神風・愛の劇場スレッド 第74話『灰色の海』(9/14付) 書いた人:佐々木英朗さん
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From: hidero@po.iijnet.or.jp
Newsgroups: japan.anime.pretty,fj.rec.animation
Subject: Re: Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18)
Date: 14 Sep 2000 12:05:56 +0900
Organization: Infonex Corporation
Lines: 318
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<8pfsuj$46s$1@news01ce.so-net.ne.jp>
<8pg0pg$6sc$1@news01cd.so-net.ne.jp>

佐々木@横浜市在住です。

<8pfsuj$46s$1@news01ce.so-net.ne.jp>の記事において
keitai@fa2.so-net.ne.jpさんは書きました。

>> 石崎です。

こんにちわ。
# ちょっと遅れました。(次も遅れる可能性大 ^^;;;)

>>  このスレッドは、神風怪盗ジャンヌのアニメ版を元にした妄想スレッドです。
>>  その手のが嫌いな人は、見ないで下さいね。

そういう事で宜しく。


# 某所掲示板によると案外読者の方がいらっしゃる様で
# 心強い事であります。文章品質の向上にこれからも努めたいところ。

>> ■今後の目標

セラムンはいくらなんでも無理っぽい気がしますけれど。^^;;;
こどちゃの方は今のペースだと丁度「今年の」12/18の週辺りですが。(笑)

>>  成る程、以前書かれていたツグミさん大暴れってこの話ですか(笑)。

はい。予告していながら中々出せなくて心苦しく思ってました。^^;

>>  スレンダーな女の子が好きなんですよね(謎)。

<強調レベル最大>その通りです。</強調レベル最大>

>> >★神風・愛の劇場 第72話 『逢いたい』
>>
>>  実はフィンちゃんがあんなにあっさりとイカロスを放すとは思わなかったので
>> 少し驚きました。病院の医者も手下だった気がするので。

治療行為に対しての"言い含め"は有りましたが、人格としては
獣医のままだという理解でしたので、そろそろサジの投げ時かと思ったのです。

>>  この話のポイントは、イカロス入院の原因を作ったフィンちゃんが、何を考え
>> てイカロスを解放し、イカロスを元気にしてやったという所でしょうか。
>>  一応善意で解放してやった事にして話を進めましたが、これで良かったのでし
>> ょうか。それとも、実はフィンに何らかの陰謀があったのか?

陰謀はありませんです。弥白様実力阻止に対するフィンのお礼みたいな物。

>>  今回の話で佐々木さんのシリーズ構成を壊していなければ幸い(謎)。

ぎゃぁ〜っ。(謎の叫び)

>> ★神風・愛の劇場 第73話『女の闘い』(前編)

フィンとアクセスがレクリエーションしてる。(笑)
そういえばアニメ本編でもアクセスはフィンの攻撃を防げたりして
結構"ヤル"所を見せてましたっけ。それなりに戦えそう。^^;

都ちゃんがツグミさんに対して含む所があるのはある意味当然として
(私もそういう風に受け取れる表現を時々コソコソ混ぜていますし)
逆向きもちょっとあるらしい。ライバル同士だから仕方ないのかも。^^;
# 間に挟まっているのが女の子ってトコだけあぶのーまる。(爆)
ツグミさんの出張サービス(笑)に対抗して都ちゃんは何をしたのかな。

しかし、ミストがこう動くとは…。
イカロスに一服盛られた時以上の衝撃です。これは。
前記事で「イカロスを動かすタイミングを…」と仰有っていたという事は
この展開は予定されていた物なんでしょうか。
# う゛〜む、やられた。^^;
純粋にペットとしてさらって来た、な〜んて訳は無いでしょうから
フィンへの嫌がらせなのでしょうねぇ。ツグミさん可哀想。
# 今度はツグミさんが寝込む番らしい。


# では、参ります。

★神風・愛の劇場 第74話『灰色の海』

●桃栗町郊外

日没後、急に拡がった厚い雲の下を移動する影がありました。
疎らに見えていた家々が無くなっていき、やがて街灯も
殆ど無くなってしまった辺りで音もなく地上へと近づきます。
そんな寂しげな風景にあって、ひっそりとではありますが
人の暮らしの匂いがする場所を認めては安堵するのです。

