1章 ア・ラ・コウモリ 
   1 化石のコウモリ

 子どもの頃、プリン・ア・ラ・モードは夢のように贅沢なごちそうでした。プリンとアイスクリームとホイップクリームと果物がいっぺんに食べられるのが、嬉しかったです。世界のコウモリを見わたすと、種類の多さと、その生活の多様性が目につきます。ついこんなタイトルを連想しました。(アラコウモリというコウモリが実際にいるもので)ここでは世界にはざっとどんなコウモリがいて、どのような関係にあるのかを見ていきたいと思います。まずは化石のコウモリです。
 コウモリ自体があまりメジャーな生き物でないので、コウモリの化石というのもあまり見かけませんが、国立科学博物館にいく機会があったら、本館一階の左側の部屋を覗いてみてください。ドイツのメッセルの採石場から出てきたPalaeochiropteryx tupaidonの化石があります。神奈川県立自然史博物館にもあります。これは約4500万年前のものです。ちなみにもっとも古いコウモリの化石Icaronycteris indexは、アメリカのワイオミング州で発見されていますが5000万年前の始新世初期のものであると推定されています。哺乳類の中でコウモリは唯一はばたいて自力で飛翔します。国立科学博物館の化石を見ると今のコウモリとよく似ています。既に翼を持ち、はばたき飛翔していたようです。空を飛べるようになるまでの中間型の化石というのは見つかっていませんが、コウモリはどうやってコウモリになったんでしょうね。
 約6500万年前に恐竜が絶滅し、このあと1000万年ほどの間に哺乳類は著しく適応放散して地上・水中・空中に進出し、ほとんどの哺乳類の目がこの時代に出現しています。コウモリ目もこの時代に初登場したわけです。

 近くに適当な博物館がない方は、「化石の写真図鑑」地球自然ハンドブックシリーズ日本ヴォーグ社 ¥2900
に写真が出てます。美祢市の歴史民族資料館の別館?化石館のコウモリの下顎骨の化石が多数写っている写真が「日本の化石」自然観察シリーズ17 小学館 ¥1480にもあります。Webもよろしかったらどうぞ。

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