神風・愛の劇場スレッド 第84話 『冬の蛍』(前編)(10/20付) 書いた人:佐々木英朗さん
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From: hidero@po.iijnet.or.jp
Newsgroups: japan.anime.pretty,fj.rec.animation
Subject: Re: Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18)
Date: 20 Oct 2000 12:41:33 +0900
Organization: Infonex Corporation
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佐々木@横浜市在住です。

<8sc1qt$ekp$1@news01cg.so-net.ne.jp>の記事において
keitai@fa2.so-net.ne.jpさんは書きました。

>> 石崎です。

こんにちわ。
# 最近遅れぎみで申し訳無いです。
# ジャンヌ妄想は腰を落ち着けて書く様に変えた所為なんですが。^^;

>>  このスレッドは、神風怪盗ジャンヌのアニメ版を元にした妄想スレッドです。
>>  その手のが嫌いな人は、読まないで下さいね。
同じく。


>> ># この日はバンダナを巻いていたというのが裏設定。(笑)
>>  成る程、帽子だけじゃないと。

本人はあまり気にしないとは思うのですが、
保護者が着せ代えを楽しみそうな気がして。^^;;;;;

>> >>> ★神風・愛の劇場 第81話 『二つの真実』

>>  ミストはアニメ第39話(チェリー嬢の話)で、ノインが両親が生きている事
>> を示唆した為にまろんを元気付けてしまった失敗の目撃者ですので、ノインがど
>> うして行方不明では駄目と言った意図を理解できるが、フィンは恐らく理解でき
>> ないであろうと考えたらしいです。

成程。

>> #と言う訳で、今回はご希望に応じて…(違)。

# *^^*

>>  第24話の豪華客船のバカンス話の都ホームズと委員長ワトソンのコスプレを
>> いめえじしています(笑)。

ぢつわそういうイメージの台詞を入れたかったのですが、
イイ感じのが浮かばなかったんです。^^;;;;;
「…という事だよ水無月くん」
「はぁ?」
「判らないならいいわよ」
# ってな雰囲気で。

>> >★神風・愛の劇場 第82話 『刻の化石』

>>  NetNewsが役に立つのは、やはりNetNewsで連載されている妄想小説だけな事は
>> ある(笑)。

という理由で今回は逆説です。(笑)

>>  ところで、良く似た他犬って…その目撃者とまろんを会わせると、面白いこと
>> になるとか? それより何より、一般人に見えたのでしょうか? 魂の人間とペ
>> ット(笑)。
>>  それとも、本当に似ているだけの他犬?

さ〜らりと流されればずっと後の伏線にしようかと思ったのですが(無理か ^^;)
突っ込んで頂きましたので回答編をば。(笑)

>>  稚空はやっぱり、例のデジカメ画像を消していなかったんですね(笑)。男の
>> 子〜(爆)。

被写体に対する思いと写っているモノに対する思いが別々なのが男の性。(爆)

>>  ミストの言う所の「一部の人間」には「もでらぁ」、「立体模型」には「ふぃ
>> ぎゅあ」とルビを振るのでしょうか(違)。二次元の映像を三次元にする職人達
>> (笑)。

まさにその通りです。ミストは人間の凡ゆる趣味に詳しいので。^^;

>>  最後のノインの台詞が妙に気になります。
>>  ミストの姿は何の記憶なのでしょうか?

この辺は追々という事で。

>> ★神風・愛の劇場 第83話 『点と線』

主寝室は2階でしたか。まだ謎の部屋がありそうな家。(笑)
ツグミさんの家って活字屋敷ですね。普通の本が沢山というところまででは
小判に囲まれて暮らす猫の様なツグミさんだったのですが、カツヲブシも
少しはあった様で。^^;
何か心配事がある時はなりふり構わずというのはお約束ですね。(爆)

犬違い(偽イカロス)の素姓も確かめようと動いている稚空ですが
何かを疑っているのか、それとも何かの縁なので買い主に知らせようという
彼の優しさなのか。きっと後者なのでしょうね。この線が今後何かに
効いてくるかどうかは様子見という感じ。^^;

そして意外な接点があった弥白様と瀬川家。そうですか、弥白様ってば
そんな事までやってますか。活動範囲広いですね。しかも社会的。
# "買った当時は最新型だった"という1文は身につまされます。^^;

## 某所のボツ版からは取材(調査)の苦労が垣間見えます。


# では行きま〜す。前後編2分割です。


★神風・愛の劇場 第84話 『冬の蛍』(前編)

●桃栗町某所

そこは嘗て多くの人々が集った場所でした。でも今はただ取り壊されるのを
待つだけの建物です。それでもそこは見る者によってはとても賑やかな所。
ふと通りかかった者は、同伴者と共にそのざわめきに気付き、そしてまた
ある者は言い様の無い息苦しさを感じるのでした。
でもほとんどの者にとってはただ静寂が支配するのみ。

●オルレアン

昼過ぎ。稚空の部屋に集まっているのは都と委員長。
この時点までで集まっていたイカロスの目撃情報を精査するのが目的でした。
訪問時、委員長は開口一番で、ある意味ではもっともな疑問を投げ掛けます。

