神風・愛の劇場スレッド 第70話『白と黒』(前編)(8/31付) 書いた人:佐々木英朗さん
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From: hidero@po.iijnet.or.jp
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Subject: Re: Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18)
Date: 31 Aug 2000 18:16:33 +0900
Organization: Infonex Corporation
Lines: 320
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佐々木@横浜市在住です。

<8oc1hc$l7q$1@news01cd.so-net.ne.jp>の記事において
keitai@fa2.so-net.ne.jpさんは書きました。

>> 石崎です。

こんにちわ。
# 読まれた通り木曜フォローです。^^;

予定どおり長くなったのでフォロー&前編と後編に分離投稿です。
こっちはフォロー&前編なので、こちらから読んでくださいまし。

>> このスレッドは、神風怪盗ジャンヌのアニメ版を元にした妄想スレッドです。
>> 作品世界が壊れるのが嫌な人は、読まないで下さいね。

という事でよろしく。


>> ># リミチャン?
>>  あるらしいですね。某所呟きによると(笑)。

また更に事象が進んでおります。^^;;;;;

>>  ありとあらゆる経験を積んでいるそうですしね>佐々木さん版ミスト

誘惑してなんぼの商売ですから。(ぉぃぉぃ)

>> >あとはお説教でしょうか、都ちゃんの場合。^^;
>>  そのパターンだとお相手は水無月君ですね(笑)。

で、委員長は泣きながら聞いていると。^^;

>>  それと実は弥白様が誰かと絡んでる(文字通りの意味で)シーンが一度も無か
>> ったりして(笑)。

深窓の令嬢というやつですから。(う〜む、何か違うな)

>>  ちなみに「神のバリヤー」で襲おうとした男をはね飛ばしたのは、「妖しのセ
>> レス」でも使われた展開(違うだろ)。

それってそっち(「セレス」)の原作者さんの趣味なんでしょうかね。^^;
# 「ふしぎ遊戯」と同じ方ですよね、確か。

>> >>> ★神風・愛の劇場 第67話 『天界の休日』(前編)

>>  原作では地上界で神様に準天使にしてくれよと言うと神様が「わかりました」
>> と言ってボンッ……で、準天使になるという素晴らしくご都合主義な展開(神様
>> 三原則はどこへ…?)でした。

^^;;;;;

>>  原作だと儀式というよりは、RPGでフィールドでレベルアップするという印
>> 象ですね。

ステータス枠が出てきてMP+2とか表示されると。(グルグル風)

>> ># 最後にアクセスの見送りに来なかったのは何でかなぁ〜。(笑)
>> ># この「幕引き」は次があるって事ですよね。^^b
>>  再登場の予定は無かったのですが、これでは出さないといけないのか(笑)。

お別れに出ないって事は別途出るって事だろうと信じて疑ってないのです。^^;

>> >★神風・愛の劇場 第68話 『素直になれたら』

>>  都ちゃんの「決めたぞ」の内容が気になります。
>>  私の中で回答はあるのですが、それで合っているのかどうか。

前夜の都ちゃんの台詞を解釈して、この台詞へと来ていますから
そんなに違わない線ではないかと。というか違ったら私の責任。^^;

>> ★神風・愛の劇場 第69話『生き写し』

編集済とは親切ですね、ミスト。(笑)
もっとも実際に撮影したというよりは念写とかそんな感じの
イメージなので美味しいシーンだけなんてのも簡単そう。

それにしても弥白様の中ではツグミさんの印象はあまり
芳しく無いらしい。(当然か ^^ゞ)
# ならもっと意地悪してやる〜。

最近、弥白様が大人しい理由は神楽を意識してだったりして。

そしてそして。ついにこの時が来たかという感じです。
いずれ遠くない時期に三枝おやじがまろんちゃんと接触して、
それを知った弥白様は…という展開があるべきだと思っていましたから。
むちゃくちゃ気まずいながらも、多少は安堵出来る要素があった稚空、
困惑はあるものの、一応以前からの約束であるまろんちゃん、
前と同様に眼中に入れてもらってない都ちゃん(笑)、
そして遂に念願達成した全くんという具合に他の皆さんは
それなりな扱いなのに、何故か悲しいとこ一人占めの弥白様。可哀想ですなぁ。
# 石崎さんは相当弥白様が好きらしい。(笑)
## 私もその3/5ぐらいは好きかも。^^;

想いの方向(性質)は違うとはいえ、心から尽くして
慕っている相手が二人とも自分以外の、しかも同じ女を
より重要な存在として見ているのだと知ってしまったとしたら。
勿論、稚空や三枝おやじは弥白様とまろんちゃんを
全く別の次元で同じくらい大切に思ってはいるでしょうが、
それは弥白様には伝わらないだろうし、きっと見えない事。
溜まるでしょうね。色々と。

