神風・愛の劇場スレッド 第75話『歪んだ優しさ』(9/18付) 書いた人:携帯@さん
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From: Keita Ishizaki <keitai@fa2.so-net.ne.jp>
Newsgroups: japan.anime.pretty,fj.rec.animation
Subject: Re: Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18)
Date: Mon, 18 Sep 2000 12:08:18 +0900
Organization: So-net
Lines: 277
Message-ID: <8q40v4$88v$1@news01cg.so-net.ne.jp>
References: <8otjc0$bgb$1@news01bf.so-net.ne.jp>
<8ovs69$qel@infonex.infonex.co.jp>
<8pfsuj$46s$1@news01ce.so-net.ne.jp>
<8pg0pg$6sc$1@news01cd.so-net.ne.jp>
<8ppfak$gve@infonex.infonex.co.jp>

石崎@夏休みです。

hidero@po.iijnet.or.jpさんの<8ppfak$gve@infonex.infonex.co.jp>から
>佐々木@横浜市在住です。

こんにちわ。

このスレッドは、神風怪盗ジャンヌのアニメ版を元にした妄想スレッドです。
その手のが嫌いな人は、読まないで下さいね。



>セラムンはいくらなんでも無理っぽい気がしますけれど。^^;;;
>こどちゃの方は今のペースだと丁度「今年の」12/18の週辺りですが。(笑)

 今のままだと真面目に続いてしまいそう(爆)。

#1年続くスレッドなど滅多にあるものでは…(笑)。

>>>  スレンダーな女の子が好きなんですよね(謎)。
>
><強調レベル最大>その通りです。</強調レベル最大>

 ならば、「活躍」させないといけないですね(謎)。
 そう言えばまだ「名無し」子ちゃんでした(笑)。

>>> ★神風・愛の劇場 第73話『女の闘い』(前編)
>
>フィンとアクセスがレクリエーションしてる。(笑)
>そういえばアニメ本編でもアクセスはフィンの攻撃を防げたりして
>結構"ヤル"所を見せてましたっけ。それなりに戦えそう。^^;

 黒天使であれでしたので、準天使ならもっと強力そうです。

>ツグミさんの出張サービス(笑)に対抗して都ちゃんは何をしたのかな。

 ハードからソフトまで色々なパターンを考えていますが、どれが良いですか
(爆)。

>しかし、ミストがこう動くとは…。
>イカロスに一服盛られた時以上の衝撃です。これは。
>前記事で「イカロスを動かすタイミングを…」と仰有っていたという事は
>この展開は予定されていた物なんでしょうか。

 実は当初シリーズ構成では、イカロスを神隠しにするのはフィン自身の予定で
した。
 フィンちゃんがツグミさんにイカロスをわりとあっさり返したばかりか元気に
してやったのを見て、急遽ミストに悪役となって貰ったのです。
 丁度、フィンがミストの邪魔をするイベントがあった直後でもあったし、イカ
ロスが元気になってしまった場合、戦力バランス(汗)が悪くなるかなと。

 それに、都ちゃんや弥白様ばかり傷ついて、ツグミさんの傷つき具合が弱い気
があるのもバランスを欠くかと。

>★神風・愛の劇場 第74話『灰色の海』

 イカロスが行方不明になった事で相当傷ついたツグミさん。
 直接の描写はありませんが、どうやらいなくなったと気付いた直後に家の近辺
を探し回った様子。
 思ったよりイカロスの失踪とその犯人にフィンが気付くのが早かったです。
 現場を押さえられないように、アクセスに邪魔をさせたというのに(笑)。

 イカロスをペットにしたミストの所にノインが突っ込みを入れる場面は予定通
り。
 そうか、イカロスを消す事でツグミさんが逆上する可能性もあったんですね。
 フィンが囁き戦術を使えば、それも可能かも。

#実は落ち込ませた後の事は考えていなかったらしい(爆)

 そして問題は夢の中のシーン。
 この場面で夢を見ることが出来るというと、ツグミさんか弥白ですが…。
 視覚に関する記述が無い事から、ツグミさんかと思って読んでいましたが。
 一体何に気付いたのか。

