリー嬢の来日は平和になった後でも構わんと思っていたらしい。

>> るので、4クールの番組の2クール目終盤のクライマックスみたいなものになる
>> のかどうか。

現時点でシリーズ構成の半分しか終わってないんですか?(爆)

>>  もっとも本妄想はクライマックス級の大事件ばかり起きている気もするのです
>> が(笑)。

しかもわずか1ヶ月弱の期間に。^^;;;;;

>> >★神風・愛の劇場 第106話 『音』

>>  ツグミさんにつけられた腕輪は、その効果が不明だったのですが、どうやらま
>> ろんちゃんに関する音全てを消去する遮音結界として機能している模様。まろん
>> ちゃんの電話の音まで選んで消せるんですか? これ。

基本的には全くんが24時間張り付いているのも無理なので、その代わりです。
#「願い事が叶うと外れる」という部分が大ミソ。
# 呪い系アイテムは効果が切れると風化して…というの良くありますよね。
だからツグミさんが特に期待しない事の邪魔はしません。

>>  そして、またまたまたツグミツーが登場ですか。どうやら無意識の内にイカロ
>> スを探索して、そしてイカロス拉致の犯人に迫りつつあるように見えます(笑)。

鋭いですね。^^;
そろそろ細かい問題を片付けないと、大枠でのクライマックスに
何時まで経っても近付けないので。(笑)

>> ★神風・愛の劇場 第107話『逃避(前編)』

2つの相反する感想があります。
物語作者としては良くぞ書きましたね、頭が下がりますという感じで
弥白様隠れファンとしては、何て事するんですかっ!ていう。^^;;;

場面転換と共に時系列も前後させてあったり、更にあるシーンの最後の
部分をわざと書かずに別の場面から情況が導ける様になっていたりと、
凝った構成になっていて感心させられました。
# 流石、練りに練ってから吐き出した話だけの事はありますね。(笑)

失意の弥白様にトドメを刺した画像ファイルって何なんだろう。
撮ってもらってる奴かな。普段なら知られても疑問と怒りという
反応を導くだけでしょうが、情況が情況なだけに一気に気力を奪ったのかも。

ミストの言葉では無いですが、ノインの作戦が判った気がします。
かなり迂遠で、ミストがよくも黙って見ていたと感心しますが。^^;

何かさり気なくアクセス(というか天使全般?)の過去を
匂わす様な記述もありますね。この伏線が何時効いて来るのか楽しみ。

しかし意地悪(笑)な展開ですね。
あの後傍に居てあげる事が出来るのは稚空しか居ないとはいえ、
これはこれで弥白様との間に一悶着どころでは無い波風が立ちそう。
稚空がどういうつもりであっても、弥白様にとっては愛しい人が
自分の許に来てくれたという以外の何物でもない情況ですから。

# たとえどんな展開でも妄想が妄想たるシーンもちゃんと在りますね。(爆)
# 今回は脱がす過程は無しで着せるだけでしたが。*^^*

>> #やはり、窓は透明の方が良かったでしょうか(笑)。

窓の外によその家が見えたりしないのであれば透明にしそうな気が。^^;
きっと窓の外は遥か彼方まで自分の家の庭でしょうし。

>> ●次々回予告編

珍しい物が付いてますね。^^;;;

>> #あくまでも「予定」なのでその時の気分で変更の可能性あり(笑)

でも「言魂」って単語もあるくらいですから、
出してしまうと霊力が宿りますよ。(笑)

# では、いきます。

★神風・愛の劇場 第108話 『溢れ出す夜』

●オルレアン

昨夜は晴れていたはずなのに。朝起きてカーテンを開けたまろんは、
窓から見える薄暗い風景をぼんやりと眺めながら冴えない頭を
起こそうと考えを巡らせていました。
そうやって暫く外を見ていたのですが、一向に意識がはっきりしないのは
気分が晴れない所為だと気付いて窓から離れました。
そして気分を引き締める為にシャワーを使ってから、朝食の仕度を始めます。
冷蔵庫を開いてみて、また気分が滅入ってしまいました。
薄々は判っていましたが、ろくな物が入っていません。朝食ぐらいは
何とかなりそうなのですが、その後の事を考えると買物に出かける必要が
ありそうでした。