「冗談じゃないわよ」

一日中続いた追い掛けっこからやっと解放されても、
まろんの家に戻る訳にもいきません。
なにせ隣には今日の苛々の張本人が住んでいるのだから。
とは言っても、この空模様の下での野宿というのは
あまりにも侘しすぎる、意識しなくてもそんな感情が
沸き上がって、何となく屋根の下が恋しくなるのでした。
まろんが家で大人しくしている事は確認済です。
これから向かう先に他の来客があることは殆ど無いはず。
もっとも、一度そう思って訪問したところ、考えもしなかった
先客に慌てさせられた事があったのですが。
それに今日は別な理由でも慎重にならざるを得ませんでした。
厄介な奴が少しは元気になっているはずだったから。
そうまでして訪れる意味は何?と考えてみますが、
答が無い事に我ながら呆れるやら可笑しいやら。
まぁ、手駒の手入れ、そんな所かしらと納得するのです。
しかしツグミの家の前に降りたってみて、一気に緊張が走ります。
彼女自身にとって必要では無くてもツグミは部屋の灯りを
点けるはず。それなのに真っ暗なツグミの家、開け放たれた扉。
そっと覗き込んで見ると、買物袋らしき物が放り出してあります。
何かある、いや、何かが此であったのだとフィンの中で
告げるものがあるのです。
リビングに入ってみて、フィンは驚いて洩らしそうになった声を
必死に飲み込みました。部屋の真ん中に立っているツグミ。
フィンとてある種の力を持った存在です。人が居る部屋ぐらいは
判るはずでした。なのに誰も居ないと思って踏み込んだとたんに
鉢合わせしたのですから驚きもします。
まさかとは思いつつ、フィンはツグミの肩に手を置いて
話しかけてみました。どうやらそこに居るのは生身の方の彼女。

「ツグミ?」

随分と待たされて、もう一度呼びかけようかと思った頃に返事が。

「…誰…ぁ、フィンね」
「どうしたのよ、いったい?」

再びの沈黙。やがてぽつぽつと話始めたものの、
ツグミの言っている事は要領を得なかった為、
フィンは途中からツグミの頭の中を勝手に覗き込んでいました。
額を合わせるようにして抱きしめながら。
フィンが大体の事情を察した後になっても、
ツグミはまだ何事かを呟き続けていました。

「…それで、西の林には楠があって、イカロスはその臭いが」
「判ったから。とにかく今夜は休みなさい」
「でも、待っていてあげないと。イカロスは玄関の鍵持ってないの」
「私が代わりに待っていてあげるわよ」
「じゃぁ、ご飯を作るわ。フィンも何か…」
「はいはい。勝手にご馳走になるからね」

フィンはツグミを寝室に引っ張って行くと無理矢理ベッドに
寝かせました。ツグミはすぐに起き上がってしまうので
最後には術で昏倒させて静かにさせるしかなかったのですが。

「良い夢を…見るわけは、ないわね」

●オルレアン

営みの気配が全く無い一室に、何故か切り取ってきて
貼り付けた様な風景がありました。
ソファに横たわる大きな犬に、寄り添って座る少女。
向かい合わせた側には、もっと小さな影が寝そべって
見るとも無く少女と犬を眺めているのでした。
もしその光景を目にする事が出来る者があったら、
それは団欒の一コマに見えたのでしょうか。それとも。
そんな部屋に訪れる者がありました。

「おやおや。また拾い物ですか」
「また来たか。そんなに暇なのか?」
「それほどでも。今日は欠席した生徒の家庭訪問です」
「それならば、階が違っているぞ」
「ここからでも見えますから」

ふん。ミストは鼻を鳴らして背中を向けてしまいました。
ノインは構わず部屋を横切りアキコとイカロスの居る傍に近寄りました。
その途端に空気の密度が上がり部屋中がガラスで固めた様になります。
ノインには、目に見えないがとても冷たい物が
喉に押し当てられている事がはっきりと判っていました。

「そんなに殺気立たなくても、何もしませんよ」
「どうだかな」

ミストは姿勢を変えず、視線だけでノインを追い続けます。

「この犬は苦手だったのでは?」
「何時までもそうも言ってはいられまい」
「それにしても何故に」
「今度は邪魔をさせない為にさ」
「瀬川ツグミですか。かえって逆上させてしまい、
 フィンにとって扱いやすくなるのでは」
「逆だよ。それはな…」

二人の話が聞こえていないのか、アキコはただイカロスの
頭を撫でているだけなのでした。

●桃栗町郊外

やはり真っ暗なままのツグミの家のリビングで、フィンは
椅子の背もたれを前にして、それに組んだ腕をもたせ掛けて
思索に耽っていました。

イカロスを連れ出したのは誰?、まぁ十中八九ミスト。
私の一夜漬の魔術で二重身を引っ張り出せるのは
ツグミの人並み外れた集中力有っての事。
それを一時的に絶ち切って外に向けるとアレが動き出す。
今のままでは暫く、或いはずっとツグミは立ち直らないかもしれない。
するとあの手は、もう使わせないって言うつもりなのね…。

