2章 翼の王国 
   1 哺乳類空を飛ぶ

 飛行機が離陸する瞬間って好きです。ある程度速度が出たときに機首をあげると、前からの空気の流れ(自分が進むことによって生じる)が斜めに翼に当たり揚力が生じます。オオコウモリを探して離島を旅行するのが趣味なので、今までに200回くらい離陸を経験したでしょうか、地上動物のわれわれが金属の翼で地面から浮きあがる瞬間、進化を超越したような気分を味わいます。小さな飛行機ほど自分が飛んでいるような気分を味わえます。今までで一番楽しかったのは沖縄の粟国島に行くときに9人乗りのBN機のパイロットのお隣の席に乗ったことです。ホエールウォッチンガにも使う飛行機ですから、かなり低く飛びます。慶良間諸島の上を飛んでくれたので、眼下の島を歩いている人までよく見えました。渡りの季節だったら、サシバでも見られるかも。(ちなみに機内誌ならコーラルウェイが好き)

 さてコウモリは唯一はばたき飛翔をするほ乳類です。飛翔能力を獲得したために、適応放散で現在のように多様になったと思われます。はばたき飛翔をする鳥と昆虫も種数がひじょうに多いですよね。
 陸上にあがったほ乳類の一部が再び海に帰ってイルカやクジラになったように、空中に進化してから地上生活にもどったコウモリはいないのかという話がでたことがあるのですが、動物園でのルーセットオオコウモリを見ていると、たしかに翼と足でぴょんぴょんと敏捷に地上を移動しますが、これだけで捕食者から逃げるのは無理があるような・・・飛ばない鳥というのは結構いますが、コウモリの場合は足が弱くて休息をするときにはぶら下がるスタイルをとっているくらいですから、いくら進化してもダチョウのような足を獲得するのは難しいと思います。それにコウモリの足はひざが反転してかかとが前を向くようになっていますが(そうなっていない剥製を見たことがあるが・・・これも地上を走るのには障害になりそうです。

「不思議の国のコウモリ」目次へ戻る

オオコウモリの世界へトップへ戻る