「晴れないのかな…」

再び窓辺に立って空を見上げながら、まろんはひとりごちるのでした。

●桃栗町内

結局、ぐずぐずと家に篭っていたまろん。
昼近くになって雨が降り出してしまいました。
暫く待ってみたのですが、雨は上がるどころかますます雨粒が大きくなって
いく様に見えました。まろんは覚悟を決めて雨の中を出かける事にします。
幸い風が無かったので雨具は傘だけで充分と判断しましたが、
足下に跳ね上がる分は考えていませんでした。その事に気付いたのは
家から大分離れてからでしたので、今更出直すのも馬鹿馬鹿しいと
諦める事にします。
日曜の昼前という時間は普段ならばスーパーが買物客で賑わう時間帯
でしたが、天気の所為なのか客足が鈍い様でした。まろんは人気の少ない
売り場をてきぱきと歩き、帰りの事を考えて当面必要と思われる物だけを
選ぶと帰路に就きました。
この季節にしてはしっかりした、そして生温い雨は変わらず降り続き、
そして見るからに厚い雲が空を被い辺りを夕方の様に薄暗くしています。
店を出て程なくした所で、まろんは足を止めました。

「ん?」

声がした様な気がして辺りを見回します。気の所為かと再び歩きだそうとした時、
今度こそしっかりと相手の声が耳に届きました。

「日下部さぁ〜ん」

雨の中を長靴特有のどたばたと騒々しい足音が近づいてきました。
早く自分の事を判って貰おうとしてか、傘を前に向けずに走って来た為に
着ている物の胸から下がしっとりと濡れてしまっています。
まろんは少し呆れたと言いたげな表情で言います。

「走って来なくても逃げないよ」

確かにそうですねと応える代わりに、委員長は苦笑しました。

「お買物ですか」
「うん。食べ物在庫切れ」
「雨が降ってしまって残念なお天気でした」
「本当に。昨日のうちに買物済ませておくんだったって後悔してるの」
「独りだと色々大変ですね」
「…そうだね」

まろんがほんの一瞬言い澱んだ事に気付いた訳ではなかったのですが、
委員長は話題を変えました。

「そう言えば先程なんですが、瀬川さんを見かけました」
「ツグミさん?」
「ええ」

まろんは雨の中を歩くツグミの姿を想像していました。自分と同じ様に
買物に出たのだろうか。傘、荷物、杖、とても不自由そうに思えます。
それで思った事をそのまま委員長にぶつけました。

「何時頃?何処で会ったの?雨で大変そうじゃ無かった?」

言ってから、自分でもちょっと驚いたまろん。そしてツグミに対して
自然に想いを巡らせる事が出来た事が嬉しくもありました。

「それがですね」

しかし、委員長の答は不安を掻き立てる物だったのです。

「傘もささずに立っていたんですよ」
「この雨の中を?」
「そうなんです。急に降られて困っているのかと思ったので、声を掛けようと
 近づいたら居なくなってしまいまして」
「え?」
「いや、曲がり角の所でしたから建物の陰に入ったのかと」

まろんの中で漠然とした"何か"が膨らんでいきました。

「ところがその場所まで行って見ても、何処にも人影は無かったんですよ。
 さっき日下部さんを見かけて走ってきたのも、また消えてしまいやしないかと
 不安になったからなんですが」

委員長はそう言って再び照れ臭そうに笑いました。しかし、まろんは
早口で食い下がります。

「それ、何時なの?何処での事?」
「ついさっきです。この先の路地を抜けた辺りで…」

まろんは最後まで聞かずに走り出していました。

「日下部さん!」
「有難う、また明日ネ!」

あっと言う間に路地を曲がって消えてしまった後ろ姿に向けて溜息をつくと、
委員長はこの後に起こるハズだった出来事の予定を思い描きます。

「荷物をお持ちしましょう」「あら有難う」「いえいえ」
「ちょっと寄って行かない?」「いやそういう訳には」「どうせ暇なんでしょ」
「ええ、まぁ」「私も一人で暇だったのよ」

