6章 衣食住
   14 コンピューターコウモリ

6−13の続きです。

ソーシュルハナナガコウモリはホバリングして花の蜜を食べますが、ハチドリのようにホバリングが得意なわけではないので、花に蜜がいっぱいあるときでも一度に一口(約0.26ml)ずつしか食べられません。蜜が少なくなってガラスの花の柄のところまで来ると一度に半口(0.13ml)ずつになり、更にある程度以上少なくなると、全然食べられないことが80%で半口食べられるのが20%、更にある限度以上蜜のレベルが下がるともう食べられない、ということが、採餌行動をビデオで観察してわかりました。つまり蜜がどの状態の時に一回にどれだけ食べるかというのが、はっきり決まっているわけです。

そこでシュミレーションを考えました。たとえばグループは全部で5つの花を訪れたら別の円錐花序に移る、いや10の花を訪れたらかもしれない。それとも空っぽの花が4つ並んでいたらかもしれない、いや5つ並んでいたらかもしれない。それとも空っぽの花が単に5つ以上あると移るのだろうか・・・などなど計42のルールを仮定して、それぞれ100回ずつコンピューターでシュミレーションして、実際にコウモリが見捨てた後に近い状態になるのはどれかを調べてみました。そうしたら「合計で8つの花が空になったら、その円錐花序を立ち去る。」というルールがもっとも近かったそうです。なかなか楽しい実験ですね。

computer bat(論文ではcomputerized bat)という言葉を見て、ワンダースリーを連想しました。 

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