「瀬川さんを交えての方がよくないですか?」

これには都がまだ彼には話していなかった件の交通事故の話の顛末を
語りつつ、疑わしい情報はツグミの耳には入れない方がいいという
彼女と稚空の考えを伝えました。

「そうだったんですか。でも、取りあえず安心しました」
「まぁ、安心ってのとは違うんだけどね」
「そういう訳だからまた最初からって事になるが」

都は待ってましたとばかりに切り出します。

「昨夜のあれ。どうなった?」
「あ、待ってる途中で寝ちまってさ。まだ見てない」

非難がましい都の視線に気付かない振りをしつつ、稚空はパソコンの
電源を入れました。その間に委員長が尋ねます。

「あれって何です?」
「別の目撃情報よ。イカロス似の犬を散歩させてる女が居るって話」
「それって、もしかして青い服の女性の話でしょうか」
「何それ?知らない」

パソコンの画面を覗いていた稚空がそれに応えました。

「昨日の質問に返事が来てるぞ。委員長、この記事読んだのか」
「ええ。僕も家で見てましたから」

稚空が画面上で指差した記事、委員長も見たというのはこんな内容でした。

"お尋ねの件に関して追加です。見たのは桃栗1丁目の商店街で
 時間は夜の11時頃。薄いブルーの服を着た髪の長い女性でした。"

「ふ〜ん」

とは都の感想です。確かに稚空の質問への回答ではあるのですが、
期待した程多くの情報を含んではいない事もまた事実です。

「同じ様な時間に出かけてみたら会えるかもな」

稚空の言葉に委員長はこう応えました。

「その話、続きのフォローを読んでみてください…」
「ん?」

話題は更に別な人物からの記事を基点にずれた方向へと盛り上がっていました。

"ちなみに美人でした?(笑)"
"遠かったんで顔までは何とも"
"でも、服の色とかは判ったんですね"
"言われてみれば何でかな。印象が割とはっきりしているけど"
"あの辺りって結構街灯が疎らで暗い様な"
"シルエット全体がぼわって感じで浮き上がって見えたんですよ"
"その女性って足ありました?^^;"
"いつのまにか居なくなってたとか"
"続けるならmomokuri.rec.pseudo-scienceへ。Followup-To:もそちらへ"
"Followup-To:出来てないよ〜"
"失礼。慣れてないもんで"

「何よコレ」
「いつのまにか幽霊目撃談になっちゃいました」
「やっぱり」

都は稚空をじっと見詰めて言いました。

「情報は取捨選択が大事よね」
「ああ…」

記事の上ではその後も延々と幽霊談義が続いていました。

●桃栗町中心街

その後もこれといった情報が得られなかった為に、結局は
犬を散歩させる女性を捜すことにした都達。もっとも。

「何で昼間なんですか」
「うるさいわね」
「名古屋くんの言う様に目撃されたのと同じ時間がいいと思いますけど」
「今日は土曜なんだから昼間に散歩してるわよ」
「はぁ…」

稚空はニヤニヤしながら話を聞いていましたが特に何も言いませんでした。
三人が程なくやってきたのは最初の目撃情報があった商店街の入り口付近。
もっとも商店街と言っても軒並み店という訳では無いのですが。

「で、どうする?」
「その辺の店に入って片っ端から聞いてみるのよ」
「青い服の女性ですか?」
「馬鹿ね。黒い犬の方でしょうが」
「そうでした」



三人で手分けした事もあり、ものの三十分程で全ての店で
噂の真偽を確かめることが出来ました。

「黒い犬を見た話はいくつもありますけど…」
「全部、飼い主は目の不自由な若い女性だとさ」
「つまりツグミさんでしょうが、それは」
「それ以外の黒い犬という話は無いみたいです」

溜息をつく三人。それでも気を取り直した様に稚空が言います。

「もしネットニュースでの話が本当なら、最近見かける様に
 なったって事だろ。なら、商店街の人が知らないのもおかしくは無い」
「そうよね。イカロスが拾われたのなら前から散歩してるはず無いわ」
「ああ、成程」

喉が乾いたという都の意見に賛同し、三人は続きの話を近くの
喫茶店で行いました。

「一応、他にも目撃情報はあるのよね?」

呆れて途中で読むのを止めてしまった都に対して、最後まで
全部の記事を読み通した委員長が答えました。

「最初のと同じ夜は1件だけですが、昨夜の分が2件ですね」

斜め読みではありましたが、稚空も多少は目を通しています。

「同じくこの商店街でのがひとつだっけな」
「それから?」
「ここの裏通りの廃墟で一件です」
「廃墟?」

都と稚空は少し考えてからほぼ同時に思い出した様子になります。

「ああ、あれな」
「廃業したホテルだっけ?」
「ええ。潰れたのは大分前ですが」
「犬の散歩コースに通る様なとこなの?」
「前で見かけたってだけだろ」

委員長は紅茶を一口飲んでから続けました。

「入っていったそうですけど」

珈琲に口を付けかけていた稚空は手を止めて聞き返します。

「入れるのか、あそこ」
「いえ。入れないはずです」
「じゃ何で、その女は入れるのよ」

委員長は、ばつが悪そうに答えました。

「多分、幽霊って事なんじゃ…」

カップの中でスプーンをぐるぐる回していた手を止めて都は顔を上げます。

「ガセよ、そんなの」
「だろうな」
「それがですね」

何故か委員長は声を低くして身を乗り出してきました。

「あの廃墟はこの話以前から色々とあるんです」
「何だよ色々って」
「噂ですよ。出るって言う」
「本当かよ」
「客室の灯りが点いたり、窓に人影が見えたりするらしいです」
「ふ〜ん」