そして呟きました。

「世の中甘く無いですね…」

委員長は気を取り直して、始めの予定通り商店街へと歩き出しました。



途中に枝分かれも無い狭い路地でしたから、委員長が言っていた角は
すぐに判りました。そして案の定そこには誰の姿もありません。
それでもまろんは足早に辺りを歩き回り、ツグミの姿を探しました。
普段ならそこまで必死に探し回る事も無いのでしょうが、雨の中で
傘をささずに立っていたという委員長の言葉からは言い様の無い不安を
感じます。もし、家に帰ったのなら、それでも良い。それを確かめるという
意味でも探し回らなければならないのでした。やがて靴の中にまで雨が
たっぷりと染み込んで自分でも足が重く冷たいと意識した頃に、
まろんはその姿に巡り会えました。見間違えるはずも無い後ろ姿です。
声を掛けようとして、委員長の言葉を思い出したまろん。
思わず口を固く結んでしまいます。声を掛けると消えてしまいそうだから…
確かに最初はそうなのだと思いました。しかし、そうでは無かったのです。
声を掛ける事が出来ない雰囲気がまろんに躊躇させていました。
委員長の言った通り、そこにいるツグミは傘もささずに雨の中に立って
います。真っ直に正面を向いている様でしたが、その先に何があるのかは
まろんはすぐには思い付きませんでした。それよりもまず傘をさし掛けて
雨を避けてあげないと、という思いから傍に近づきます。
あと数歩という所まで近づくと、まろんは立ち止まりそっと声を掛けました。

「ツグミさん?」

ツグミは微動だにせず、返事もありません。いくら雨が強いとはいえ、
声が掻き消される程では無いはずでした。それでもまろんはもう一歩近づき
声を掛けながら手を伸ばしました。

「ツグミさん…よね?」

ですが伸ばした手は、その先にあるツグミの肩に触れる前に別な何かに
触れたのです。間に見えない壁が突然湧いて出た様にまろんは感じました。

「何…」

呆気に取られたまろんが自分の手とツグミの後ろ姿を見比べていると、
ゆっくりとツグミが振り返りました。それはまるで現実感の無い、
異様に滑らかな動きでした。髪も服も何もかもが固まっている様に
乱れずに同じ動きに従っていました。
やがて、ツグミの横顔からの視線がまろんを捕らえます。
顔に掛かった前髪の透き間からツグミの瞳が覗いていました。
まろんはそこに違和感を感じて瞬きを繰り返しましたが、
それが何なのか気付くより先に何時の間にかツグミの姿は無くなっていました。

「え?」

まろんは慌てて周囲をきょろきょろと見回しますが、辺りには
誰の姿もありませんでした。たった一人、自分が立っているだけ。
そして傘を傾けて見上げた先には、見慣れた自分のマンションが
雨の中で霞んでいました。

●桃栗町郊外

ベッドが微かな軋みの音を立て蒲団の下から手が伸びます。その手が枕許に
あった目覚まし時計を撫で回すと、蒲団を押し退けて身体がむっくりと
起き上がりました。

「止めてから寝ちゃったのね…」

ツグミはぶつぶつと呟きながら寝室を後にするのでした。

(第108話・完)

# こういう展開なら既に着手されているらしい第109話には
# 影響しないと思いますが、どんなもんでしょう。
# 煩悩の数字なのに煩悩が全然足らない話ですね。(笑)

●次々回予告編

「…そんな目で見ないで」

# 最近のアニメでは次回の事がちっとも判らない予告が流行の様ですから。^^;

では、また。

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■■■■■■ 佐々木 英朗 ■■■■■■■
■■■■ hidero@po.iijnet.or.jp ■■■■
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