神風・愛の劇場スレッド 第104話『追求』(2/25付) 書いた人:携帯@さん
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From: Keita Ishizaki <keitai@fa2.so-net.ne.jp>
Newsgroups: japan.anime.pretty,fj.rec.animation
Subject: Re: Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18)
Date: Sun, 25 Feb 2001 16:40:05 +0900
Organization: So-net
Lines: 381
Message-ID: <97acsn$ngh$1@news01df.so-net.ne.jp>
References: <967re7$lkm$1@news01db.so-net.ne.jp>
<96ii2u$hn1@infonex.infonex.co.jp>
<96o98b$rjm$1@news01db.so-net.ne.jp>
<9752cn$m9a@infonex.infonex.co.jp>
<97a82v$atm$1@news01bb.so-net.ne.jp>

石崎です。

これは神風怪盗ジャンヌのアニメに触発されて書き連ねられている
妄想小説のスレッドですので、お好きな方のみ以下をどうぞ。

長くなりましたので、またまたフォローと本編を分離します。
こちらは本編。


#本スレッドの記事のアーカイブに関しては、hidero@po.iijnet.or.jpさんの
#<8cs0mq$enl@infonex.infonex.co.jp>の記事を道標として下さい。


★神風・愛の劇場 第105話『追求』


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×県桃栗町心霊現象スレッド 第三夜

1 名前:前スレ950 投稿日:2000/02/05(土) 12:13

 ×県桃栗町で最近目撃された幽霊少女とその飼い犬、謎の爆発事件、謎の生物
等についての現地目撃情報、その正体についてまったり語り合いましょう。

                 :

19 名前:事情通@桃栗 投稿日:2000/02/05(土) 18:15

 お亡くなりになってしまった烏賊路酢のホームページの内容を下記の場所に置
いたよん。

 ://www.biocity.com/…

20 名前:名無しさん@桃栗 投稿日:2000/02/05(土) 18:21

 >19
 だから、他人の誹謗中傷ネタは止めろって言っただろ!
 関係無いので下げる。

21 名前:名無しさん@桃栗 投稿日:2000/02/05 (土) 19:25

 >19 おおおっ。保存していなかったので助かります。
 
 そう言えば、この新聞の発行者? の社ちゃんのホムペの掲示板が荒らされて
いる模様。
 止めて欲しいよな。潰れたらどうすんだよ。


●オルレアン 稚空の部屋

「たっ、大変です! 例の掲示板で…」
「知ってるよ」

 受話器の向こうから、委員長の慌てた声が聞こえてきました。
 しかし、その内容は、既に稚空も確認済みの事なのでした。

「ああ…やっぱり知ってましたか。それじゃあもう…」
「いや、俺もまだ見たばかりだ。だから何もしていない」
「山茶花さんのホームページが荒らされているみたいです。早く手を打たない
と」
「判ってる。弥白には俺が話しておくから」
「あの…僕にも何か出来ることがあれば…」
「放置しろ」
「は?」
「この前も言ったように、下手にこちらからアクションを起こすと逆効果だ」
「でも…こんな誹謗中傷、放置しておいて良いんですか?」
「良くはない。余りに酷いようだったら、手は打つさ」



「お嬢様は、夕食の後はお部屋に籠もりきりでございます」

 委員長からの電話を切れると、稚空は弥白の家に電話をかけました。
 弥白の私室の電話、携帯電話、共に電話は不通。
 それで、屋敷の代表電話にかけてみたのですが、弥白はやはり部屋にいる様子
でした。

「風呂にでも入ってるのか?」

 あり得ることでした。
 弥白の長風呂の事は知っています。

「広いからな…。あそこ」

 確かあそこには、インターフォンの類は無かった筈。
 昔、弥白と一緒に入った時の事を思い出しながら考えます。

「後でかけ直すか」

 そう呟いてはみたものの、何か胸騒ぎがしました。
 時計をちらりと見てみます。
 女性を直接訪問するには少し遅い時間かも。

 暫し腕組みをして考えていた稚空でしたが、弥白の方もこのような状況では自
分とは顔を合わせ辛かろうと思い、また後で電話をかけ直す事にするのでした。


●桃栗町中心部

「全く信じられない!」

 三枝の別荘からの帰り道、都がこの日何度目かの「信じられない」を言いまし
た。
 別荘を出たときは夕暮れ時でしたが、街の中心部に来る頃にはとっぷりと日は
暮れていました。

「このあたしを差し置いてあの弥白がよ? ねぇまろん、聞いてるの?」
「はいはい」

 同じ話を何度もされているので、もううんざりと言う感じでまろんは答えます。

「そりゃあまろんは良いわよ。三枝先生のモデルなんだから」
「私は別に…」
「あの性悪女の山茶花弥白をモデルにする位なら、あたしをモデルにした方がよ
っぽど良いわよ。そう思わない?」
「山茶花さんってそんなに性格悪かったっけ?」
「まろんはどうしてあの女に甘いのよ」
「それは…」