くすくすっ。含み笑いを洩らすフィン。

「甘いわよ、ミスト」

そうして更に大きな声で笑うのでした。

● …

自分がそこに在る感じはするのに、手を動かしても
何にも触れる事は無く、ただ手応えの無いものが
指の間をすり抜けて行くのだけが判ります。
見渡す限りずっと同じ景色。
起伏も、濃淡も、遠近感さえも無いところ。
地に足が着いていないので余計に落ち着きません。
浮かんでいるのか、飛んでいるのか考えてみました。
上下が良く判らないので、きっと浮かんでいるのでしょう。
すぐに此から抜け出したい。そう思うのですが、
どうしたらいいのか皆目判らないのでした。
それでずっと漂っていくのです。黙って身を任せて…。

足に纏わりつく生温い物。それが足首まで昇ってきたかと思うと
次の瞬間には足の裏を舐めて退いていきます。それが何度も
何度も繰り返されるうちに、今立っているのが波打ち際だと判りました。
引く汐に誘われる様に海に寄り、押し寄せる汐に追われるように浜に寄り、
そうしてふらふらと何処へともなく歩いていくのでした。
やがてふと気が付くと自分とは違う調子で砂を踏む音が聞こえました。
こちらが歩を止めると、ほんの少し間を置いてから向こうも止まります。
暫く様子を伺っていると向こうから先に再び歩きだすのでした。
ためらいを感じながらも、その足音の来る方へと近づいて行きます。
やがて、互いの足音が重なり合ってどちらが自分の足音か
分からなくなった時、ぼんやりと相手の姿が薄闇の中に浮かびました。

ああ、そうだったの。あなたは。

●枇杷町 山茶花邸

身の回りの世話をする者達の心配をよそに、部屋に閉じこもって
弥白はずっと眠り続けていました。誰も通さない様に言い付けて。
やっと目覚めたのは間もなく日付をまたごうかという時間。
流石にまるまる二日、途中水を何度か飲んだだけでしたから
空腹感が容赦なく襲ってきます。
誰かを呼ぼうかと考えてから止めました。ガウンを羽織り、
音を立てない様にそっと扉を開いて廊下を歩いていくと、
階下から執事が上がってきました。

「漸くお目覚めでございますか」
「まだ起きていたの」
「殆どの者は起きております」

ちょっと困った顔をする弥白。それからきっぱりと言い付けます。

「自分の仕事を終えたらさっさと休む様に皆に言いなさい」
「承知いたしました」
「あなたもよ」
「わたくしには何かご用がおありなのでは?」
「いいえ、何も」
「ではどちらへ?」
「食堂よ」
「ご用意させて頂きます」
「結構よ。勝手に何か探します」
「いけません。さ、部屋にお戻りを」

年寄のくせに耳だけはいいんだから。
弥白は心の中で呟きながら部屋へと戻っていきました。



暫くして扉をノックする音がしました。

「どうぞ」

弥白が返事をすると夜食を持った者が入ってきました。
何故かそれは家の者では無くて。

「!」
「やぁ、具合はどうかな」
「海生おじさま、何で今頃」
「有名無実のハウスドクターとしてもね、
 たまには職務を果たそうと思ったわけ」
「ずっと待っていらしてたのですか?」
「いや、仕事を済ませてからついさっき来たんだよ。
 昨日も寄ったんだけれど眠っていたから退散したんだ」

海生は持ってきた食事をテーブルの上に置くと、弥白が何か
言う暇を与えずに脈を診て、それから額に手を当てました。

「まだちょっと熱があるみたいだね」
「大丈夫ですわ」
「まぁ、大したことはなさそうだけど。何処か痛いとかそういう事は?」
「ありません」
「風邪というわけでも無いみたいだね」
「ちょっと疲れただけですから」
「ちょっとの検査で済むし、素直に病院に来てくれるといいんだが」
「病人じゃありませんてば」
「そう。じゃ、食べたらすぐ休むようにね」
「はい」
「それではおやすみ」
「お休みなさい」

閉まる扉を見詰めながら、稚空が来てくれればいいのに
と思う弥白なのでした。



屋敷の車止めで海生は待っていた車に乗り込むと言いました。

「神楽も来ればいいのに」
「こういう時に押しかけると弥白様は嫌がりますから」
「押しが弱いね、神楽は」
「御冗談を」

神楽は幾分乱暴に車を発進させるのでした。

(第74話・完)

# どこもかしこも寝込んでいる人間ばっかり。(笑)

では、また。

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■■■■ hidero@po.iijnet.or.jp ■■■■
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