コウモリは何を食べているのでしょう。昆虫、クモ、カニ、サソリ、哺乳類、鳥、爬虫類、両生類、魚、血、死肉、果実、花、花蜜、花粉、葉などなど実に多様な食性をもつものがいて、適応放散の見本のようです。
まずInsectivorousは、食虫性ということですが、クモやサソリや甲殻類などを食べる一部のコウモリも、通常含みます。コウモリの70%はInsectivorous
batです。特に小コウモリはInsectivorousでないのは、ごくごく少数だと言っていいでしょう。日本の小コウモリもすべてInsectivorousです。
ところでコウモリが虫を捕るときに、選んで捕っている(選択的採餌)のでしょうか、それとも見つかっものを手当たり次第食べている(非選択的採餌)のでしょうか。
動物は、単位時間あたりのエネルギー収量がなるべく大きくなるような採餌方法をとるはずです。ただしそのためには選択的採餌、非選択的採餌を使い分ける必要があります。あんまり虫がいなくて探すのに時間がかかるときは、見つけた虫は手当たり次第食べる必要があります。たくさん虫がいるなら、大きい虫だけ選んで食べた方が効率がよさそうです。しかし実際は、それぞれ例外があることも報告されていますから、そう単純には説明できないようです。
エコーロケーションや飛翔のところで述べたように、大型のコウモリは高速で飛ぶものが多く、遠くの虫が探知できるように、空気中での減衰が少ない低い周波数でエコーロケーションします。すると、小さな虫は探知なくなります。この場合は大きな虫を選んだのではなく、単に大きい虫しか見つけられないだけですよね。