鳥もそうですが、飛翔の進化を説明するのに、樹上起源説と地上起源説があります。
樹上起源説とは、樹上生活を送っていた祖先が、木から木へと飛び移って移動していたのが、やがて翼を広げて滑空できるようになり、自力ではばたいて飛ぶようになったというものです。
地上起源説は地上を走って移動する動物が、翼を開いて走り、浮かんで移動できるようになったというものです。飛べるようになる前の中間型の化石はないですが、最古のコウモリを見ても足が発達していないですから、地上起源説はちょっと無理でしょう。
鳥はどうなんでしょう?地上をかなりのスピードで走る鳥はいるから地上起源でもいいけど、始祖鳥は爪がありますね。木に登って滑空していたのかな?
高いところから滑空するということは、木に登るだけの筋力と飛ぶための膜が必要です。木に登る方は、他の小型哺乳類でもめずらしくないですから、問題なし。滑空する生物というのも別に珍しいものではなく、魚、カエル、トカゲ、ヘビ、軟体動物、哺乳類でそれぞれ滑空する種がいます。(それぞれ何だかわかるかな)翼に相当する器官は、胸鰭、水掻き、肋骨、胴体、ひれ、肢と後肢の間の膜などなどさまざまで、もともと祖先が持っていた色々な器官を、応用させているだけです。原始コウモリが指を伸ばしてその間と後肢と尾に膜を張ってもおかしくないでしょう。
それでは何のために?
樹上生活をするためには、一本の木で餌からねぐらまですべての用が足りるとは思えませんから木から木へと飛び移る必要があります。この時に一本の木を降りて地上を走りまた別の木を登るよりは、滑空の方が省エネになるでしょう。また速度も、滑空は地上を走る場合の5倍以上になります。そして地上に降りなければ捕食者に狙われる危険もずっと少なくなります。
あとは問題は滑空から羽ばたき飛翔への移行ですが、実は木登りが出来る動物ならはばたきに必要なエネルギーを調達することが出来るという計算もあります。ということで道は開けたのです。
自力で飛翔できれば、飛んでいる虫や高いところにある花や果実など、他の動物には利用しにくい餌も利用できます。餌を探す範囲が広がりますから季節的に変化する餌も利用できるし、ねぐらから遠いところの餌も利用できます。ねぐらもいろいろ選べるようになります。渡りというのは飛翔動物の特権でしょう。地上動物でも季節移動するものはありますが、やはり海を越えて遠い距離を移動して異なる環境を使い分けられるというのは飛翔動物が中心でしょう。
はばたき飛翔する動物、昆虫・コウモリ・鳥はどれも種数が多く分布も広いです。やっぱり飛べるって便利!