黙って聞いていた都がきっぱりと言い放ちます。

「関係ないでしょ、この際そんな噂は」
「まぁ。そうなんですけど」
「季節外れだしな」

話が途切れて、ふと沈黙が訪れます。
何の気無しに窓の方を見た委員長が外を指差して言いました。

「あ、日下部さんです」
「本当だわ」

まろんは道路を挾んで向こう側の歩道を歩いているのでした。
稚空がすっと席を立って喫茶店の入り口の所から呼びかけます。

「お〜い、まろ〜ん」

まろんは数歩進んでから立ち止まり、そしてこちら側にやって来ました。

「恥ずかしいなぁ。大声出さないでよ」
「まろんと俺の仲じゃないか。遠慮するな」
「何よそれ」
「まぁいいから入れよ」

稚空はまろんの返事を待たずに手を取ると店内に引っ張りました。
まろんが抗議するよりも先に都が声を掛けます。

「こっちよ、まろん」
「何だ。都も居たの」
「僕も居ます」

まろんが空いた席に座るとすぐにウエイトレスがやってきましたが。

「御免なさい。私、すぐ帰りますから」

といって何も注文しませんでした。

「買物に出てきたって訳なのね」
「そういう事なの。ねぇ、何か判った?」

三人が返事に困っている事が、まさに返事なのでした。

「そうすぐには判らないよね。御免ね手伝わなくて」
「それはいいのよ別に。こっちから言いだし事だし」
「そうですよ。勝手にやってる事ですから」
「気にすんな」

まろんは笑顔で頷くと、昨夜の電話のことを聞きました。

「あれね…」

都はそう言ってから、似た犬の事故に関する結論、そしてつい先程までの
一連のネットワーク経由で得られた情報に関する事までをざっと話しました。
それを聞いたまろんは、どこか不満そうな顔をしていました。

「どうしたのよ」
「昨日は何も教えてくれなかったじゃない…」
「あんた、イカロスが死んだかもしれないって知ってて
 ツグミさんの前で平然としていられたと思うわけ?」
「…それは…」
「でしょ?だからまろんには言わなかったのよ」
「うん。でも今度は何か判ったら教えて欲しいな。途中でも」
「だから教えたでしょ。散歩する女の話」
「でも、お化けなんでしょ?」
「そんなものは居ないのよっ!」

その勢いに委員長は都の方を見詰め、稚空はまたしてもニヤニヤして
いましたが、まろんはもっとはっきりと顔をほころばせています。

「大丈夫よ都。都の家には出ないから」

きょとんとした顔の委員長が聞き返します。

「日下部さん、どういう意味ですか、それ」
「どうでもいいのよ、そんな事は。ほれ、帰るわよ」

都は伝票を掴むとそそくさとレジへと行ってしまいました。
稚空とまろんは顔を見合わせてクスクス笑いながら後に続き、
最後にやはり訳の判らないと言いたげな顔の委員長が続くのでした。



結局、三人はまろんの買物に付き合う事になり、稚空と委員長が
ごっそりと荷物を託されてしまうはめに。

「何でこんなに買うんだよ」
「暫く外出出来ないツグミさんの為よ。折角人手があるんだから買いだめ」
「あのなぁ」
「黙って働け、男ども」

そうは言っても、まろんと都もスーパーマーケットの袋を下げているのですが。
先に歩いていたまろんと都でしたが、突然立ち止まってしまいました。

「そうしたのよ、まろん」

都の問いかけに答えるまろん。

「さっきの話の廃墟って、この奥だよね」

そう言ったまろんの視線の先は商店街から逸れる脇道へと注がれています。

「そうよ。裏通りに出て右」
「念の為、ちょっと見て行かない?どうせ同じ方向だし」
「いいけど、別に」
「いいよね、まだ、"昼間"だし」
「うるさいわね。噂なんて嘘よ嘘」

二人が話している間に稚空と委員長も追い付き、四人は噂の廃墟の
前を通る事に。確かにそこは元ホテルだった建物があったのですが。

「噂ほど無気味じゃないですね」

とは委員長の感想です。都も似たような印象らしく、平然と眺めています。
しかし、まろんと稚空は。

「ねぇ…」
「ああ…」

しっかりと閉ざされて誰も居ないはずのその建物から、二人は
何やら不穏な気配を感じ取っていたのでした。

(第84話・後編に続く)

では、また。

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■■■■■■ 佐々木 英朗 ■■■■■■■
■■■■ hidero@po.iijnet.or.jp ■■■■
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