 性格が悪かったのは悪魔に取り憑かれていたから、とはもちろん言えませんで
した。

「それにしても弥白の奴、一体どうやって三枝先生にモデルにして貰ったんだろ
う」

 まろんが黙っているので、都は話を続けました。

「さぁ…」
「あの日刊恐怖新聞になら、何か書いてあったかも知れないけど…。捨てちゃっ
たしな…。ねぇ、まろんは、あの新聞、まだ持ってない?」
「え? 私もこの前の古紙の回収の時に捨てちゃったけど…」
「そうか…。そうだ!」
「何?」
「弥白のホームページよ。昔の恐怖新聞の見出しで出ていたのを覚えてる。あれ
に何か書いてあるかも」
「確かに山茶花さんはホームページを持っているらしいけど…。でも、インター
ネットなんて出来るの?」
「そんなのどうにでもなるわよ。機械は古いのをお兄ちゃんがくれるって前から
言ってるし、操作だって…」

 自信たっぷりの様子で都は言いました。

「ねぇ、山茶花さんの事をそんなに詮索するのは止めようよ。人の事なんだし」

 都のあまりのしつこさに、まろんは止めようとしたのですが。

「人の事を勝手に調べて、あたし達を脅したのはどこの誰よ!」

 叫んだ時、一瞬都の目の色が変わったような気がしました。

 あの弥白の撮った写真によって出来た、都の心の傷。
 それは、自分が思っていたよりも、ずっとずっと深かった。
 和解したとはいえ、それは私達の間だけのこと。
 私は全ての事情を知っている。
 だけど都は…。

 まろんは、どうしたら都の心の傷を癒すことが出来るのだろうと考えましたが、
すぐには答は見つかりそうにありませんでした。


●桃栗タワー

 フィンはシルクと別れた後、ここ数日の塒となっている桃栗タワーまで戻って
来ました。
 自分の翼の中から、まろんの持っているものの対になっている羽根を取り出し
ます。
 まろんは、都と一緒に帰宅途中のようでした。

「全く。何が独りぼっちよ…」

 ここ数日の二人の様子は羽根を通して知っています。
 ツグミとちょっとした仲違いをしたと思ったら、今度は都と親密な様子。
 自分は、独りぼっちのまろんに近づいて、その寂しさにつけ込んで利用してき
たつもりだった。
 でも、それが誤りであった事を、再度人間界に戻って来てからの経験で、何度
も何度も思い知らされたフィンでした。

 都が何か叫びました。
 それを見て、フィンの表情が変わります。

「これは…」


●オルレアン ミストの隠れ家

「成る程。そう言えばあの娘もクイーンの『駒』だったわね」

 まろん達の様子を見ていたミストは、そう呟くと今まで映像を映し出していた
キャンディーを口の中に放り込みました。

「このままだと、『駒』同士ぶつかってしまうかも…」

 暫く腕組みをして、何やら思案に耽りますが、それも一時。

「何? どうしたのアキコ?」

 アキコがミストの方をじっと見ているのに気がつくと、思考を中断しました。
 アキコは無言で足元に在る黒い塊を指さしました。

「夜の散歩? ああ、行って来ると良いわ」

 そう言うと、アキコの表情が一瞬変化したように感じます。
 少し嬉しそうな表情。
 しかし、ミストが改めてアキコの顔を見直した時には、いつもの表情に戻って
いて、アキコはそのままその黒い塊と共に夜の街へと散歩に出ていました。


●オルレアン

「…よし。これで接続出来るよ」

 都の家のリビングで、ノートパソコンに向かって設定をしていた昴は、振り返
って都に言いました。
 都は、兄の昴に電話を掛けて、以前から兄がくれると言っていた型落ちのノー
トパソコンを持って来てもらうと共に、食事を餌に設定までして貰う事にしたの
でした。

 昴が持って来たのは、B5程度の大きさのノートパソコン。
 既に旧式化している機種らしいのですが、昴が言うには「インターネット程度
なら有り余るスペック」という事のようでした。

「本当にあたしのPHSでインターネット出来るんだ」
「このノートパソコンなら接続端子があるから大丈夫。接続ケーブルもついでに
俺からのプレゼント」
「インターネットに接続するのって、どこかと契約する必要があるんでしょ? 
それは…」
「都の入っているPHSの会社は、利用者向けに無料のプロバイダを運営してる。
そこを利用すれば、手続きは要らない。で、そこに接続するように設定してある
から」
「ふ〜ん。じゃあ、具体的な接続方法を教えてよ」



 昴は夕食を共にした後に、研究が忙しいと言って帰ってしまい、都は自分の部
屋にパソコンを持って行き、早速昴に教えて貰った通りにインターネットに接続
しました。
 繋がった先は、昴が設定しておいてくれた検索サイト。

