8章 共に生きる
   2 コウモリの害って?

洞窟の巨大なコロニーの下には糞や死体がつもって虫や細菌、菌類などさまざまな生き物がいます。中には呼吸器系の病気を引き起こす菌類もあるようです。しかし感染例はそんなに多くないし、死亡率も低いはずです。狂犬病は通常ナミチスイコウモリだけが媒介者で(調査などのためコウモリを捕まえて噛まれた場合は別)、ナミチスイコウモリは中央−南アメリカにしか住んでいません。

先日の、オオコウモリの出ない「ひるどき日本列島 オオコウモリを探せ」という番組でも、北大東島の子供たちに「怖くないですか」と聞いてたけど、イメージが先行して、誇張されていることが多いのではないでしょうか。

たしかに建物の中にある程度のコロニーが形成されると悪臭が漂うから、おひきとり願う必要もあると思います。しかしオオコウモリなんて、国によっては町中に何万という単位の巨大なコロニーをつくり、ものすごい騒音と悪臭になるのに、平気で共存しているところもあるんですよね。先日東南アジアに行った方からもメールをもらいましたが、現地の人は”they thought they were very lucky to have the bats there”といってると書いてありました。

しかし果樹園へのオオコウモリの食害は、かなり深刻で、日本でも八重山や小笠原ではトラブルとなっています。オーストラリアでも果樹園の害獣として毎年たくさんのオオコウモリが撃たれています。自然界では花粉媒介や種子散布の働きと相殺されるべきなのですが、生息地が破壊されて果樹園になれば、共存する余地がなくなってしまうのですね。オオコウモリだって、何か食べなきゃ生きていけないのに・・・

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