 では、本編。
 今回は珍しくも短めです。
(夏休みなので少しサボりました(爆))。


★神風・愛の劇場 第75話『歪んだ優しさ』

●オルレアン ミストの部屋

 ノインが帰った後、ソファに寝そべり暫しキャンディーを覗いていたミスト。
 ふと、何かに気付いた様子で起き上がり、空中へと浮かびます。

「ちょっと、出かけて来るわ」

 イカロスの頭を飽きる事無く撫でているアキコに、声をかけました。
 その声を聞くと、アキコはミストを見上げました。

「どこに行くのかって? 我等がクイーンのご機嫌伺いに」

 そう言うと、ミストは霧のように姿を消しました。

●桃栗町郊外 ツグミの家

 フィンは、リビングのソファに座って物思いに耽っていました。
 ミストの好きにさせないと決意はしたものの、どう動くべきか。
 もし本当にミストがイカロスを連れ去ったのだとしたら、恐らく私の動きは逐
一監視されている筈。迂闊には動けない。
 それにしても、ミストめ。魔界のクイーンである私に逆らった代償……高くつ
く事を教えて上げるわ。
 フィンの口元が歪んだその時、頭上の空気が動くのを感じました。
 何か来る。まさか……。

「こんばんわ」
「ミスト?」

 驚いた表情で、現れた者の名を口にします。
 まさか、ここに現れるとは思っていなかったのでした。

「何の用?」
「あんたがずっと玩具にしていたあの犬の事なんだけど」
「イカロスの事? それがどうしたのよ?」
「ツグミの所に返したって事は飽きたんでしょ? だからアキコのペットに貸し
て貰おうかと思って。…と言っても、もう借りちゃったけど」
「やはり貴方がイカロスを連れ去ったのね」
「そんな怖い顔しないでよ。たかが犬位で」
「その犬のお陰であたしの『駒』は台無しよ。私の作戦の邪魔をする気なの?」
「なら言わせて貰うけど、先に作戦の邪魔をしたのはあんたの方よ」

 ミストはツグミの事を言っているのだとフィンは気付きました。
 邪魔をされたから、仕返しって事か。
 確かに、自分の都合でミストの邪魔をしたのは事実。
 しかし……。

「何のことかしら」
「あの犬娘よ。あんた、あの娘の二重身を強制的に出したわね。折角ジャンヌを
良い所まで追い詰めたのに、作戦を滅茶苦茶にしてくれちゃって」
「あたしだって言う証拠はあるの?」
「あんたの他に誰があのタイミングで二重身を出す事が出来るの? 偶然とでも
言う積もり?」

 ミストの事だから、ツグミにまろんの危機を告げる場面も監視されていたのか
も。
 ならば、言い逃れは難しいか……。
 そう思い、フィンはため息を一つ。

「今、まろんに死なれちゃ困るのよ。邪魔をしたのは悪かったわ」
「あら、本当にあんたの差し金だったんだ」

 自分から真実を告白してしまった事に、フィンは今度は舌打ちしました。

「まだ、まろんを殺すには早過ぎる。もっと、まろんの心を傷つけて、邪心で一
杯にしてから殺さないと、又転生してしまうかも。ジャンヌ・ダルクがそうであ
ったように」

 フィンの話を聞いて、ミストは笑い出しました。

「何が可笑しいの?」
「邪心で一杯? ジャンヌの心は既に邪な心で満ちているわよ。あんただって判
ってんでしょ」

 ミストはキャンディーを一つ取り出して何かを念じると、その中に映し出され
ている映像をフィンに見せました。

「く…」
「どう? 最新の映像よ。幼なじみだけあって、この娘もなかなかやるわね…。
あら? 見ないの? あ、そうか。『羽根』があるから、こんなの見飽きてるわ
よね」

 俯いてしまったフィンの耳元でミストは囁きました。

「そんな事より、イカロスを返して。でないと私の『駒』が使い物にならなくて
困るのよ」
「そうかしら? あたしには絶好の機会に見えるけど」
「機会?」
「そうよ。あたしなら、ツグミの心が弱まっている今こそ、自分の思うように操
る機会だと思うけど」
「それはそうだけど」
「あの娘は、人間にしては危険過ぎる。今はこちらで操っている積もりでも、そ
の内にこちらの思惑を越えて暴走しかねない。だから、少し弱らせておく位で丁
度良いのよ。たかが『駒』何だから、利用出来さえすればそれで良い」
「それは私が考えることで、貴方に指図される事ではないわ」