本当は、全くんとまろんちゃんのご対面の部分もイベントとしては
重大事件のはずなのですが、弥白様の方が気になってしまいます。
# すまん、シルク。(笑)

ところで、この第69話って殆どのキャラが絡んでいるので
結構続きが難しいですね。^^;
ノインの言っていた仕掛けというのが全くんを使って
三枝邸にまろんちゃん達を連れていくという事だったのか
もっと別の話がウラで進行しているのか、どちらに読むかでも
この後の展開が変わりますし。(取りあえず前者と判断)
今回出ていない約2名(あ、3名か)で話作って、上記の
解釈をしないで済まそう(逃げよう ^^;)かとも思ったのですけど、
何かこういうエピソードの終り方って誘われてる気が
しないでもないので正面から受けてみました。(笑)

# さぁ行ってみますか。記念すべき第70話。
# 何の記念かというと、TV版CCさくらと並んだ記念。(笑)


★神風・愛の劇場 第70話 『白と黒』(前編)

●枇杷町山茶花邸内

三枝の別荘から戻った後、弥白は夕食も摂らずに自室にこもっていました。
ソファに座って、ぬるくなった紅茶をじっと見詰めています。
ふと目を上げて正面の作り付けの戸棚を見ると、紅茶の香り付けの為に
用意してあるブランデーのデキャンタが目に留まりました。
冷めてしまった紅茶。棄ててしまってもよかったのですが、
デキャンタを持ってきてスプーン一杯だけ加えてみました。
そしてひとくち。

けほけほっ。

熱い紅茶に加えたのであれば飛んでしまうはずのアルコールが
喉を焦がしてむせてしまいました。それでもむきになって飲み乾します。
しばらくすると身体の中が熱くなって、気分がぼやけて来ました。
ティカップにもう一杯。紅茶は注がずにブランデーだけを注ぎます。
そうして一気に飲んでしまいました。今度はもっと激しくむせましたが、
それ以上に熱いものが身体の芯を充たして、おまけに身体がふわふわします。
ソファの背もたれに体重を預けて溜息をつきます。
このまま寝てしまいましょう、どうせ明日はお休みなのだし。

「お楽しみだな」

声がした気がしました。誰…誰も居るはず無いわよね…。

「そんな事で憂さが晴れるのだから楽でいい」

やっぱり声がします。隣りに誰か座っている気がします。
顔を向けるのもおっくうで、横目で見ようとしましたが、
視界の端に何か在るようでもあり、無いようでもありはっきりしません。
ばかばかしい気がしますが、返事をしてみました。

「全然、憂さなんか晴れませんわ」
「ほう。晴れないか」

くすくすくす。空耳と会話するなんて。弥白は笑い出してしまいます。
いいわ、それでも。今の私には、お話相手は空耳だけ。

「もう何にも無いの。だから眠ってしまいたい」
「荒れているな」
「みんな私から離れていってしまう」
「それは悲しいだろう」
「だから、せめて夢の中くらいは好きにさせて」
「いい夢が見たいか」
「…ええ」

段々と意識が薄れてきました。
空耳どころか、もうとっくに夢の中に居るのかもしれない。
そう思い始めた時、手に何かの感触が湧き上がりました。
何も手に取ったつもりは無かったのに、開いた手のひらの上には
蒼いビー玉の様な物がいつのまにか載っていました。
じっと眺めていると、表面の真珠の様な光沢がゆるゆると動き
模様が次々と変化していきます。そうしてますます瞼が重くなってきます。

「さあ、踏み出すがいい」

何か言われた様な気がしましたが、もう返事をする気は起きませんでした。



翌朝、何時もよりほんの少しだけ遅く目覚めた弥白。
何か夢を見たような気がしますが、すっかり忘れていました。
ただ、眠りに落ちる前にあった出来事だけは微かに覚えています。
ベッドの上で上半身を起こすと寝巻を着ている事を確かめました。
やはり全部夢だった。そう思って羽毛蒲団をめくり両足を床に降ろします。
立ち上がろうとして枕許についた手に何かが触れました。
拾い上げた玉の表面には間延びした自分の顔が映っていて、
その顔がぽかんと口を開いてこちらを見詰めているのでした。


