まとめです。トーパーとは、気温と1−2℃差の低い体温を保ち、呼吸・心臓の拍動を抑えてエネルギーを節約する非活動状態をさします。
冬眠をするのは一部のコウモリだけですが、トーパーは多くの小コウモリで日常的に使われています。ただし原則として食虫性コウモリが行うものです。体が小さいことと虫の発生が季節的であるからでしょう。例えば春先いったん冬眠から目覚めても寒くて虫もあまり飛ばないような日には採餌に出てきません。こんな日は夕方になってもトーパーのまま過ごしているわけです。夏の間も昼間ねぐらにいるときはトーパーでエネルギーを節約していることが多いですが、妊娠中のメスは十分採餌できるなら胎児の成長のため体温を高いまま昼間も過ごします。子どもが独立して秋になると交尾の時期です。今度はオスがメスをひきつけるために恒温性のままでいることが多いですが、メスは冬眠にそなえて省エネのため昼間のトーパーが増えます。そしてトーパーが頻繁になり
、何日も覚醒しないようになったのが冬眠です。4-5でいったように、コウモリは冬眠中も時々は目覚めているようですから、日常的なトーパーの延長として何日か目覚めないという冬眠があるわけです。