「最近はこの検索サイトが一番良いんだ」

 そう言って昴が最初の接続ページに設定してくれたのです。

「『ごーぐる?』どういう意味なんだろ。検索のホームページだったら『やっ
ほー』とか言うんだと思ってたけど」

 そう思いつつも、キーワードを入力して検索ボタンを押しました。

「えっと、検索結果は…」

 キーワード次第では何百件も結果が出るのを先程昴に見せて貰いましたが、検
索結果は数件しかありませんでした。

「案外少ないんだ」

 そのものずばりの検索結果こそありませんでしたが、リンクを辿る内に都の知
らない人が開設したホームページのリンク集らしき場所に辿り着きました。
 そこで目的のホームページへのリンクが張られているのを見つけました。

「見つけた」

 都はマウスのボタンをクリックすると、目的の「弥白新聞」のホームページが
液晶画面に表示されました。



 ホームページのどこを読めば良いだろうと悩みましたが、まずは「日記」と書
かれた場所を読むことにしました。

 都は数ヶ月前に遡って、日記を読み進めました。
 弥白の悪口をぶつぶつ呟きながら。
 しかし、なかなか目的の情報に辿り着きません。
 文章量が膨大で、なかなか情報が表示されなかったせいもあります。

 苛々して来たので、今度は一ヶ月前の日記から読むことにしました。
 今度は、目的の文章をすぐに見つける事が出来ました。

「プライベート写真集?」

 日記には、自分の16歳の記念プライベート写真集を作るために、とある写真
家の元に撮影に出かけている様子が書かれていました。
 写真家の名前は書かれていませんでしたが、恐らくは三枝であろうと思いまし
た。
 特に1月19日付の日記が決定的でした。
 人家もまばらな県道を歩いていた杖をついた少年。
 写真も貼ってあったので、全に間違いありませんでした。
 彼は、夕陽を見るために西を目指していた。
 そして、その方向に住んでいる写真家と言えば、三枝しか思いつきませんでし
た。

「弥白の奴、金の力で三枝先生に撮って貰ったんだわ」

 都は、ますます弥白の事が嫌いになりました。
 そう言えば、掲示板とか書いてあったけど、あそこには何か書き込めるんだろ
うか。
 だったら、嫌味の一つでも書いてやろうかしら。

 そう思い、トップページに戻って掲示板にアクセスしました。
 ところが、掲示板は表示される事は無く、代わりにエラーメッセージが表示さ
れました。

「あれ? 何でアクセスできないんだろう?」

 不思議に思いましたが、そろそろ電話代が勿体ないので都は接続を切るのでし
た。


●山茶花本邸 弥白の部屋

”人の秘密をこっそり撮影するなんて、良くない事だと思います”
”この盗撮女! 逝って良し!”
”新体操の世界を汚す悪女!”

 弥白が自分のホームページの掲示板を開くと、そこは悪意に満ちた書き込みで
埋め尽くされていました。

 アクセス履歴のリンク元を見ると、今まで無かった匿名掲示板からのものが幾
つかありましたので、そこにホームページのアドレスが掲載されたもののようで
した。
 もっとも、自分で行って確かめる気にはなりませんでしたが。

 弥白は黙ってそれらの書き込みを削除し、そのままソファのクッションに顔を
埋めて嗚咽しました。

 何度か、電話が鳴りましたが、とても出る気にはなりませんでした。



 どれ程泣いていたでしょうか。
 肌寒さを感じた弥白は、とにかく起き上がりました。

 着替えた後で、窓際にある巨大な文机に組み込まれている端末の一つから再び
自分のホームページにアクセスしました。
 カウンターの数値の伸びがいつもに比べて妙に大きい気がします。
 まさか。嫌な予感がして、再び電子掲示板を開きました。

”私の書き込みをどうして消したんですか? 自分に都合の悪い発言はみんな消
しちゃうんですね…”
”葉月です。一体どうしたんですか!? 久しぶりに見に来たら、弥白さんの悪口
ばかり。私は、弥白さんの事を信じていますから…”
”葉月さんは何も知らないんですね。ここを見れば、どうしてこんな事になって
いるのか判りますよ。
http://XXXX.42ch.net/test/read.cgi?bbs=sinrei&key=…”
”サツキです。下のカキコの掲示板を見ました。酷いことが書いてあります。こ
んな嘘ばかりの掲示板、信じる事無いです!”

 掲示板は、再び悪意に満ちた書き込みと、弥白の知人達の驚きと励ましの書き
込みで埋め尽くされていました。

 弥白は、今度は発言を掲示板毎削除しました。
 そして、そのままOSを終了させました。
 終了と同時に、文机の液晶ディスプレイとキーボードが自動的に収納されまし
た。

 元の平らとなった机に、弥白は突っ伏します。

 稚空さんは今回の事で完全に私の事を嫌ったでしょうね。
 お友達にまで、この事を知られてしまった。
 もう、恥ずかしくて誰にも会うことなんか出来ない。

 もう、私なんか…。

「存在すること自体、許されないのですわ」

 そう呟くと、再び嗚咽を始めるのでした。

(第105話 完)

 力尽きました。今回はここまで(ぉぃ)。
 未だ2/5(土)のままの本編でした(汗)。

#余談ながら前回日付を一日間違えていました(滝汗)。

 では、また。

--
Keita Ishizaki mailto:keitai@fa2.so-net.ne.jp

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