 ミストに反発しつつ、フィンには判っていました。
 ミストの言う通りかもしれない。
 ツグミはただの駒。都だってそう。
 ましてやまろんは、最終的には殺さなければならない敵。
 だけど……。

「兎に角、イカロスはあたしが預かっておくわ。フィンには悪いけど、あの犬娘
にこれ以上、こちらの『駒』の邪魔をされたく無いから。アキコもイカロスの事
を気に入ったようだし、暫くはペットにしておくわ」
「勝手に決めないでよ」
「フィン、駒を大事にするのは良いけど、過度の思い入れは禁物よ」
「余計なお世話よ」
「あらそう? 今のフィンを見ていると、『駒』に対する情が深すぎるように見
えるから、ちょっと言ってみただけよ」

 横を向いて俯くフィンの前に回り込んでミストは言います。
 私の心の中まで、この純粋悪魔は見通しているのだろうか……。

「あんたは他の堕天使とは違う、そう思っていたのだけど、買い被りだったかし
ら」

 何を言い出すのか。フィンは顔を上げました。

「天界から堕ちた天使は昔から大勢居たわ。でも、その多くは天界の『掟』を守
る事すら出来なかった小者。多くは魔界でも受け入れられずに消えていった。で
も、あんたは違う。何か、目的があるんでしょ? だから、魔王様と進んで『契
約』を結んだ」
「ミスト、貴方……」

 フィンは驚きの表情でミストを見つめます。

「魔界で長生きするには『情報』に通じていないとね。あたしはあんたの事をこ
れでも少しは認めているの。でも、最近のあんたは変わったわ」
「私は何も変わらないわよ」
「それとも、元に戻ったと言うべきかしら? やはり天使は、堕ちても他者への
情を捨て切れない存在なのかしら」
「あんたはどうなのよ」
「我等悪魔族にはそのような他者への情など無い」
「そうかしら?」
「そうよ。それよりフィン、そろそろあんたも考え時かも知れないわね」
「考え時?}
「このまま魔界で生きるか、それとも……」
「天界には今更戻れないわ」
「そう? あのアクセスとかいう天使の話では、そうでもなさそうだけど?」
「……」
「あの犬は、あたしの家にアキコと共に在る。取り返したかったら来ても構わな
いけど…。その時は、判っているわね?」
「……」

 フィンが返事をしないでいると、ミストはため息を一つ。
 そして、何も言わずに姿を消しました。

「(私は…何をしたいんだろう。どうすれば良いんだろう…。教えて下さい、魔
王様…アクセス…)」

 一人取り残されたフィンは、心の中でそう呟きましたが、もちろんどこからも
返事はありませんでした。


●ツグミの家の上空

 夜空に音もなく姿を現したミスト。

「覗き見とは相変わらず趣味が悪いわね、ノイン」

 振り返りもせず、後ろに浮かんでいる者に嫌味を一つ。

「貴方にそれを言われたくありませんね、ミスト」
「それもそうね。フフフ……」

 ミストは、ノインの方を振り返って笑いました。

「良くここが判ったわね」
「貴方とのつき合いはそれなりに長いですから」
「そう…」
「優しいのですね」
「え!?」

 何を言い出すのだ? ミストが珍しく驚いた表情を浮かべます。

「魔界で生きて行くにはフィンはまだ優しすぎる。自分を変える事が出来ないの
なら、在るべき場所へ帰れと言いたかったのでしょう?」
「そんなんじゃ無いわよ。ただ、犬の事は遅かれ早かれ露見するし、我等がク
イーンも最近情に溺れて『契約』を忘れているように見えたから。クイーン何だ
から、もっとちゃんと働いて貰わないと。それにあれで裏切るなら、それはそれ
でやり易い。ただ、それだけよ」

 そう言うとミストは姿を消し、一人残されたノイン。

「相変わらず、真っ直ぐなようでいて素直では無いのですね。しかし、貴方のそ
う言う所が、良いんですけどね」

 くすりと笑うと、ノインもシルクが待つ自宅へと姿を消すのでした。

(第75話:完)

 ミストはあれでも良い所もあったと言うことで…(本当か?)。
 では、また。

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Keita Ishizaki mailto:keitai@fa2.so-net.ne.jp
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