小コウモリは原則としてみなトーパーを使う能力があります。しかし果実・花蜜・肉食性のものは十分採餌できるならトーパーにはなりません。血液食コウモリでは大型ほ乳類の血を餌とするナミチスイコウモリはほとんど恒温のままですが、鳥の血を餌とするケアシチスイコウモリとシロチスイコウモリはトーパーになることも結構あるようです。食虫性コウモリは程度はさまざまですがみな異温性です。ということでトーパーを使うかどうかは、餌によるようです。たぶん、餌が安定して得られるか、餌のエネルギーが高いかなどによるのでしょう。
オオコウモリは熱帯・亜熱帯に棲んでいるから冬眠は必要なさそうですが、全然トーパーに入らないのでしょうか。たしかに体が大きいから体表から逃げる熱は相対的に小さくなります。また熱帯や亜熱帯の果実は年に何回も実をつけるものがありますから、虫よりは餌の量に季節変動がないと思われます。しかし日本でオオコウモリを観察していると、翼で体を包んで頭まですっぽり覆っていることもあるのは、やはり寒いのでしょう。小型のオオコウモリでトーパーを使うという報告があるものも、2種います。