●枇杷町山茶花邸庭園

ベンチに腰掛けている弥白。何をするでも無く、ただぼんやりしています。
散歩と称して家を出たのがお昼過ぎ。小一時間程歩いて辿り着いたのは
それでも庭園のほんの入り口。そろそろ陽が傾きかけていて
足下の影が長く延びています。その間、ずっとここに座っていました。
ふと気付くと、同じベンチに誰か座っています。
横目でちらっと見ると10歳くらいの女の子でした。
何処から入り込んだのかしらと弥白は思いました。
それに外から此まで何の警報装置にも出合わなかったなんて。

「お嬢ちゃん、何処から…」

話しかけてみて、女の子の妙に大人びた目が吸い付く様に
自分を見ている事に、何とも言えない居心地の悪さを感じました。
目を合わせた事を子供相手に後悔するなんて。
そう思うと馬鹿馬鹿しいのですが、その時は本当に失敗したと思ったのです。
そして、その失敗は途中で止めることが出来ませんでした。
離そうとしても離れない視線。身体が動かせない事実。
でも恐怖はありません。恐怖を感じる前に意識がぼやけてきたから。
そのまま居眠りをしてしまいました。でも、ほんのわずかだけ。
不愉快な夢を見てはっと目覚めます。頭が重くて最悪の気分。
家に戻ってベッドに横になりましょう。そう決めてベンチを後にし
数歩だけ歩いたところで、また声が。

「いい夢が見られたかな」
「駄目よ、昨夜は良かったのに」
「一時的に忘れて良い夢を見ても何も解決しないと判ったろう」
「そうね。確かにそうだわ」
「ならば問題を取り除くしかあるまい」
「そう簡単じゃないのよ」

ふふ。含み笑いが聞こえた様な気がして憮然と振り向いた弥白。
でもそこには誰も居ませんでした。
また空耳。頭を押さえながら歩き始める弥白に、声が届きます。

「良く考えてみろ。本当はとても簡単なんだ」
「簡単…」
「お前を悩ましている問題の原因は何だ」
「原因は」
「ひとつ、いや、一人ではないかな」
「…そうね。問題は一人だけなのだわ」
「なぁ、簡単だろう」
「ええ…とても簡単」

弥白はもう一度ベンチに腰を降ろすと、手のひらを見詰めました。
今朝、枕許で見付けた玉はいつのまにか二個になっていて、くるくると
手の上で踊っていました。それをぎゅっと握りしめると急ぎ足で
屋敷に戻ります。用意させたリムジンに乗り込むと行き先を告げました。


●桃栗タワー

塔の最上層、ちょっとした突起構造に腰を下ろしているフィン。

「…本気、出したってわけね」

翼から一枚の羽根を抜き出して目の前にかざします。
その羽根越しに見えている風景から、
そこが公園の近くである事が判ります。

「まだ死んでもらっちゃ困るのよ」

目をつぶって暫く考え込んでいたフィン。
ふっと飛び立つと、何処かへと消えていきました。


●桃栗町郊外

微かな風を切る音、そして気配。
夕食の仕度の手を休めて、濡れた手を拭いながら耳を澄ますと
玄関の方に気配が降り立ちました。
扉を開くと、目の前に居るのが判ります。

「フィン、でしょ?」
「ツグミ、ちょっと手を貸してもらいたいの」
「私が?」
「そう」

ツグミは取りあえずフィンを部屋に招きました。
一緒に夕飯でもと勧めたのですが、フィンが急いでいるからと言い、
ツグミは頷くと黙って先を促します。

「まろんが危険な目に遇いそうなの」
「日下部さんが?」
「狙われているのよ、命を」
「大変、急いで知らせないと」
「誰に?」
「日下部さん本人よ。それと警察にも」
「私が言う事は出来ないの。前に言ったでしょ?
 私がまろんの為に動くのは内証だって」
「それじゃ私が電話を」
「今からじゃ間に合わないわよ」
「そんな」
「でもツグミなら何とか出来る」
「私に?何が出来るの?」
「出来るわ」

フィンはそう言うとツグミの額を人指し指で軽く押しました。

「ぁ」

そのまま昏倒してしまうツグミ。
ツグミの身体を抱き上げたフィンは彼女を寝室へと運びました。
そしてベッドの上に横たえます。

「原理は判っているんだから…」

フィンが小さく何かを称えるとツグミの真上の天井に光の軌跡と共に
二重の円が描かれます。そして二本の軌跡の間に浮かぶ記号。
フィンは暫くツグミの様子を見ていましたが、
やがて満足した様に深く頷くと指をぱちんと鳴らしました。
その途端に天井の模様は消えてしまい、後には静かに
ツグミが横たわっているだけでした。

「じゃぁね、いい夢を」

そう言うとフィンは寝室の扉を閉めるのでした。

(第70話・後編へ続く)

では、また。

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■■■■■■ 佐々木 英朗 ■■■■■■■
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