冒頭で述べたように、ある生き物にこだわることにより、自然を広く深く理解することができるようになります。
(その生き物以外はどうでもいいというふうになってしまう人もいるが)
私の偏見かもしれませんが、哺乳類ファンは変わった種を見ることだけが目的とか、見た種数を増やすことだけに燃える人は、あまりいないように思います。種数を競うには種の数が少ないし、観察に行ってもなかなか会えないので自然と哺乳類以外の生き物にも目が行くのかなと思ったのですが、どうでしょう。
コウモリからは、適応放散、収斂、飛翔の空気力学、エコーロケーションのしくみ、異温性、受精や妊娠の遅延、最適採餌、生態的地位、棲み分け、社会構造、共進化、種数と環境との関係などなど、生物学のさまざまな分野を学ぶことができます。暗記物などと言われることがある生物の授業も、好きな生き物で学ぶと、もっと楽しくなるでしょう。これからも、折に触れコウモリの話をしていきたいと思います。
夜空を自由自在に飛び回るコウモリに捧げる敬称は、
************ 参考図書 ****************
コウモリ 進化・生態・行動 J.D.オルトリンガム著 八坂書房
哺乳類の生態学 土肥昭夫 岩本俊孝 三浦慎悟 池田啓一著 東京大学出版会
現代の哺乳類学 朝日稔 川道武男編 朝倉書店
野生動物学概論 田名部雄一 和秀雄 藤巻裕蔵 米田政明著 朝倉書店
動物の渡り 神秘の旅を探る R.T.オル著 渋谷達明訳 白揚社
ゾウの時間ネズミの時間 サイズの生物学 本田達雄著 中公新書
音の科学ふしぎ事典 唐澤誠著 日本実業出版社
生物の動きの事典 東昭著 朝倉書店
飛ぶ そのしくみと流体力学 飯田誠一著 オーム出版局
こうもりのヒソヒソ話 超音波今昔 高木堅志郎著 裳華房
生物学辞典 第四版 岩波書店